光栄攻略本 補足
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蒼き狼と白き牝鹿 維新の嵐 英傑伝 項劉記 提督の決断 
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●本項の趣旨
本項では、「光栄攻略本総合」の記述のために活用した各種の書籍を紹介している。
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●蒼き狼と白き牝鹿シリーズ_
タイトル 蒼き狼 出版社 新潮文庫 著者 井上靖 分類 文庫 定価 767円 備考 _ 
参照したのは第57刷であるが、現在では入手が困難であるため、Amazonのリンク先は改版である。本書はテムジンの成長物語であり、チンギスハーンの征服記でもある。文章は重厚で、冷徹ささえ感じさせるが、、チンギス・ハーンの人柄や、遊牧民の生活の厳しさ、モンゴル帝国の苛烈さには良く合っている。
本書は『蒼き狼と白き牝鹿』の世界観を把握するための入門書としては最適であり、シリーズの元ネタになっていると思われる要素も多々見受けられる。特に、クランの息子のガウランは、『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』に登場する「ガラウン」のモデルである可能性が高い。
追記。大きな読み違いがあったため、訂正することにした。本書では、1203年にテムジンとトオリル・カンが連合してナイマン族に痛打を与えた後(147ページ)、テムジンとトオリル・カンの対立とテムジンの勝利(153ページ)があり、テムジンとタヤン・カンの対決とテムジンの勝利(161ページ)へとつながるが、最初のテムジンらとナイマン族の戦いをナイマン族との決着と勘違いし、テムジンとトオリル・カンの戦いをモンゴル編の最終決戦と錯覚したのである。
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タイトル 蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史 プレイステーション版 広告ブロック時用リンク メーカー コーエー 分類 ゲームソフト 備考 _ 
プレイステーション版の『元朝秘史』には、ゲーム内に「人物事典」が付属しており、全キャラクターの略歴を見ることができる。これは『元朝秘史ハンドブック』よりも詳しいだけでなく、『元朝秘史ハンドブック』には紹介されていない后や子供のデータまで完備されている。
妃のデータについては、略歴のある人物がきわめて少なく、そのほとんどがフィクションであるということをうかがわせるが、実在しているかどうかが分かるだけでも充分な収穫と言える。
ただし、データベースとしての価値はともかく、個人的には、このゲームのゲーム性は全く評価できない。特に冗長すぎる戦闘は、苦痛といっても差支えのないレベルに達している。
上と右のAmazonのリンク先は、基本ということで定価5800円の通常版につなげたが、他にも定価2800円のベスト版、さらに廉価な1500円の定番シリーズなどが発売されている。これらについては下記にまとめた。
しかし、今となっては、基本的に中古販売でしか手に入らないと思われるため、定価はあまり意味がない。その時々で最も安い商品を購入するのが適切であると思われる。
蒼き狼と白き牡鹿 元朝秘史(定番シリーズ)
蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史(ベスト盤)
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タイトル 蒼き狼と白き牝鹿 元朝秘史 スーパーガイドブック 出版社 光栄 著者 シブサワ・コウ監修 分類 ゲーム攻略本 定価 1200円 備考 _ 
ページ数的には「ハンドブック」の3分の2以下であるが、内容的には「ハンドブック」の情報の大半が収められており、ページの少なさを感じさせない。さらに全商人の拠点や全人物の裏切りやすさなどの「ハンドブック」にない情報もあり、むしろ総合的には「ハンドブック」を凌駕しているとさえ言える。
