概要
本作にデフォルトで設定されている将軍候補は、モンゴル編のモンゴル族、世界編のモンゴル帝国、イギリス、ビザンツ帝国、日本に4人ずつの20人である。しかし、モンゴル族とモンゴル帝国は、カサルとベルクタイが重なっているため、合計18人となる。
この18人のうち、12人は本書において経歴が紹介されているが、残る6人のうち2人はほとんど情報がなく、4人は情報に誤りがあると考えられる。ここでは、これら6人にスポットを当て、その人物像を検証した。
実在の人物であるが、本書に情報がない
情報に誤りがある
本書内に情報がある
| シナリオ |
名前 |
所属 |
ランク |
事典 |
名鑑 |
| モンゴル |
テムゲ |
モンゴル族 |
C |
198 |
171 |
| モンゴル |
カチウン |
モンゴル族 |
C |
195 |
171 |
| 両編 |
カサル |
モンゴル族/帝国 |
A |
195 |
171 |
| 両編 |
ベルクタイ |
モンゴル族/帝国 |
B |
199 |
171 |
| 世界 |
ジェベ |
モンゴル帝国 |
D |
196 |
168 |
| 世界 |
ドゥーカス |
ビザンツ帝国 |
D |
198 |
190 |
| 世界 |
北条泰時 |
日本国 |
D |
200 |
― |
| 世界 |
北条義時 |
日本国 |
C |
200 |
176 |
| 世界 |
源範頼 |
日本国 |
B |
201 |
189 |
| 世界 |
源義経 |
日本国 |
A |
201 |
170 |
| 世界 |
ムカリ |
モンゴル帝国 |
C |
201 |
167 |
備考
表のリンク先では、各項の注目点をまとめている。また、リンク先のタイトル部分のリンクは、上の表に戻るためのリンクである。「舞台」は登場するシナリオのことであるが、モンゴル編と世界編のいずれにも登場する人物については「両編」とした。
「ランク」は、将軍候補の能力の基本値の順序であり、「A」が最も高くなる。「事典」は本書の人物事典に掲載されているページを表す。「Wikipedia」は、それぞれのキャラクターのモデルと思われる人物のWikipediaにリンクしている。「事典」は本書の「人物事典」、「名鑑」は、『元朝秘史ハンドブック』の「元朝秘史・人物名鑑」において、その人物の記載があるページを示している。
実在の人物であるが、本書に情報がない
ウィリアム
本書では「ノルマンディー公ウィリアム1世(征服王)を筆頭に、イギリスにこの名を持つ王は多い。その1人」としか記載がないが、彼はリチャード1世やヘンリー3世の時代に摂政を務めたウィリアム・マーシャルのことなのではないかと思われる。『元朝秘史』でもシナリオ2の31国(イギリス地方)の人材として姿を見せているが、『チンギスハーン』には登場していない。
ちなみに、第3回十字軍に従軍したリチャード1世の代理としてイングランドを統治したロンシャンも「ウィリアム」であるが、彼は「ロンシャン」として第7国の「優秀な人材」として登場しているため、この「ウィリアム」は、彼ではないと思われる。
ヒューバード
本書には「イングランド国の将軍候補」としか記述がなく、『光栄ゲーム用語辞典』でも「イギリス人には良くある名前で伝記は不明(*1)」としかないが、イギリス最高司法官のヒューバート・ウォルターのことなのではないかと思われる。
ヒューバート・ウォルターは「ウォルター」として『元朝秘史』および『チンギスハーン』に登場している。税制および法制改革を成功させた実績によるものか、政治力が高く評価される傾向にある。
ただし、ヒューバート・ウォルターは1205年、つまり世界編の前年に死去している。もっとも、1199年に死去したリチャード1世が1206年時点でも生存している本作で細かいことを気にするのはナンセンスな気もする。
あるいは、初代ケント伯のヒューバート・ド・バラとも考えられる。彼はジョンおよびその息子のヘンリー3世に仕え、1243年に死去している。ジョンとアーサーがリチャード1世の後継者の地位を争い、ジョンが勝利した際には、捕虜となったアーサーの監視役を務めているが、ヒューバートの監視下でアーサーは消息を絶ったため、色々と取りざたされた。
アーサーはジョンの命令で殺されたとも言われているが、今に至るまで詳細は明らかにされていない。ヒューバート、ジョン、アーサーの間で何があったのかは様々に語られ、シェイクスピアもこの一件をモチーフとした歴史劇を著している。
情報に誤りがある
アンドロニコス
