三国志8 三国志VIII 三國志8 三國志VIII

 ハンドブック紹介

 

   三國志Ⅷハンドブック 下  


 ●基本データ
 第一章 イベント・エンディング紹介
 第二章 戦争解説(兵科・戦術・地形効果・士気)
 第二章 戦争解説(戦功・戦法・計戦・計略・強行)
 第三章 戦場解説
 第四章 都市解説(概論)
 第四章 都市解説(新登場の都市)
 第五章 登録武将の作り方(特技と戦法)
 第五章 登録武将の作り方(作成例と遊び方)
 第六章 武将能力データ
 ゲームレポートと「旅人に聞け!」
 総合評価 ★★

基本データ

 初版の発行は2001年8月1日。ページ数は160ページ。定価は1800円。本文デザインはSPURT。これらのデータは上巻と同じである。執筆者に関しては成瀬史弥、はせべゆたか、MINOIX、横井祐介らは上巻にも名が見られるが、金子隆が太田康介に代わっている。目次によると、本書は全6章から構成されており、それとは別に「三國志Ⅷミニ情報」として「旅人に聞け!」全4回がある。

第一章 イベント・エンディング紹介

 3~11ページ。本書も上巻と同じく、扉は武将の顔グラフィックに飾られる。本項の顔グラフィックは「諸葛亮と司馬懿」である。ここでは、タイトル通りに3項で歴史イベントとエンディングの一部を紹介している。また、歴史イベントの「連環の計」に関しては、呂布と貂蝉が同郷であったというオリジナルの設定を採用したためか、特に一項を割いている。

第二章 戦争解説(兵科・戦術・地形効果・士気)

 13~40ページ。扉は「劉備と孫尚香」。10項目で軍備から戦後処理までを解説する。注目するべきデータとしては、17ページの「兵科の特徴」がある、ここでは、基本となる「軽歩兵」の攻撃力と防御力を「1」として、それに対する他の兵科の攻撃力と防御力が掲載されている。なお、解説中に「機動力」に対する話も載っているが、機動力のデータは21ページにある。これらは1つにまとめた方が良かったのではないかと思われる。

 19ページの「戦術一覧」と「策略一覧」のうち、「戦術一覧」は能力の上昇値の具体性が高く、有用であると言える。一方、「策略一覧」30~32ページの「策略大全」と内容が被っているうえ、「策略大全」の方が詳細であるため、利用価値は低い。

 21ページには「地形効果一覧」と「各兵科の機動力一覧」がある。このうち、「各兵科の機動力一覧」については、前述の通り、17ページの「兵科の特徴」と関連性が強く、本来ならば1つにまとめるべき項目であると思われる。地形効果については、「A」から「E」までの5段階で大まかに表現されている。

 今回は、湿地と街道が同等の防御力であり、特技の「水軍」を持たない水上部隊は、それ以下となる。また、「楼船」と「水軍」の両方を持つ水上部隊の地形効果は、平地などと変わらない。前作のように高い地形効果を得られるわけではないため、無理に水上で戦う必要はないと言える。

 25ページには「部隊士気が増減する要素」として「出撃時の士気」と「戦争中の士気増減要素」が掲載されている。本作においても街道の種類に対する士気の初期値の変動が採用されている。また、河川を通る場合、特技の「水軍」を持つ部隊の士気は「70」、「楼船」を所持する部隊の士気は「80」となる。なお、24ページには「士気が30未満の部隊はは毎ターン兵士が逃亡する」ことが掲載されており、士気の最低限のボーダーラインと見なすことができる。

第二章 戦争解説(戦功・戦法・計戦・計略・強行)

 29ページには各種の「戦功一覧」と「兵科・兵器の邊金額」が掲載されている。28ページの解説によると、戦功値の約20%が功績に変換される。また、戦功値の上位3名については、功績値が上乗せされる。これについては「マスターブック」の107ページに記述があるが、最大でも「300」と、あまり多いものではない。なお、罠にかかるだけで戦功は80%に減少するようである。

 30~33ページの「策略・罠大全」は、19ページと内容が被っているが、こちらの方が成功率を高める条件など、情報は詳細である。ただし、具体的な数値と言えるものは「地穴」の「城兵に対する攻撃力2倍」と「堅牢」の「敵からのダメージ半減」の2項に留まる。

 34~40ページの「戦法・計戦・計略大全」のうち、「戦法」は通常攻撃と比較した場合の攻撃力の比率が掲載されており、地形や熟練度と成功率の関係についても大まかに紹介されている。「計戦」と「計略」については、大まかに成功率を高める手段が紹介されているが、「計略」は影響するマスクデータも掲載されている。これらのうち、特に「戦法」と「計戦」の成功率については「マスターブック」の117ページに詳細がある。

 最後に40ページの最下段には「強行」に関する記述がある。本作の「強行」は「戦術」の「速攻」と「疾風」以外を選んだときに使用が可能となり、兵士数と士気を犠牲にして移動距離を1.5倍にする。ただし、これらの減少量に関する記述はない。

