三国志2 三国志II 三國志2 三國志II

 ハンドブック紹介

 

 
   三國志Uハンドブック  
 
 
基本データ

初版発行 ・1990年4月25日
参照 ・第7版(1991年7月10日)
ページ数  208   定価  1860円
執筆 ・不明
イラスト ・不明
総合評価 ★★★★
理解度 ・SFC版、PS版クリア
参考資料
 
 
本書の構成

ページ タイトル 内容
1 ・(総扉)
2〜3 はじめに
4 ・目次
5〜10 グラビア  
11〜32 序章 三國志Uの世界 ・シナリオ解説 
33〜40 第1章 統一への一歩 ・戦略コマンド解説 
41〜56 第2章 人材登用 1 2
57〜70 第3章 外交の力学   
71〜80 第4章 計略・権謀術数  
 81〜125 第5章 戦に勝つ ・戦術および戦場解説
129〜138 第6章 新君主の興亡  
139〜154 第7章 三國志を知る 1 2
155〜201 終章 三國志武将名鑑  
 各所 その他 1 2 3



●備考

 各項のリンクは、その詳細解説のページにつながる。また、各項のタイトル部分のリンクは、上述の表に戻るためのリンクである。なお、目次に掲載されていない項目については、( )をつけて便宜的な区分とした。
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はじめに

 2〜3ページ。コンセプトは「さらに深く、さらに楽しく」。本書では、前作を「人材のゲーム」、本作を「権謀術数のゲーム」と位置づけ、ゲームの特色である「外交・計略・HEX戦を詳述」する。

 また、本書では「原典の世界にさらに親しんでいただくために、いくつかの読み物や『ブック・ビデオガイド』、あるいは『三國志・正史』を中心に解説した『武将名鑑』を用意」している。これらによって「本書を契機に、『三国志』の世界によりいっそう愛着を持っていただくことができれば、これにすぐる喜びはない」という。
 
 
グラビア

 6〜10ページ。城ノ内あずまによるカラー切り絵と短文で『三國志U』の世界を表現する。切り絵は「桃園の誓い」、「天下三分」、「竜虎相食む」の3枚であるが、「天下三分(7〜8ページ」に見える旗印は「晋」、「杜」、「呉」であり、「晋」の「杜」預による「呉」滅亡が本来のテーマなのではないかと思われる。だとすれば、「天下三分」の時代は、すでに終わってしまっている。
 
 
序章 三國志Uの世界

 11〜32ページ。ゲームをはじめるまでの設定に関する項目であり、「三国志Uをプレイする」と「時代を走り抜ける」の2項目から構成される。「三国志Uをプレイする」は、シナリオと主君の選択について。全シナリオに地図による勢力分布、配下の武将、初期戦略に対する解説がある。シナリオの歴史背景に関する解説もあるが、情報は最小限に留められている。なお、ここで解説されていない勢力は、プレイヤーが選択することはできない。

 「時代を走り抜ける」は、ゲームレベル、他国のHEX戦の観察、史実モードと仮想モードの説明ある。ゲームレベルについては、初心者は「上級」を選ぶべきではないという解説があるだけで、具体的にゲームレベルがゲームにどのような影響を与えるかということに対する説明は一切ない。

 HEX戦については「見る」ことを推奨している。理由としては、単純に観戦が面白いこと、捕えられた武将や戦後に残った戦力などの有益な情報を得られることなどが挙げられているが、個人的には、プレイヤーの関与出来ない情報を簡単に得ることができるというのも興に欠けるため、あまり勧められるものではないと思われる。

 また、本項ではゲーム終了時の「今後の成り行きを見守る」や「史実モード」と「仮想モード」の違いについても、細かく解説している。以降のシリーズでは当然のように利用できるこれらのシステムも、本作が初出であることを考えれば、新システムを大々的に取り上げたくなる気持ちも分かる。これについてはHEX戦の「見る」についても同様であると思われる。
 
   
第2章 人材登用・1

 41〜56ページ。「1.人材なくして統一なし(能力)」、「2.軍師と旅人(軍師の助言と旅人の存在意義、寿命)」、「在野武将捜索(在野、未登場武将の大まかな所在地、血縁武将)」、「4.この武将に注意(各能力およびマスクデータのベスト20とワースト20を紹介)」の4項目から構成される。ちなみに「在野武将捜索」の見出し(49ページ)には他の見出しのように番号が割り振られていないが、目次では番号が割り振られている。

