三国志4 三国志IV 三國志4 三國志IV

 ハンドブック紹介

 

   三國志Ⅳハンドブック  


 ●基本データ
 巻頭グラビア 孔明出廬
 第一部 英傑降臨ノ章
 第二部 内治ノ章
 第三部 外征ノ章
 第四部 遊戯ノ章
 第五部 地勢ノ章
 第六部 情報ノ章
 歴史読み物
 コラム
 『三國志Ⅳ』を語る
 総合評価 ★★★★

基本データ

 初版の発行は1994年5月23日。本項では1995年8月10日に発行された第8版を参照している。ページ数は200ページ。価格は2000円。本文デザインは水谷均。本文イラストは正子公也と森潤二。本文執筆は猪野清秀、金子隆、田中忠司、はせべゆたか、牧秀明。

 目次によると、本書の中心となるのは6つの「部」である。この各部には簡潔な解説があり、その部で何を解説しているのかが一目でわかるようになっている。その他には巻頭グラビア、歴史読み物3編、コラム2編と、特別企画としてシブサワ・コウへのインタビュー記事などがある。ちなみに、『三國志』シリーズの「ハンドブック」で開発者の思惑が語られるのは、本書がはじめてである。

巻頭グラビア 孔明出廬

 3~8ページ。このうち8ページは折込になっており、表裏合わせて1ページとしてカウントされているようである。本項は正子公也のカラーグラビアであり、タイトル通り、諸葛亮の出廬をテーマとしている。3~5ページは劉備と徐庶の別れのシーンを漫画的コマ割りで表現、6~7ページは雪中を行く三兄弟、8ページは諸葛亮の出廬と野を行く曹操軍という構成になっており、話は赤壁につながっていく。

第一部 英傑降臨ノ章

 9~27ページ。扉絵は「陸遜伯言」。6項目のそれぞれで6つのシナリオの概要と、全勢力の初期戦略を解説する。「三國志Ⅲハンドブック」と比較すると、勢力図が大きくなり、地名が挿入されるようになった。また、主君は全て顔グラフィックが表示され、所有都市が列挙されている。また、在野武将や引き抜きやすい武将、忠誠度が低い武将の情報もあり、これらは人材の確保において有用であると言える。

第二部 内治ノ章

 29~59ページ。扉絵は「郭嘉奉孝」。6項目から政略を解説する。それぞれの項目は本作に登場する武将が解説するという体裁を取り、要点は「心得三カ条」にまとめられている。さらに「実戦講座」として、解説役の武将と主君のやり取りから具体的な運用法を論じており、単なる説明になりがちなゲーム性の解説部分にエンターテイメント性を持たせている。

 データ的に注目するべき要素としては、「序盤の問題点とその対策(33ページ)」より、人口30万以上の都市の場合、「開発力」と「商業価値」は「100」以上にしておくのが望ましく、人口20万以下の都市の場合、内政を行う価値はあまり高くないことなどが挙げられる。また、民衆反乱の起こる目安は民忠誠度「50」、安全圏としては「60」、沿岸部の都市の「治水度」は「60」以上、武将の忠誠度は「80」以上であることが望ましい。

 ゲームスタート時点の在野、未登場の武将については43ページの「在野武将登用表」、外交における敵対心の変化は47ページの「敵対心増減一覧表」にまとめられている。また、本書では各シナリオのスタート時点での各勢力ごとの敵対心が48~49ページの「君主同士の敵対心」にまとめられている。君主Aが君主Bに持つ敵対心と、君主Bが君主Aに持つ敵対心には差異がある事に注目したい。

 兵器の「製造」については、「技術力」が「20」で「弩」、「40」で「強弩」、「60」で「連弩」、「80」で「衝車」、「100」で「発石車」が作れるようになる(53ページ)。このうち、「弩」と「強弩」は商人からも購入することができ、投資額を考慮すれば、こちらの方が効率的であるという(37ページ)。また、「訓練」については「統率力」と「武力」の双方の影響を受けるが、それよりは能力が低くても人数を増やした方が効果的である(53ページ)。

 「計略」関係については、「作敵」と「駆虎」は「魅力」、「流言」は「知力」と「魅力」、「焼討」は「知力」と「武力」、「諜報」は「統率」と「政治」が影響を及ぼす。 また、本作では情報収集にも「情報」の技能が必要であるが、「埋伏」ならば、技能がなくても敵国の情報を得ることができる(56ページ)。ちなみに、本作の「埋伏」は、その他にも俸禄の節約や敵兵の奪取、長距離間の移動など、非常に応用のきくコマンドになっているようである。

第三部 外征ノ章

 65~85ページ。扉絵は「趙雲子龍」。本項と次項の「遊戯ノ章」は、扉絵がモノクロになっている。本項では10項目から「戦争に対する攻略法」を解説する。基本的な構成は前章と同じであるが、「実戦講座」はない。

