三国志6 三国志VI 三國志6 三國志VI

 ハンドブック紹介

 

   三國志Ⅵハンドブック 下 戦術編   


 ●基本データ
 カラーグラビア
 群の巻
 雄の巻
 英の巻・1
 英の巻・2
 傑の巻
 リプレイ集・1
 リプレイ集・2
 リプレイ集・3
 開発者インタビュー・1
 開発者インタビュー・2
 コラム
 総合評価 ★★ 

基本データ

 初版の発行は1998年5月31日。ページ数は奥付と広告を合わせて192ページ。定価は2000円。本文デザインは水谷均。原稿執筆は与志田拓実、はせべゆたか、箕輪和仁、金子隆。目次によると、本書は「群」、「雄」、「英」、「傑」の4巻から構成される。また、これとは別に冒頭部にはカラーグラビアがある。

カラーグラビア

 2~5ページ。自然写真をバックに曹操の「歩出夏門行」、杜甫の「古跡を詠懐す」の2編の漢詩を掲載する。写真については、キャプションがないため、詳細は不明であるが、「古跡を詠懐す」には、バックの写真とは別に「漢中にある諸葛武侯の墳墓」が挿入されている。なお、本項は目次には掲載されていない。

群の巻

 7~64ページ。副題は「三國志Ⅵをプレイする」。目次では全14項であるが、プレイレポート3編、バトルレポート1編、開発者インタビュー、コラムなども含まれており、これらは後述する。

 これらの要素と、それに付随する攻略要素を除くと、残りはゲームスタート時に任官されている将軍たちの一覧、野戦と攻城戦、武将の「夢」のうち、「義侠」と「隠遁」に対する解説となる。しかし、いずれも上巻の補足事項的な意味合いが強く、本来ならば上巻で解説しておくべきものばかりである。

 ただし、野戦で「混乱」させた敵武将に一騎討ちを申し込むと、無理やり一騎討ちに持ちこませる手段(40ページ)と、攻城戦で「挑発」を使い、敵武将に城内から城門を開かせる手段(47ページ)は非常に有効である。ちなみに、野戦においても「挑発」によって本陣を守っている敵武将をおびき寄せ、本陣を奪取するという手段が使える。『三國志Ⅰハンドブック』で言うところの「双龍の計」である。

雄の巻

 65~96ページ。副題は「三國志Ⅵの野戦場に臨む」。2項で117ヶ所の戦場と36個のアイテムを解説する。野戦場については、ゲーム中での特徴が紹介されているほか、古戦場については歴史的背景の解説がある。

 野戦場の数が膨大なのは、ある都市に攻め込んだ場合、ルートごとに別の戦場が用意されているためであるが、マップの使いまわしも多い。『三國志Ⅶハンドブック』では、マップが同じものはひとまとめにし、そのマップが適用されるルートをまとめて紹介しており、こちらの方がページが節約できるだけでなく、まとまりも良いように思える。

 野戦場の中では、関のある戦場と河川の多い戦場に注目したい。関のある戦場では防御側が絶対的に有利であるため、攻撃する場合は、そこからの侵攻を避けるべきであり、逆に攻め込まれた場合は、関を有効に活用することができる。また、河川の多い戦場では水軍兵が圧倒的な強さを発揮するため、水軍兵の多寡が、そのまま勝敗に直結することになる。

 アイテムについては、上昇能力と忠誠度、能力以外の特典、各シナリオごとの所有者が掲載されている。解説があるのは一部のアイテムだけにとどまるが、全てのアイテムの名称欄の下にはキャッチフレーズ的な紹介文が附随するため、最低限の歴史的背景を把握することができる。

 また、上巻の71ページには、「アイテム一覧」として最低限のデータが掲載されているが、本項によって完全に無意味な存在となっている。これも、情報の分割の失敗であるような印象を受ける。

英の巻・1

 97~128ページ。副題は「歴史背景にアクセスする」。6項目のうち、ゲームに直接関連しているのは歴史イベントを紹介する「歴史イベント解説」だけであり、後は歴史読み物が中心となる。

 「歴史イベント解説」についても、『三國志Ⅵ』マスターブックの「歴史イベントコレクション(44~51ページ)」と大きく重なる部分がある。基本的には「歴史イベントコレクション」の方が発生条件についての情報量は多いが、「歴史イベント解説」にはイベントの結果が掲載されているものもある。ただし、情報の掲載が中途半端であるため、やはり総合的には「歴史イベントコレクション」があれば、本項は不要であると言える。