 本項において注目するべき事例として、まずは武将に他勢力の国を通過させる際、「知力」が高いと発見されにくくなり、「武力」が高いと捕まりにくくなる点が挙げられる(42ページ)。つまり、外交は「魅力」の高さが重要であるが、それだけに目を向けていればよいというものでもないのである。シナリオ2で使者となった主君の王朗が簡単に捕まり、処刑されてしまうのも、おそらくはこれが原因なのではないかと思われる。

 また、太守の「魅力」が「褒美」による武将の忠誠度の造花に直結している点(42ページ)も重要である。つまり、呂布や韓玄のような「魅力」の低い君主でも、「魅力」の高い武将を太守にした国で武将に「褒美」を与えることで効率的に忠誠度を上げられるのである。
 
 
第2章 人材登用・2

 マスクデータの「人徳」について、本書では「義理とほぼ同様(43ページ)」とある。本作の「義理」は、「共同作戦、援軍要請等を受けて実行する確率に影響(君主のみ)、HEX戦での寝返りやすさ、敵中作敵のかかりやすさ、太守の独立しやすさなどに影響(君主のみ)」する数値(43ページ)とあり、「人徳」も、これに準じることになる。

 一方、『三國志U武将FILE』によれば、「人徳」は「魅力とほぼ同じですが、その源泉というべきものです。人徳の低い武将の魅力は、いくら高くても見せかけ、といえます(10ページ)」とある。どちらが正しいのかは不明である。

 軍師については「知力による軍師メッセージの正確度(47ページ)」において、本作に登場する全ての軍師(『知力』が『80』以上の武将)」が紹介されている。この表のパーセンテージからすると、「知力」の二乗が正答率に換算されると思われる。

 また、軍師には所属勢力の計略の成功率を高め、敵からの計略の成功率を下げる能力がある(46ページ)。しかし、これは他勢力の軍師の知力にも左右されるため、相手の軍師に「知力」で上回られると効果も低くなる。このシステムが『三國志X』にも受け継がれていれば、あの怒涛の計略攻勢も、少しは緩和されていたのではないかと思われる。
 
 
第3章 外交の力学

 57〜70ページ。「1.外交を駆使する(概要)」、「2.信用度と敵対心」、「3.共同作戦と援軍」の3項目から構成される。ここで重要なのは「信用度」である。信用度は対外政策の他、家臣の忠誠度の下がり幅、人材登用の成功率、収入、商人の来訪率にまで影響を与えるが、これを上げる手段は他勢力による自勢力の通過を無条件で許可するか、同盟勢力の援軍要請に応えるしかない(玉璽を見つけるという手段もあるが、本作ではランダム性が非常に強い)。

 つまり、自勢力が拡大するにつれて「信用度」を上げる機会は減ることになる。そのため、序盤から積極的に「信用度」を上げる必要があり、そのために外交を行う機会も増えることになる。信用度および敵対度の増減については63ページに「敵対心・信用度変化表」として一覧表がある。

 本作における共同軍および援軍の重要性は、攻撃側が5部隊しか派遣できないのに対し、防御側は10部隊を配置できるというルールによるものである。しかし、これらを依頼しても、6日以内に到着(70ページ)しなければ、交渉は失敗したことになり、増援の見込みはなくなる。また、増援到着までの期間は、「信用度」と使者の「魅力」、君主の「魅力」などにより、到着までの期間が短縮されるようである(69ページ)。
 
 
第4章 計略・権謀術数

 71〜80ページ。本項は「1.計略を仕掛ける」で概要を解説した後、「計略T 埋伏の毒」、「計略U 二虎競食」 「計略V 駆虎呑狼」、「計略W 敵中作敵」、「計略X 偽書疑心」の5項目が続く。それぞれの計略の項目には「目的」、「原典から」、「チェックポイント」の項が設けられ、計略の元ネタを把握しつつ、ゲームでの役割を確認することができる。

 各種の計略について特に注意するべきことは、前述のように敵味方の軍師の存在が成功率に影響を与えることと、同盟国に計略を仕掛けて相手に気付かれた場合、「信用度」が低下することである。また、本作では敵勢力を滅ぼした場合、君主を配下に加えることはできない(君主を配下にするには「勧告」を成功させるしかない)ため、「駆虎呑狼」で優秀な武将を独立させると、その武将を配下に迎えるのは極めて困難となる。
 