 注目するべき点としては、「一斉攻撃」を行うために必要な「統率力」が前作と同じく「70」以上である点(67ページ)、「援軍」の要請には「政治力」が適用される点(68ページ)、本作の落とし穴の被害は30%程度である点(70ページ)などが挙げられる。

 また、兵器の「弩」と比較すると、「強弩」は2倍、「連弩」は3倍の攻撃力を持つが、射程は「強弩」が最も長い点も(72ページ)注目するべき要素である。ただし、本書で「強弩」の射程は「3」、他は「2」となっているが、実際には、「強弩」の射程は「4」、他は「3」が正しい数字である。その他のデータ的要素は、73ページに「戦争コマンドの成果に影響するデータ」、「落とし穴と知力」、「機動力と訓練・兵士士気」、「火矢早見表」などがまとめられている。

第四部 遊戯ノ章

 89~104ページ。扉絵は「悪来典韋」。7項目のうち6項目は各勢力を「強豪君主」、「貧乏君主」、「イマイチ君主」、「辺境君主」、「超弱小君主」、「新君主」に分類し、それぞれのカテゴリーに含まれる君主の対話という体裁で攻略法を紹介している。また、要点は「教訓」としてまとめられており、攻略法だけでなく、各分類に適したプレイスタイルも紹介している。

 なお、本項では「埋伏」の活用術の一環として、「貧乏君主」の場合は俸禄の節約手段(93ページ)、「辺境君主」の場合は、相手勢力の武将の少なさに付け入る手法(97ページ)を紹介している。

 残る1項は「新米君主の悩み相談室」であり、諸葛亮、劉禅、呂布の3人が4人の質問者の悩みに回答する。質問は、いずれもシステム面に関することであり、その補足的事項の解説という意味合いが強い。

 この中では、「取引」のルールに注目しておきたい(103ページ)。本作で商人が常駐している都市は南皮、襄陽、成都、建業の4つであり、洛陽や長安ですら商人がいないこともある。また、商人との取引には月ごとに上限があるが、長安と洛陽には、この上限がない。また、西涼では、「軍馬」のみ上限がないという。

 異民族については、本作では4種類(烏丸、羌、山越、南蛮)が登場する。しかし、このうち烏丸は207年まで活動期間となり、それと入れ替わるかたちで南蛮が208年から活動をはじめる。また、それぞれの異民族は、攻め込める都市が限定されているため、207年を境に北東と南西の安全が入れ代わることになる。

第五部 地勢ノ章

 105~144ページ。扉絵は「甘寧興覇」。ここから再びカラーページになる。本項では、「中国全土俯瞰図(全土のマップ)」、「都市を眺める(都市の情報)」、「古戦場を駆ける(古戦場の情報)」の3項目で本作に登場する全てのマップを解説する。

 都市情報の構成は『三國志Ⅲハンドブック』とあまり変わらないが、経済力と軍事力の大まかな評価を「A」、「B」、「C]の三段階で表すようになり、各シナリオごとの所有勢力を表示する欄が加わった。これにより、都市の歴史的背景を解説するスペースは減少している。

 また、『三國志Ⅲハンドブック』と同じく、都市の位置関係は周辺の都市とのつながりを紹介するだけに留まっているが、本書では「中国全土俯瞰図」で全体マップを確認することができるため、『三國志Ⅲハンドブック』よりは全体的な位置関係を把握しやすくなっている。

 古戦場の紹介も『三國志Ⅲハンドブック』と比べて大きな変更はない。今回は、その古戦場で対戦した勢力が紹介され、解説文の冒頭にタイトル的な短文が挿入されており、1ページあたりのマップ数は「3」から「2」に減少している。

第六部 情報ノ章

 149~195ページ。扉絵は「張儁乂」。3項目のそれぞれでアイテム、武将、都市のデータを紹介している。『三國志Ⅲハンドブック』と比較すると、アイテムの紹介(「三國志アイテム集」)にはアイテムの解説が加わえられている。

 武将データについては、本書から武将の略歴が省略され、データだけの紹介となっている。 ただし、本書に限っては「三國志Ⅳ名将選」の項があり、ここでは総合能力59位までの武将のデータと略歴が紹介されている。

 武将のデータ面については、本作では24の特殊能力があり、各武将ごとに能力の有無を「○」と「×」で表すための項目があるため、1人あたりのデータは見開きを使っている。ただし、本の背表紙付近は空白となっており、データを見るために本を無理に開く必要のない配慮がなされている。

 都市データも同じく見開きとなり、やはり本の背表紙付近は空白になっている。こちらは各シナリオごとにデータを紹介しているが、『三國志Ⅲハンドブック』と比較すると大幅に内容が充実しており、太守、軍師、侍従などの役職持ちや武器、兵士数などの軍事面、さらには都市内の有力武将までもが掲載されている。