 読み物の「三国志の派閥抗争」は、本作にも登場する派閥争いの歴史的背景を語る。ここでは袁紹の後継者争い、魏の皇族(曹爽派)と貴族(司馬懿派)の対立、呉の徐州閥と揚州閥、蜀の益州閥と荊州閥などの戦略を巡る対立などが取り上げられている。また、袁紹の後継者争いについても、袁譚派の冀州閥と袁尚派の豫州閥の対立と見なしており、全体的に地方閥による対立から派閥争いを見るかたちになる。

 「冀州を巡る争い」は、正史の記述から冀州を巡る袁紹と公孫、袁紹と曹操、曹操と袁譚、袁尚の争いを語る。ここで重要なことは、ゲームでも『三国志演義』でも、袁家残党として曹操に一蹴される印象のある袁家の兄弟たちが、実際には相当の勢力を維持していたことである。

 「一騎討ちの話」は、『三国志演義』の一騎討ちの多くがフィクションであることを前提としたうえで、それらがもたらす文学的効果を考察する。また、モデルとなった史実の一騎討ちの紹介もある。

英の巻・2

 「皇帝権威の凋落」は、秦の始皇帝から後漢末の皇帝に至るまでの歴史に触れたうえで、後漢末の董卓、曹操による献帝推戴、袁紹の劉虞推戴計画、袁術の皇帝自称などを取り上げ、皇帝の至高性が失われていく様子を描く。皇帝は世界を体現するものであり、それゆえに並立して良いものではない。三国時代における3人の皇帝の並立は、それまでになかった異常事態であり、この皇帝の存在の暴落が、五胡十六国時代の国家と皇帝の乱立の遠因となったという。

 しかし、中国における至高的存在の凋落自体は、春秋戦国時代の諸侯たちが周にのみ許された「王」の称号を自称するという前例があり、皇帝の乱立も、新末期の割拠状態の中に見られる。その意味において、三国時代の皇帝の並立という状況は、ことさらに特別というわけではない。

 また、「隋以後の中国史では、再び皇帝は一人だけというのが常態となる」という結論にも、疑問に思うところがある。唐以後の五代十国時代の皇帝と国家の乱立ぶりは五胡十六国時代に匹敵し、元や明末期の動乱にも皇帝を僭称する者が複数現れているためである。本項は、三国時代だけに注目するあまり、歴史観がいびつになっているような印象が残る。

 「三国時代における異民族」は、東夷、南蛮、西戎、北狄の四方の異民族を話題の中心としており、五胡十六国時代のことも少しだけ語られる。ゲーム的には、南蛮はそのまま、西戎はと羌、北狄は匈奴と烏丸に相当する。東夷の高句麗と倭は、外国朝貢イベントで登場することがある。

傑の巻

 129~189ページ。副題は「武将データを極める」。本作に登場する全武将の顔グラフィック、夢、相性、登場年、能力上限と、各シナリオごとの能力値を掲載している。また、NPCとして異民族武将(158ページ)、旅人(169ページ)、後漢黄帝(189ページ)についても、簡潔に触れられている。

 情報的には上巻と重なる部分は少なく、特に各シナリオごとの能力値に関しては『三國志Ⅵ武将ファイル』にも掲載されていない要素である。また、『三國志Ⅵ武将ファイル』では、事績の少ない武将の顔グラフィックが省略されていたことを思えば、部分的には武将専門の「武将ファイル」を凌駕する部分があると言える。

 しかし、それでは何のための「武将ファイル」であるのかという問題になり、「ハンドブック」2冊約400ページのうち、4分の1近い90ページが重複した情報であるというのも無駄が多いように思われる。個人的には、この箇所は『三國志Ⅵ武将ファイル』と統合し、もっと別の情報に割り当てた方が良かったのではないかという印象がある。

リプレイ集・1

 「永遠の人材コレクター曹操の巻(8~13ページ)」は「人材登用」をテーマとしたシナリオ2の曹操のリプレイである。登場人物には非常にアクの強いキャラクター付けがなされており、やや読む人を選ぶかもしれない。ゲームに関連する情報自体はあまり多くはないが、群雄自らが「登用」に赴いた際に問われることがある三択クイズ、在野および他勢力からの登用に適用される能力、「嫌いな武将」などの話がある。

 また、それに付随して14~15ページには三択クイズの模範回答がある。これは、正解があるというものではなく、3つの回答は、3種類の「主義」に割り振られており、相手の「夢」が属する「主義」に応じた回答をすることで、登用確率が上がるというシステムになっている。