 
第5章 戦に勝つ

 81〜128ページ。「1.勝つための準備(軍備)」、「2.出陣、そして戦場(戦闘の基本ルール)」、「3.戦後処理の心得(捕虜、戦利品の解説、次の戦略)」、「4.州を見渡す(14州の解説)」、「5.国を見渡す(国データ、HEX戦マップ)」の5項目から構成される。

 重要な要素としては、「訓練度」が機動力、「武装度」が攻撃力と防御力に直結する点(83ページ)が挙げられる。ここだけを見ていると、「訓練度」は戦闘力に直結しないように思えるが、実情は不明である。また、「訓練度」と機動力の関係については87ページに一覧表がある。これによると、「訓練度」が最大の「100」の時に機動力も最大の「6」となる。つまり、「訓練度」を上げるならば、最大値まで上げておきたいということである。

 その他には、知力が「90」以上の武将は、敵の伏兵にあっても無傷になること(87ページ)、「火計」で直接相手に火をつけると、最高で兵力の5%のダメージを与えられ、次のターンで火の中にいると最大30%の兵力が減少すること(89ページ)、「誘導移動」は、城の中にいる敵には使えないこと(90ページ)などが挙げられる。また、
退却」の際には、その武将の「武力」と隣接している敵部隊の数だけでなく、機動力も計算に含まれる(91ページ)。余裕があれば、機動力を高めたうえで「退却」を行いたい。

 「4.州を見渡す」は、『三國志ハンドブック』の「第4部 兵法大全」の「地形」とほぼ同じである。ただし、本作では「代州」がなくなり、14州となっている。また、本書では、全土の地図を掲載したうえで該当する州に色付けするという体裁を取っているため、『三國志ハンドブック』よりもはるかに位置関係が分かりやすくなっている。

 「5.国を見渡す」には、主要都市の歴史的背景と現在の観光スポットを紹介する「三國志都解説」が挿入されている。これによれば、10国は洛陽(108ページ)、12国は長安(109ページ)、17国は許昌(112ページ)、24国は建業(117ページ)、33国は成都(121ページ)に相当する。
 
 
第6章 新君主の興亡

 129〜138ページ。本作ではじめて導入された新君主システムの解説と実例を紹介しており、「 1.新君主の楽しみ(新君主の作成)」、「2.新君主立つ(拠点選び)」、「項羽転生(仮想バトルレポート)」の3項から構成される。

 新君主の作成において重要なことは、性別が「男性」だと「武力」、「女性」だと「魅力が高くなる点、若くすると「武力」、年配に設定すると「魅力が高くなる点、誕生日はマスクデータの「相性」を決定する点などである。

 「項羽転生」は、シナリオ2を舞台にした新君主のプレイレポートである。、秦滅亡後の覇権を劉邦と争った項羽が後漢末に蘇ったという想定で、彼の主観的視点から物語は展開する。

 項羽は益州東端の31国に旗揚げして東進、「100」の「武力」を活かして荊州の劉表と袁術、予州の曹操を滅ぼした後、徐州の劉備を劉邦の転生と確信、その勢力を滅ぼし、芙蓉姫を獲得する。項羽によれば、芙蓉姫は寵姫の虞美人の転生であり、それ以前の戦いで獲得した的盧は愛馬の騅の生まれ変わりであるという。いずれも劉備と強いつながりがあるのも因縁じみている。

 項羽は劉邦の末裔たちを激しく憎悪しているため、劉氏とあれば片っ端から切り捨てて行く。ついでに劉邦の配下であった夏侯嬰と曹参の末裔、つまり曹一族と夏侯一族も誅殺の対象であるが、これらはある種の縛りプレイにもなっている。また、劉備を劉邦の転生を確信してからは、彼を劉邦と呼び続けるこだわりも面白い。ただし、項羽が「200年も(136ページ)」、「200年を経て(137ページ)」と言っているのは明確な誤りである。そのころは前漢末期であり、そろそろ王莽が新を建国しようという時代である。項羽が生きていた時代は、それよりもさらに200年以上前である。
 
 
第7章 三國志を知る・1

 139〜154ページ。「三國志世界への招待」、「悲しき母」、「ブック&ビデオガイド」、「三國志故事来歴」の4項目。本項は、ゲームの背景となる歴史部分の話題が中心である。「三國志世界への招待」は、三上修平による正史と『三国志演義』の違い、それぞれの成立過程の解説を中心としている。