また、本書はゲームのキャラクターが解説するという体裁を採っているが、マルコ・ポーロが「このゲームの戦闘はホンマかったるいな~」、「(間違って他国の戦闘を「見る」にした時の)他国の戦略中はトイレやら食事やらで忙しくてな…」と本作の欠点を情け容赦なく指摘するなど、自重しない遊び心も素敵である。
本書が明確に「ハンドブック」に劣る点があるとすれば、主要人物の略歴しか紹介されていないことくらいである。また、もしかしたら、移植の際に変更されたデータがあるかもしれない。とりあえず、モンゴル編から世界編への移行の仕組みに相違があることは間違いない。
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タイトル アラブが見た十字軍 出版社 リブロポート 著者 アミン・マアルーフ 分類 書籍 定価 2000円 備考 _ 
著者はレバノン人ジャーナリスト。タイトル通り、アラブ人サイドから見た十字軍時代のアラブの情勢を紹介している。当然、アラブ側の事情が詳しく記されており、情報的にも目新しい。
しかし、逆に言えば、ヨーロッパ人の視点が十字軍に傾いているのと同じように本書はアラブ側に傾いているわけであり、本書だけで十字軍を語ることもまた危険と言えるのかもしれない。
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タイトル 元朝秘史 上 出版社 岩波文庫 分類 文庫 定価 600円 備考 _ 
チンギス・カンの生涯をメインテーマとするモンゴルの歴史書、あるいは民族叙事詩である。上巻は第1巻から第6巻まで、内容的にはチンギス・カンの誕生からトオリル・カンとの戦いと勝利までを取り扱っている。
本書を読んでようやく理解できたことがある。それは、「モンゴル族」という単語の示すものである。『蒼き狼と白き雌鹿』シリーズでは、一貫してテムジン(チンギス・カン)の勢力の名称として使われているが、実際には、ジャムカのジャダラン族やタルクタイのタイチウト族も「モンゴル族」なのである。
つまり、ジャダラン族やタイチウト族を日本の今川氏や足利氏に例えると、「モンゴル族」という名称は、源氏に相当すると考えられる。そして、テムジンの属する集団にとっての今川氏や足利氏に当たる単語は「ボルジギン族」なのである。専門的には、「氏族」という単語が当てられ、「族」と区別されるようである。
しかし、彼の一族を示す語として、「キヤト族」というのもある。これは、ボルジギン氏族のうち、特にテムジンに直結する一族を指し示すらしい。そのため、テムジンの氏族は「キヤト・ボルジギン氏族」とも呼ばれるようである。
ともあれ、これらの概念に基づくことにより、チンギス・カンの第一次即位、第二次即位と呼ばれるものも理解できた。つまり、第一次即位(本書116ページ)は、モンゴル族の盟主としての即位であり、ケレイト族やナイマン族などは関係がない。一方、第二次即位(下巻61ページ)は、ケレイト族やナイマン族の従属を含む、モンゴル高原全土の盟主としての即位ということである。
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タイトル 元朝秘史 下 出版社 岩波文庫 分類 文庫 定価 600円 備考 _ 
下巻は、ケレイト族との戦いの後始末から、チンギス・カンの第二次即位までを取り扱う第7巻から第10巻と、対外遠征とオゴタイ・カンの事跡を記した2つの続巻から構成される。
『元朝秘史』は、文学的効果を高めるために、史実を改変している箇所が少なからずある。その代表的なものが、チンギス・カンの対外遠征の対する描写である。
史実のチンギス・カンは、第二次即位以前から金や西夏への侵攻を行っているが、それらについては『元朝秘史』では触れられていない。あくまでも、第二次即位以降、つまり、モンゴル高原の統一以後、はじめて遠征が行われたように記されている。その徹底ぶりは、『蒼き狼と白き雌鹿』のモンゴル編と世界編の分類を彷彿とさせる。
『蒼き狼と白き雌鹿』と言えば、『元朝秘史』でも、捕らえた敵部族の妻をチンギス・カンの後宮に迎える描写があちこちに見られる。まず、上巻188ページではタタル族を滅ぼした際にイェスイ、イェスゲン姉妹を手に入れている。
さらに、下巻11ページでは、ケレイト族のイバカ・ベキを、下巻31ページではナイマン族のグルベスとメルキト族のクラン、下巻51ページではメルキト族のトゥゲイを后に迎えているのである。実に「原作に忠実」と言わざるを得ない。