 「熱血!張飛の一騎討ち三昧」のテーマは「一騎討ち」である。群雄自体はシナリオ2の劉備であるが、実際には、その家臣である張飛の1人語りという体裁で彼の一騎討ちの戦歴を振り返る。同時に、これは張飛の成長の物語でもあり、はじめは適当に一騎討ちの作戦を組んでいたものが、強敵たちと戦うことで作戦選択の重要性を知り、作戦のコンプリートという目的に目覚めて行く。

 ゲーム的には、参軍の「混乱」で混乱した相手を強引に一騎討ちに持ち込ませる手法や、作戦を取得するためには、その作戦を一騎討ち中に相手が使わなければならないこと、水上では一騎討ちができないことなどに注目したい。張飛が自分の経験を語るという体裁により、読み物としての部分とゲームの解説の部分の融和が無理のないかたちになっており、個人的には、本書のリプレイ集の中では最も出来が良いように思われる。

 また、これと関連して22~24ページはあらためて一騎討ちを解説する「一騎討ち必勝法」、25ページには趙雲、関羽、呂布との戦いを想定する「最大最強のライバルを倒せ!」が掲載されている。彼らとの戦いは「パワーアップキット」で「一騎討ちモード」が追加されたため、これを利用することで簡単に対決を実現させることができる。

リプレイ集・2

 「帝国過激団参上!」のテーマは「新武将」。シナリオ3の袁術の血縁武将として5人の娘を設定し、彼女たちの活躍を中心として曹操を滅ぼすところまでを掲載している。言うまでもないが、「帝国過激団」は『サクラ大戦』の「帝国華撃団」のパロディであり、件の5人娘も、初代『サクラ大戦』のメンバーをモチーフにしている。

 パロディの問題点は、元ネタを知っていることが前提になることと、元ネタの好き嫌いが、そのままパロディにも反映されてしまうことである。『三國志Ⅵ』マスターブックには『ギレンの野望』をモチーフにしたリプレイがあり、そちらは当時『ギレンの野望』をプレイしたこともあって笑わせてもらったが、はっきり言って『サクラ大戦』には思い入れもないため、あまり面白味が感じられないのも事実である。

 しかし、それ以前の問題として、「三国志」とは何の関係もない、別のメーカーのゲームモチーフにしたストーリーが、小ネタなどではなく、ある程度のページを割いて掲載されているということ自体が凄い。ライターは良い度胸をしていると思う。ちなみに、パロディとして見た場合も、キャラクターの年齢順や抹消されたマリア・タチバナの存在など、疑問が残る箇所がいくつかある。

 また、これに付随して32~33ページには「武将登録のポイント」として8つのアドバイスが掲載されている。しかし、いずれも基本的なものであり、特に注目するべき要素はないと思われる。

リプレイ集・3

  「南蛮ルートへの挑戦(52~55ページ)」のテーマは「異民族」。シナリオ3の孫策で山越→南  海→南蛮→成都という異民族領を通過して南方を大きく迂回するルートの開拓に挑戦する。文体は、事績の記述を中心としつつ、その合間に武将の会話をさしはさむタイプである。このタイプのリプレイは『三國志Ⅶ』以降の書籍に多く見られるが、個人的にはあまり面白みがないように思われる。

 こうした異民族領を通るルートは、他にも匈奴を通じて安定と晋陽を渡るルートがある。しかし、いずれにしても、異民族の反乱が起こった場合、ルートを分断される危険性があり、非常にハイリスクな戦略である。リロードを良しとしないプレイでは、用いるべきではないと思われる。

 また、56~57ページには、これに付随するかたちで異民族領の野戦マップを紹介した「異民族攻略法」が掲載されている。この中では、烏丸と匈奴が「鉄騎兵」を主力にしているにもかかわらず、敵の本陣が山地にある点に注目したい。これにより、烏丸と匈奴は鉄騎兵の戦闘能力を充分に生かすことができないのである。

開発者インタビュー・1

 「開発スタッフに聞く(58~63ページ)は匿名の3人のスタッフから開発秘話を聞く。攻城戦の復活については、スタッフの声が反映されたものである。また、野戦は攻撃側と防御側で印象を変える予定があり、守備側は罠などを設置できるシステムを計画されていたという。これは続編の『三國志Ⅶ』で実現した。

 補給線の概念は{少数で多数に勝つ」の実現である。「少ない兵力だと敵の大軍に勝てない」という意見の反映のようであるが、それは当たり前のことであり、そうだからこそ、圧倒的劣勢を覆す愉悦が生まれるように思われる。はじめから、それが簡単にできてしまうシステムを搭載するのは、本末転倒のような気がする。

 ショートシナリオについては『提督の決断』シリーズが参考になっている。また、開発スタッフの1人は、あらかじめストーリーを作り、それに沿った目標を期限内に達成するという遊び方をしており、これが発想の原点になっているという。これは、どちらかというと『信長の野望烈風伝』や『三國志Ⅶ』のショートプレイモードの方がイメージがちかいように思われる。