歴史読み物

 本書の歴史読み物は3編である。「三国時代の異民族(60~63ページ)」は、本作でクローズアップされた異民族のうち、本作に登場する山越、烏丸、南蛮、羌の歴史的背景を取り扱う。ちなみに、63ページには、孟獲のもとに三洞の首領が集うシーンの挿絵があり、「南蛮武将のそろい踏み。右から金環三結、沙摩可、董茶那」というキャプションがあるが、「沙摩可」は「阿会喃」の誤りである。

 「三国時代の武器(86~88ページ」は、当時の武器や兵器である弩、連弩、衝車、発赤車を解説している。このうち、弩は前作から登場しているが、他は本作からの登場であり、本作の新要素の1つである兵器の開発をアピールする内容となっている。

 「『三國志Ⅳ』歴史年表(145~148ページ)」は、本作に関連した事項を中心とする年表である。そのため、年表はシナリオ1の開始年となる189年からはじめられる。ちなみに、終わりは孫権が死去した251年であるが、後半はゲームには直接関係しないためかスカスカである。

 また、年表の下段は「書き込み年表」として、プレイヤーの行動を書き込めるようになっている。実際に書き込むかどうかはともかくとして、後々のシリーズに実装されたゲーム内の「年表機能」の原典は、このあたりにあるのではないかと思われる。

コラム

 本書のコラムは2編である。「イベントを出そう!(28ページ)」は、本作の歴史イベントのうち、「反董卓同盟軍」、「三顧の礼」、「皇帝即位」の3つを紹介している。『三國志』シリーズの「ハンドブック」としては、はじめて歴史イベントが紹介されたことになる。

 「乱を彩る旅人たち(64ページ)」は、本作に登場する8人の旅人と彼らの略歴を紹介している。于吉、許子将、左慈、華佗、管路、司馬徽の6人は前作から引き続き登場しているが、吉平、紫虚上人、李意の3人が消え、新たに普浄と馬釣が加わっている。

『三國志Ⅳ』を語る

 196~199ページ。シブサワ・コウに対するインタビューにより、『三國志Ⅳ』の裏話を引き出す。各シナリオの主君について、シブサワはシナリオ2の呂布とシナリオ4の劉備を話題に出している(196ページ)。

 前者は少し周囲の状況がきついが、メンバーがそこそこである点、後者は武将は多いが、領土が狭いために赤字状態であり、外交を駆使しないと攻め滅ぼされてしまう点が「面白い」という。劉備の場合は、「埋伏」を活用し、支出を減らしていくことが攻略のカギとなる。

 その他の要素としては、旅人から特殊能力の獲得やアイテムの譲渡などの有益なイベントを引き起こすためには、こちらから彼らを「訪問」しないといけない点が挙げられる(197ページ)。相手が訪問してきた場合は大きな成果は得られないということである。また、「放浪」している間は、家臣の「忠誠度」が1月あたり1~2減少する(197ページ)ため、長期の「放浪」は、それだけで大きなリスクを伴う。

 制作秘話的な話としては、後半シナリオの武将不足を改善するため、後の時代の武将を増やしている(197ページ)。また、能力値的には前作を基準にしているが、新登場の武将を含めた全体からみた調整を行っている。特殊能力については、製作段階での変遷が激しく、もともとは全く特殊能力を持たない武将もたくさんいたらしい(199ページ)。ちなみに、製品版で特殊能力がないのは夏侯楙だけである。

 この段階での『三國志Ⅴ』の構想については「さすがにまだ考えていませんよ(199ページ)」とのことであるが、その一方では「このあたりで大きく変わるかもしれませんね(199ページ)」とも言う。実際の『三國志Ⅴ』は、これまでの集大成といった雰囲気であり、本当に大きく変わっていったのは『三國志Ⅵ』以降からであるように感じられる。

総合評価 ★★★★

 本書の内容は基本事項とデータの紹介が中心になっており、武将の紹介は「武将FILE」、リプレイや具体的なゲーム攻略などは「マスターブック」に移された。そのため、これまでの書籍に比べると、1冊あたりの総合的な情報量は低下している。

 一方、本書独自の強みとしては、文章自体の面白さがある。本書では、武将から読者に向けた解説だけでなく、武将同士の対話による解説という手法も取り入れられており、全体的にギャグ調のテイストに仕上げられている。今日、情報そのものはインターネットで簡単かつ無料で入手できることを考慮するならば、むしろ文章そのものを楽しめるという点おいて、本書の価値は高くなると言える。

 ただし、こうした試みは、文章そのもののクセが強くなりすぎるという問題点を抱えている。つまり、文体の芸風が合わなければ、それ自体が忌避する理由になってしまうのである。個人的には、そうした文体を評価しているからこそ総合評価も高くなっているが、正直に言えば「おじゃる」口調の劉禅はどうかと思うのもまた事実である。


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