第三章 戦場解説

 41~79ページ。扉は「関羽と関平」。本作に登場する172の戦場を紹介する。ただし、実際には全く同じ地形の戦場を統合しているため、掲載されている戦場は「79」となる。また、42ページによると、地形が同じであるが、城や攻撃拠点などの位置が違う戦場を別にカウントしており、それを除くと純粋な地形のパターンは「43」になるという。

 戦場については攻撃拠点、砦、城の位置を掲載したマップ、軍議で登場する小型のマップを中心に、地形の解説と、その戦場が適用される侵攻ルートが掲載されている。また、23の特別戦場については、その戦場の歴史的背景が掲載されているが、函谷関と武関は三国時代の戦場ではないため、秦末期の事績が記されている。

 なお、戦場マップでは、全て砦の数が2つになっているが、42ページによると砦は城の防御度の上限値に対する割合で最大4つまで増加するという。つまり、防御度「2000」の城塞都市でも「1200」の農耕都市でも、砦の増え方自体は変わらないということである。

第四章 都市解説(概論)

 81~107ページ。扉は「袁紹と曹操」。本作に登場する50の都市のデータを掲載している。扉には「51」とあるが、これは誤りである。前作と比較すると、交州の都市が姿を消し、揚州、荊州、益州を南方で結ぶルートがなくなっている。また、東側の海洋ルートもなくなり、ルート選定の自由度は大きく制限された印象を受ける。

 最初に全土のマップを掲載するのは、これまでの『三國志』の「ハンドブック」シリーズに共通してみられる傾向であるが、本書では『三國志Ⅱハンドブック』以来、ひさびさに各拠点ごとに全体マップが掲載され、その拠点が全体マップのどこに位置するかが一目でわかるようになっている。

 都市のデータは1ページに2つ掲載され、全体マップ中の位置、都市の特徴と各パラメータの最大値、周辺都市との接続関係、各時代の最初の年の都市データが紹介されている。データ面に圧迫されているためか、都市の解説は簡潔にまとめられ、ゲーム上の情報だけに限られている。

第四章 都市解説(新登場の都市

 本書には都市の歴史的背景の解説がないにもかかわらず、本作で初出の都市は意外と多い。「遼東(83ページ)」は幽州遼東郡であり、これまでの「襄平」に相当する(襄平県は遼東郡の治所である)。「渤海(84ページ)」は冀州渤海郡。やはり、これまでに登場した「南皮(南皮県)」が治所となっている。襄平と南皮は、都市名が登場した『三國志Ⅲ』以来の皆勤であったが、本作において姿を消したことになる。

 「済南(87ページ)」は青州済南国。「黄巾の乱」で功績を上げた曹操が相に任じられたことがある。「広陵(94ページ)」は徐州広陵郡。陳珪、陳登親子の出身地である。陳登は広陵郡太守として二度に渡る孫策軍の襲撃を撃退している。「翻陽(97ページ)」は『三國志Ⅴ』の「陽」にあたる。「赤壁の戦い」の直前の時期、周瑜は「翻陽」にいたが、孫権に呼び戻されている。

 また、1363年には朱元璋が江南の覇権を確立するきっかけとなった「陽湖の戦い」が行われた。『三国志演義』の作者である羅貫中は、この戦いと同時代の人であり、作中の「赤壁の戦い」には、「陽湖の戦い」のモチーフが取り込まれているとする説もある。

 「(105ページ)」は益州広漢郡県。劉璋が張魯討伐の依頼を受けた劉備を出迎えた場所である。『三國志Ⅲ』および『三國志Ⅳ』では古戦場(城)として登場している。「巴(105ページ)」は益州巴郡。劉璋配下の厳顔が太守を務めていたが、張飛に捕えられて彼に降った。これまでのシリーズの「江州」にあたる(江州県は巴郡の治所である)。

 「三江(107ページ)」は、これまでのシリーズの「雲南」に相当する。「三江」の名称自体は、おそらく『三国志演義』において朶思大王が守りを固めた三江城のことであると思われる。「三江」はチベット高原を水源とする「金沙江」、「瀾滄江」、「怒江」の3河川が並行して流れる地域であり、現在は「三江併流」として世界遺産に登録されている。

第五章 登録武将の作り方(特技と戦法)

 109~117ページ。4項目で新武将の作成と楽しみ方を解説する。目玉と言えるのは112~113ページの「新武将設定資料集」である。ここには、「性格」と「志」の決まる組み合わせ、主な君主の相性分布、能力タイプに対する能力値配分の違い、能力タイプを中心とした特技習得と戦法習得のパターンなどが掲載されている。

 特技については、習得する機会の少ない「医術」と「天文」の取得が勧められている(110ページ)。「医術」は「魅力と「平凡」タイプ、「天文」は「知力」、「魅力」、「軍師」、「平凡」タイプで習得できる可能性がある。また、「性格」の「穏和(113ページの2つの表では、いずれも『緩和』になっている」、「冷静」、「臆病」も、わずかではあるが、「天文」の取得率に影響を与えている。