 その他には、本拠地の「移転」にはデメリットがあったこと(詳細は不明)、異民族は辺境の勢力の地勢的優勢をなくすための措置しての側面があることなどが個人的には興味を引かれた部分である。また、企画段階では150以上の歴史イベントが予定されていたが、強引にシチュエーションを変えるものは採用していないという。「自由度の高さ」と「歴史の再現」という相反する部分のバランス取りには気をつかっているようである。

開発者インタビュー・2

 次回作については、「『Ⅵ』とは違う、新しいものになるでしょう」という。確かに『三國志Ⅶ』は、君主以外でのプレイというスタイルを取り入れており、この言葉は間違いではないと言える。また、戦争面で「地勢」を取り入れるような発言もあり、これも行軍ルートの地勢的分類とペナルティによって実現したと見なすことができる。

 しかし、「戦略級ウォーゲームとしてバランスの良いゲームにしたいです。プレイヤーが思ったとおり簡単に進むのではなく、何らかの障害があって、それを克服していくほうがゲームとして面白いでしょう。ただそれが、運に左右されるようでは困るわけです。偶然ではなく必然性のある、納得がいくマイナスがあり、それをプラスに変えるために時間が楽しいようなゲームにしたいですね」といった崇高な理念は、とてもではないが実現されたようには思えない。

 『三國志Ⅶ』は、本作にも増してCPUの動きが悪く、プレイヤーをわざと勝たせようとしているとしか思えない動きをすることがままある。そのため、主君でプレイした場合は、まさしく「プレイヤーが思ったとおり簡単に進む」ことになり、それ以外の場合はCPU主君の頭の悪さに振り回されるという「納得のいかないマイナス」に苛立つことになる。そのため、とてもではないが、「戦略級ウォーゲームのバランス」が取れているとは言い難いものになってしまっているのである。

コラム

 本書のコラムは3編である。「群雄の人徳を上げるには(64ページ)」は、そのまま「人徳」の上げ方についてである。大幅な上昇を見込むには、高ランクの官位に就任するしかないが、「同盟精力の使者を捕えた際、密書の中身を確認しないで通過を許可する」か「戦闘で捕えた捕虜に一度も「登用」をせずに見逃す」ことでも、それぞれ「1」上昇する。特に後者の手段は、利用価値のない低能力の武将を逃がして「人徳」を上げるという手段が使える。

 「公に封爵されるためには(96ページ)」は「公」に封じられるための3つの手段を紹介している。下巻でわざわざコラムを設けるだけのことはあり、上巻の89ページには、「王」や「皇帝」に即位するための情報は掲載されていても、「公」になる情報だけは掲載されていない。単純な見落としを下巻で補ったのか、情報を出し渋ったのかは不明であるが、あまりほめられた姿勢ではない。

 ちなみに手段自体は歴史イベントの「魏公推挙運動」を起こす、「王」や「皇帝」の群雄が「官職」を使う、後漢黄帝を擁している群雄の官職が「丞相」であり、後漢黄帝の「人徳」が「30」未満の時に「夢」が「覇権」の武将と「会見」し、「評定」を進言させるなどの手段がある。もっとも汎用性が高いのは、3つ目の手段であると思われる。

 「相性の持つ意味を探る(128ページ)」は、群雄間の相性による対立構造を中心に「相性」の持つ意味を解説する。ここで最も重要なことは「忠誠度80台の武将は基本的に引き抜き可能なのだが、仕えている群雄との相性差が3未満だとまったく不可能になっているのである」という一文である。

総合評価 ★★

 本書は、リプレイや歴史読み物が充実している。これらの中には興味深いものや読み応えのあるものも多い。 しかし、本書の攻略情報は上巻と内容の被る部分が多く、この部分は上巻と併合してしまっても問題がないという印象がある。

 そして、リプレイや歴史読み物も、『三國志Ⅳ』や『三國志Ⅴ』の書籍展開では「マスターブック」シリーズに掲載されてきたものであり、『三國志Ⅵ』においても『三國志Ⅵマスターブック』に掲載していればよかったのではないかと思えてしまう。

 これらのことからすると、「ハンドブック」を上下巻に分ける必要性があったとは思えず、本書は存在意義自体が希薄であると言える。「ハンドブック」、「マスターブック」、「武将FILE」のそれぞれが担当している情報を少しずつ取り寄せて作った、水増しの書籍と見なされても、仕方のないことではあるように思われる。


 ページの最上段に戻る                           シリーズ一覧表へ
_