 「悲しき母」は阿井景子による蔡文姫の紹介である。テーマとしては、男性の活躍に主観が置かれる『三國志』において、陰に隠れがちな女性の生きざまに焦点を当てるものである。その着眼点は興味深いとは思うが、後のシリーズにおいて彼女は武将として登場することとなり、男性と同列のラインで語られることになってしまっている。

 「ブック&ビデオガイド」は後述するものとして、ここでは省略する。「三國志故事来歴」は、ゲーム中に旅人(許子将、司馬徽)が発言する「ゲーム的には意味のない台詞」の由来をまとめたものである。もちろん、それぞれの言葉自体には本来の意味はあるが、ゲーム中の助言は、脈絡がない。本項でも「自己満足的メッセージ(154ページ)」などと言われてしまっている。
 
 
第7章 三國志を知る・2

 「ブック&ビデオガイド」は、1990年当時の三國志関連の書籍や映像を「正史を知りたい!」、「演義を知りたい!」、「手っ取り早く知りたい!」、「小説が読みたい!」、「孔明にこだわりたい!」、「曹操にこだわりたい!}「ビデオが見たい!」の7項目に分類、それぞれの作品に簡単な解説を添えて、見どころを解説している。この時代は筑摩書房の世界古典文学全集の『三国志』の翻訳が完了したばかりであり、これの文庫版である、ちくま学術文庫の『正史三國志』は出版されていない。

 注目するべき点は、吉川英治の『三国志』の項に「『三國志U』の原点はこれ」と明記されていることである(152ページ)。そのため、本作では「人物名が『演義』と異なるところがある(152ページ)」。また、「ビデオが見たい!」のところには、横山光輝の『三国志』をもとにしたバップの『三国志(于禁が女性として登場することで有名)』は紹介されているが、意外なことに、横山光輝の『三国志』自体はリストの中に見当たらない。

 『ランペルールハンドブック』の「第4部 ランペルール探究」にも同じようなことを書いているが、こうした項目は、ゲームの背景として歴史に興味を持ち、いろいろな資料に触れてみたいと思った際に極めて有用である。特に『三國志』シリーズは本作以降も出続けているため、この項目を続けていれば、その作品が出た時に時々に、どのような三国志モチーフの作品が出ていたかということが一目でわかり、『三国志』ブームの変遷を確かめる意味で有意義な資料になったのではないかと思われる。
 
 
終章 三國志武将名鑑

 155〜201ページ。本作に登城する352人の武将および旅人3人(華佗、許子将、司馬徽)、イベントキャラの貂蝉を含めた356人の略歴と、武将は「知力」、「武力」、「魅力」の3つの能力と登場年に関係する「生年」、それぞれのシナリオの状態も掲載している。

 本項の最大の特色は、略歴を正史に準拠していることである。扉部分にも「今回の人物総覧は正史を中心に解説した。『演義』だけでは、吉川英治版だけではわからない武将たちの生き様。ここで、彼らの新しい魅力に触れてほしい(155ページ)」とあり、執筆者の意気込みがうかがえる。

 ただし、本作には『三国志演義』や吉川英治の『三国志』にだけ登場する架空の人物もいる。彼らについては、冒頭に「正史には登場しない人物」であることを明記したうえで、それぞれの作品内の役割を説明している。また、史実での働きが少ない武将に関しては、出典を記載したうえで創作物中の描写を追加している場合もある。

 1990年にゲームの攻略本という非専門的な書籍で、正史に準拠した武将の略歴を紹介するというのは、かなり先進的であったのではないかと思われる。さらに、その意味での情報的価値だけでなく、『三國志ハンドブック』シリーズ全体からみても、と、正史と『三国志演義』の区分を明確にしたという点において、本項の意義は大きいと言える。

 なお、本項には以降のシリーズに対して表記や読みの異なる武将がいるが、これは前述のように吉川英治の『三国志』に準拠していると考えられるため、ここでは触れない。ただし、本項の劉延の項には曹操配下の武将の略歴が紹介されているのは、明確な誤りである。彼は吉川英治の『三国志』における劉度の息子の名前であり、『三国志演義』における劉賢のことである。『三國志U武将FILE』では、しっかり劉賢の事績が記載されている。
 
 
その他・1

 「目次」では、「一騎討ち名場面(126ページ)」、「配下武将チャート(202〜204ページ)」、「三國志武将生没年表(205ページ)」がひとまとまりにされているため、ここでは、これらをまとめて扱う。「一騎討ち名場面」は、本作で初登場した「一騎討ち」の実例として、『三國志演義』から「張飛VS呂布」、「夏侯惇VS関羽」、「顔良VS関羽」の3例を紹介する。