 また、強力な戦法は消費する戦法ポイントも高いため、兵科の制約が少なく、消費戦法ポイントも低い「突撃」、「攪乱」、「奇襲」などを勧めている(111ページ)。ちなみに、新武将は、それぞれの系統における他の特技を全て取得することが習得条件となる特技(「全能」、「神眼」、「鬼謀」、「神算」)は、デフォルトで習得することができないようである。

第五章 登録武将の作り方(作成例と遊び方)

 111ページには「新武将の設定例」として張譲と祝融婦人(本作の祝融婦人は孟獲の妻の「祝融」としてのみ登場する。ただし、パワーアップキットの「戦術キャンペーン」に武将として登場するシナリオがある)を作成している。

 しかし、張譲の「武力」が「71」、「知力」と「政治」が「94」で「妖術」持ちというのは過大評価も良いところである。『三国志Ⅶ』のコンシューマ版(PC版に彼は登場しない)における彼の能力は「武力」が「18」、「知力」が「74」、「政治」が「86」、技能は「諜報」、「扇動」、「虚報」であった。

 祝融婦人も「武力」が「93」、「知力」が「70」、「魅力」が「86」で技能に「医術」を持つなど、非常に強力な武将として設定されている(『三国志Ⅶ』では「武力」が「70」、「知力」が24、「魅力」は「58」である)。個人的にはモデルのいる武将を作成する場合は、使い勝手よりも、その個人の特徴をいかに再現するかがポイントになると思われる。その視点から見た場合、これらの新武将は、使い勝手は良くてもモデルの再現度に関しては低いと言わざるを得ない。

 116~117ページには「新武将・攻略のヒント」として「無敵の象兵軍団を組織する(南中で旗揚げして象兵や南蛮兵を最大活用する)」、「スーパー軍師で劉備を救う(劉備が平原に割拠シナリオで彼に仕え、軍師として滅亡の危機を救う)」、「偽物軍団で本物を滅ぼす(既存の武将の偽物を作り、本物と戦わせる。ただし、本作では既存の武将と全く同じ名前にすることはできない)」の3つが紹介されている。

 このうち、「偽物軍団で本物を滅ぼす」については、『三国志Ⅲハンドブック』に同一趣旨のバトルレポートが掲載されている。『三國志Ⅲ』では、新武将の名前を既存の武将と同じ名前にすることもできるため、こうした試みに対しては、昔の作品の方が自由度が高くなっている。

第六章 武将能力データ

 129~159ページ。扉は「馬騰、馬超、馬岱」。ちなみに、彼らの写真はモノクロである。なお、本書には各武将のシナリオ開始時の状況が掲載されていないが、これについては上巻で紹介されている。

 本項における1人あたりの武将のデータは見開きで表される。その内訳は基本データとなる「武力」、「知力」、「政治」、「魅力」のほか、「誕生年」と「死亡年」、「特技」と「戦法」であるが、「特技」と「戦法」については、すべての種類を列挙したうえで、その有無を表示しているため、一行の大半が、これらの表示に費やされている。

●ゲームレポートと「旅人に聞け!」

 ゲームレポートは118~127ページの「張遼、東進す」。194年の張遼を主人公として、呂布からの独立と洛陽を中心にした勢力の拡大、揚州打通作戦による四面楚歌からの脱出、好敵手孫策との戦いの日々を描く。文体は三人称であり、コマンドや能力、特技など、ゲーム的な部分の描写は極力抑えられている。全体的には、通常の小説に近い感覚で読むことができると思われる。

 「旅人に聞け!」は旅人の語りという体裁で各種の小ネタを紹介する。第一回の「エンディングの種類(12ページ)」はエンディングの分岐のヒント(語り手は左慈)、第二回の「マスクデータについて(80ページ)」はマスクデータ(語り手は管路)をテーマとしている。

 第三回の「都市の小イベント(108ページ)」は、都市のグラフィックをクリックすることで起こるイベント(語り手は華佗)、第四回の「結婚イベントについて(128ページ)」は、結婚イベントのヒント(語り手は蔡)の紹介である。いずれも情報量的には大したものではないが、昔の「ハンドブック」シリーズを思えば、そうした要素の存在を紹介しているだけでもありがたいと言える。ただし、これらのすべては「マスターブック」に詳細が掲載されており、その存在を前提とするならば、本項の価値も低くなってしまう。

総合評価 ★★

 『三國志Ⅷ』の「ハンドブック」は上下に分かれているが、「攻略」と呼べる要素は本項に集中している。特に軍事、戦争関連、新武将のデータと都市データ、武将データなどは「マスターブック」と重なる部分も少ない。本書と「マスターブック」があれば、『三国志Ⅷ』のデータは、かなりの部分を押さえることができる。

 一方、歴史的背景に関する解説は皆無に等しく、『三国志Ⅶハンドブック』では、かろうじて都市解説で歴史的背景の解説があったが、それさえも今回は削除されている。本書を読んで歴史的背景としての『三国志』を理解するのは、まず不可能であると思われる。その意味において本書は、「単なるゲーム攻略本」でしかないと言える。


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