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タイトル 光栄ゲーム用語事典 出版社 光栄 著者 シブサワ・コウ編 分類 ゲーム攻略本 定価 5000円 備考 _ 
光栄創設8年目に出版された書籍であり、それまでの事績を事典風に項目化してまとめている。以降の「ゲームディクショナリー」シリーズの先駆けにあたると思われるが、本書の段階では「ゲームディクショナリー」の語はない。
メインとなるのは、『蒼き狼と白き牝鹿 ジンギスカン』、『維新の嵐』、『三國志』、『水滸伝・天命の誓い』、『信長の野望 戦国群雄伝』、『信長の野望 全国版』、『麻雀大会』、の7タイトルの情報であり、これらは以降の「ゲームディクショナリー」シリーズと同じく、あらゆる情報が項目化されている。
また、各作品のデータも紹介されており、特に16ビット版『維新の嵐』の情報は本書にしかない。さらに、それ以前のゲームも一項目に留まるとはいえ、世界初のエロゲ―と言われていた(*)『ナイトライフ』をはじめとするマイナータイトルが網羅されている。
「ゲームディクショナリー」シリーズに通じる文章の面白さだけでなく、今となっては史料的価値も高いと思われるが、定価の高さとハードカバーで読みにくい点が欠点と言える。
*最近、ハドソンから発売された『野球拳』が最古のエロゲ―と認定された。発売年は1979年とも1981年とも言われているが、いずれも当時の広告から導き出された年代であり、詳細は不明である。とは言え、1982年に発売された『ナイトライフより古いことは間違いがないものと思われる。
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タイトル ジンギスカン ガイドブック 出版社 光栄 分類 ゲーム攻略本 定価 910円 備考 _ 
FC版『ジンギスカン』の攻略本である。漫画形式の内容紹介や、キャラクターによるシステムの解説はあるが、後代のものに比べるとあまり面白くは感じられない。
しかし、データ面では、1ページ内に統治者の顔グラフィック、能力、国力、優秀な人材の平均能力と裏切りやすさ、后の顔グラフィックとオルド成功率、戦場マップと全体地図による場所の提示、その他の戦術、戦略的解説など、「ハンドブック」よりもかなりコンパクトかつ分かりやすくまとめられている。
ちなみに、FC版はPC版に比べてモンタージュ顔が一新され、レシェク1世(106ページ)とハインリヒ6世(109ページ)に固有の顔グラフィックが用意された。さらに、后の一部の顔グラフィックも大きく変更されているなど、PC版のグラフィックと見比べて初めて気付く発見も多い。
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タイトル チンギスハーン ハイパーガイドブック 出版社 コーエー 著者 シブサワ・コウ監修 分類 ゲーム攻略本 定価 1300円 備考 _ 
PS版『チンギスハーン』の攻略本である。ページ数は「ハンドブック」よりも50ページほど少ないが、各種システム面の情報については、こちらの方が詳細な場合も多い。ゲームの細かい部分まで把握したい場合は、むしろこちらの方が有用であるとさえ言える。
しかし、『チンギスハーン』はPC版とPS版の相違が多く、イベントやデータ面で細かい相違があるため、本書の内容を100%PC版に適用することはできない。例えばイベントにしても、本書78ページに掲載されている「トゥルイ誕生」はPC版では発生しなかったりするのである。
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タイトル チンギスハーン マスターブック 出版社 コーエー 著者 シブサワ・コウ編 分類 ゲーム攻略本 定価 1800円 備考 _ 
『チンギスハーン』の補足的なデータと、『パワーアップキット』の各種データを紹介している。特に圧巻なのが、冒頭の「都市デザイン博覧会」である。これは、建築物の配置にさまざまな工夫を凝らした都市を紹介するという企画であるが、本作を全く別の角度から楽しむという観点においても大きな意義がある。
それ以外の情報はデータが中心であり、あまり面白味はない。しかし、パワーアップキット版のイベントの起こし方や国王の称号の取得条件がほぼ完全な形で掲載されている点は高く評価することができる。