 「配下武将チャート」は魏、呉、蜀の3勢力に仕えた武将をシナリオごとに列挙しており、シナリオをまたいで仕官している場合は、一本のラインで表される。魏と蜀は見開きで掲載されているが、呉だけはレイアウトを横にすることで1ページにまとめられている。

 「三國志武将生没年表」は、主要人物38人の生没年をラインで表し、184年の「黄巾の乱」から265年の「晋建国」までの時期に誰が生きていたかを分かりやすくまとめている。これもレイアウトを横にすることで1ページに収めている。

 『信長の野望戦国群雄伝ハンドブック』の戦国群雄在世年表でも同じようなことをしているが、これに比べると「三國志武将生没年表」は、事件のはじまりが「黄巾の乱」であり、すでに大半の人物が生まれた状態になっていることから、見た目のインパクトには欠ける。人物のおよそ3分の1にあたる12人が生年不詳(表記は「?」)になっているのも、無理矢理感がある。ちなみに、曹仁の生年が「198年」になっているが、これは「158年」の誤表記である。
 
 
その他・2

 もう1つのまとまりは、「戦場に渦巻く共同作戦(69ページ)」、「めくるめく計略の数々(75ページ)」、「生きた武将・死んだ武将(128ページ)」、「距離と移動時間(135ページ)」の4項である。このうち、「生きた武将・死んだ武将」は、曹操に敗れて捕えられた「呂布・陳宮・張遼」の3人と、関羽に敗れた「于禁・徳」の2例から、捕虜になった武将たちの死生観を見る。

 「戦場に渦巻く共同作戦」は、本作のシステムである共同軍の実例として、『三国志演義』から「袁術孤立(曹操が孫策、劉備、呂布と共同して寿春の袁術を攻撃する」、「曹操危機(2度目の宛攻略に失敗した曹操に対し、張繍と劉表が共同して追撃を行う」、「関羽挟撃(魏の樊城を攻める関羽に対し、呉が魏と組んで関羽の後方を狙う)」という3例を紹介している。

 こうした記事があると、システムの必然性が良く分かるだけでなく、ゲームのルールから逆に元ネタを分かりやすく解釈することもできる。これらの意味において、これは史実とゲームの両面において有意義な情報であると思われる。
 
 
その他・3

 「めくるめく計略の数々」は、本作には採用されなかった『三国志演義』の計略として「曹操の三笑(「赤壁の戦い」に敗れ、逃走する曹操が相手の不備を笑うたびに伏兵が出現する)」と「空城の計(「第一次北伐」において諸葛亮が司馬懿に開け放った城を見せつけ、疑心暗鬼を抱かせる)」を紹介している。

 「距離と移動時間」は、237年に司馬懿が公孫淵討伐に赴いた際、洛陽から遼東まで100日で到着するという発言と、現在の中国国鉄の洛陽から遼東までの距離が1600キロメートルであることを合わせ、当時の行軍速度が1日に16キロメートルであったと算出する。近代歩兵の1日あたりの行軍距離が20キロメートル以上であることを考慮しても、この数値はなかなか妥当なのではないかと思われる。

 さらに、この数字と現在の路線区間を掛け合わせて、『三国志』に登場する地名間の移動に対する必要日数を割り出している。ここには参考として日本の同距離間の地名が掲載されており、距離のイメージがつかみやすくなっている。ちなみに、1600キロメートルは、日本の路線図でいうと宇都宮から鹿児島までの距離に相当するらしい。
 
 
総合評価 ★★★★

 『三國志ハンドブック』を洗練させたような内容であり、レイアウト面を大幅に進化させつつ、情報のバラエティ性を保っている。また、「三國志武将名鑑」は、正史を出典の中心としつつ、それ以外の出典も明記しているという点において、一部の『三國志武将FILE』シリーズにさえ勝っていると言える。

 一方、問題点としては、史実面の解説が限定的となり、本書だけで三国時代を把握することは不可能になったことが挙げられる。また、「三國志武将名鑑」には貂蝉が掲載されている(182ページ)が、彼女を出すための「貂蝉イベント」に関しては情報が一切掲載されていないため、本書だけを読んで普通にゲームをプレイしていても、貂蝉に会うことはまずできないと思われる。
 
 
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