本書では「コンスタンチノープルの一市民であったが、1182年、反乱を起こして政権を奪取した」とある。この人物はアンドロニコス1世(*2)にあたる。上記の「Wikipedia」の項でも、この人物のページにリンクさせている。
しかし、このアンドロニコス1世は、1182年当時の皇帝マヌエル1世の従兄弟にあたり、「一市民」とはいえない。また、アレクシオスとは遠い親戚にあたるが、とてもではないが「親族」と言える間柄でもない。そのうえ、彼は1185年に死去しているため、この人物に当てはまるとは考えにくい。
「アンドロニコス」という名でアレクシオスと血縁関係にある人物と言うと、アレクシオスの父に行き当たる。ただし、彼も1185年に死去しており、やはり比定することは困難である。そのため、ゲームバランス上の都合を加味して、親族であるということにしたアンドロニコス1世であるとするのが妥当であるように思われる。
ちなみに、『元朝秘史』にも同名の人物が登場するが、彼はミカエル8世の息子に当たる人物であり、アレクシオスらとは無関係である。
イサキオス
本書では「ビザンツ帝国の家臣。アンドロニコスの政治に反対してドゥーカスらとともにキプロス島に渡り、独立支配を開始した」とある。これはイサキオス・ドゥーカス・コムネノスのことであるが、彼が反乱を起こしたのはアンドロニコス(1世)の先代のマヌエル1世の時代であり、「イサキオス」と「ドゥーカス」は、合わせて1人の名前である。
本作に登場するイサキオスは、アレクシオスの兄のイサキオス2世であると思われる。弟のアレクシオスの方が兄のイサキオスよりも年下というのも変な話であるが、そもそもアレクシオスの年齢設定の方が間違っている(*3)。満年齢で言えば、むしろイサキオスの方があっている(*4)のである。
ジェフリ
本書には「イングランド国王リチャード1世の息子」とあるが、実際には初期状態のイングランドの将軍候補であり、本書176ページのデータには正しい情報が掲載されている。ちなみに、彼はリチャード1世の弟でジョンの兄にあたる。本作ではリチャード1世の息子として登場しているアーサーも、ジェフリの同名の息子がモデルなのではないかと思われる。
ジョン
本書には「ヘンリー2世の子。一一九九年、兄リチャード1世の後を継ぎ、イギリス王になる。仏王フィリップ2世と争い、領土を没収されたことから通称Lackland(欠地王)と呼ばれた」とある。実際には、彼が欠地王と呼ばれたのは、幼少期に所領を与えられなかったことによる。要するに、仮に彼がフィリップ2世を破って領土を拡張したとしても、やはり「欠地王」であることに変わりはないのである。
なお、「Lackland」の意味は「領土が欠けている」であり、ゆえに「欠地」となる。一方、領土を失うことは「lost ground」であり、こちらは「失地」となる。彼は「欠地王」であると同時に「失地王」でもあり、それが事態をややこしくしているわけである。
テオドロス
本書には「ビザンツ帝国内のフィラデルフィアという町の住人。1181年、皇帝を名乗り独立政権を樹立した」とある。この人物はテオドロス・マンカファースであり、『元朝秘史』以降はマンカファースの名で登場している。しかし、これでは、彼がアレクシオスの血縁将軍である理由が説明できない。
このことからすると、このテオドロスは、アレクシオスの娘婿でラスカリス朝の創始者であるテオドロス・ラスカリスのことなのではないかと思われる。彼は『元朝秘史』ではテオドロス1世、『チンギスハーン』ではテオドロスとして登場しているが、特に『チンギスハーン』では能力値も非常に高く、シナリオ1のビザンツ帝国のオープニングイベントにも関わってくるなど、その存在感は大幅にアップしている。
*1
『光栄ゲーム用語辞典』、210ページ。「ヒューバート」の項。ちなみに、この項では「ヒューバー『ト』」となっているが、ゲーム的には「ヒューバー『ド』」が正しい。
:*2
Wikipediaによる。
*3
Wikipwdiaによると、彼は1156年生まれであるため、1206年当時で50歳、満年齢で51歳となるが、ゲーム上では55歳である。
*4
これもWikipwdiaのデータを基にしているが、この場合だとイサキオスとアレクシオスは同年齢ということになってしまう。彼らの母は同じであるため、それはありえない事実である。ちなみに、ドイツ語版Wikipwdiaやギリシャ語版Wikipediaだと生年については複数の説が存在している。
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