本書の最大の問題点は、本書そのものではなく、『パワーアップキット』の方にある。今日では『パワーアップキット』の中古価格が高騰しており、おいそれと手を出せるような金額ではなくなっているのである(以下のAmazonへのリンク先を参照のこと)。
・チンギスハーン 蒼き狼と白き牝鹿 4 パワーアップキット
・チンギスハーン 蒼き狼と白き牝鹿 4 with パワーアップキット
そのため、本書を読んで『パワーアップキット』が欲しくなったとしても、その金銭的リスクは極めて大きく、この視点から、現在において『パワーアップキット』を持たずに本書を購入することは、とてもではないが勧められるものではない。
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タイトル 東方見聞録 出版社 教養文庫 著者 マルコ・ポーロ 分類 文庫 定価 440円 備考 _ 
マルコ・ポーロの『東方見聞録』の日本語版である。ただし、巻末の解説に、冗長な反復や挿入句を省いた旨が解説されており、完訳というわけではない。
本書の珍奇なエピソードについては『ジンギスカンハンドブック』や『元朝秘史ハンドブック』などでも解説されているが、そのほとんどはマルコ・ポーロが現地で伝え聞いたものや、実際には行ったことのない場所を風説で書き記したものであるという。
一方、彼が実際に見聞きした場所については、表現は大げさであっても、行程や住民の人種、宗教、産業や特徴的な地勢など、現実味のある情報が多くなっている。
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タイトル 日本史小百科18 戦乱 出版社 近藤出版社 著者 安田元久編 分類 書籍 定価 2000円 備考 _ 
明治維新までに日本が関与した戦争のうち、76の内戦と9の国外戦争を紹している。また、15項目で、それらに関連した情報も掲載されており、項目数はちょうど100となる。
このうち23項目が「応仁の乱」から「大坂夏の陣」、12項目が南北朝、10項目が源平合戦、7項目が幕末に費やされているが、むしろ、それ以外のマイナーな戦闘の戦闘の情報の方が有用である。また、巻頭の「年号表」と巻末の「国県対照図」も地味ながら役に立つ。
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タイトル 日本の合戦 二 南北朝の争乱 出版社 新人物往来社 著者 桑田忠親監修・編集 分類 書籍 定価 1500円 備考 _ 
タイトルは「南北朝の騒乱」であるが、およそ半分は頼朝の奥州藤原氏討伐から鎌倉幕府初期の内乱、元寇など、鎌倉幕府時代の戦乱の解説に費やされている。本稿のテーマ的には、むしろこれらの情報の方が重要である。
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タイトル モンゴル帝国史 1 出版社 平凡社 著者 ドーソン 分類 新書 定価 950円 備考 _ 
1巻では、チンギス・ハーンの始祖からジェベとスブタイのロシア侵攻までを扱う。また、それに関連して、ホラズムや西遼、西夏、ウイグルなど、モンゴル帝国と関係した国々に関する情報も充実している。
本稿的には、『ジンギスカンハンドブック』には全く情報がなく、架空の人物であると思っていた妃のグルペスや、同じくPS版『元朝秘史』の「人物事典」に情報がなかったプスカの情報があり、彼女たちが実在の人物であることを確認できた点において、非常に重要と言える。
また、他にも、『元朝秘史』に登場したジャア・ガンボが「領主」を意味する仇名で実名はケレイティであること、ケプセウサウラクは「サウラク」が名前で「ケプセウ」は「しわがれ声」や「肺病病み」を示す仇名であることなど、細かいがゆえに知的好奇心を刺激してやまない情報に満ちている。
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タイトル 歴史群像シリーズ 25 チンギス・ハーン 上巻 出版社 学研 分類 ムック 定価 1200円 備考 _ 
上巻はチンギス・ハーンのモンゴル統一から、金、西夏、ホラズムなど、彼の代で制服を成し遂げた国々との戦いを中心に紹介している。『青き狼と白き牝鹿』に直結する内容であるため、その歴史的背景を詳しく知ろうと思うのであれば、その内容を楽しむことができる。
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タイトル 歴史群像シリーズ 26 チンギス・ハーン 下巻 出版社 学研 分類 ムック 定価 1200円 備考 _ 
下巻は4ハン国や元の戦闘がメインとなっている。それに関連して、これらの国々と戦った当時のイスラム、日本、ヨーロッパなどの紹介もあるが、ベトナムやビルマなど、東南アジア系の情報はほとんどないのが残念である。
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●維新の嵐シリーズ__
タイトル 氷川清話 出版社 角川文庫 著者 勝海舟 分類 文庫 定価 700円 備考 _ 
勝海舟の語録。自身の経歴や人物論だけでなく、当時の国際情勢などに関する見解もあるが、結局は勝自身の個性が最も目立つ体裁になっている。
つまりは、勝海舟個人の業績や彼の思考を良く知りたい場合は有用であるが、当時の歴史資料として用いるには、「勝の視点」というフィルターがかかっていることに注意しなければならないということである。
なお、本稿では1972年度の第6版を参照しているが、現在では入手困難なため、Amazonのリンクは復刻版とでも言うべき「角川ソフィア文庫」版につながっている。
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●英傑伝シリーズ_
タイトル 三国志外伝 民間説話にみる素顔の英雄たち 出版社 徳間書店 著者 湖北省群衆芸術館 分類 書籍 定価 1600円 備考 _ 
様々な三国時代の民間伝承を紹介している。その中には、鮑三娘(142~145ページ)や関銀屏(147~152ページ)の逸話など、後々の『三國志』シリーズにも取り入れられたものもある。
また、オカルト方面や、諸葛亮を7度捕らえ、首が取れても死なない孟獲など、従来のキャラクター性が崩壊するような話も多いのが、ある意味では斬新である。
ちなみに、曹操の逸話は話の数自体が少ないうえ、どれも非常に割の合わない話ばかりである。その様子には同情せざるを得ない。
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タイトル 三国志人物事典 出版社 講談社 著者 渡辺精一 分類 書籍 定価 3500円 備考 _ 
『三国志演義』に登場する全人物が、劇中でどのような行動をしたかが網羅されている。それが第何回であるかということまで記載されているため、出来事と『三国志演義』の回数を照合させたいときには非常に便利である。
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タイトル 正史 三国志 2(魏書 2) 出版社 筑摩書房 著者 陳寿 分類 文庫 定価 1620円 備考 _ 
『三国志』の「魏書」のうち、第七から第十三までを収録している。内容的には、曹操に関連した諸侯、曹一族と夏侯一族、参謀、官僚などの列伝が中心となっている。
見どころとしては、「第九 諸夏侯曹伝」に掲載されている曹爽の腹心たちの付伝がある(185~200ページ)。『三国志演義』では、ほとんど名前だけの登場に留まるが、ここで描かれる人物像は、実にいびつで付き合いたくない人間ばかりである。しかし、それだけにある種の人間臭さが感じられる。
また、「第十一 袁張涼国田王管伝」の「管寧伝」には、当時の世捨て人たちが付伝されている(364~377ページ)。注釈ではあるが、『蒼天航路』に登場した寒貧も、ここに掲載されている(375~376ページ)。
「第十三 鍾繇華歆王郎伝」は、『三国志演義』において不遇な役柄を押し付けられた3人組という感じである。しかし、史実における彼らは偉大な政治家、人格者であり、『三国志演義』の扱いには同情を禁じ得ない。
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●項劉記_
タイトル 項劉記事典 出版社 光栄 分類 ゲーム攻略本 定価 1700円 備考 _ 
項劉記の各種情報を事典形式にまとめた書籍。ノリ自体は今までの「事典」シリーズと変わらないが、セリフ関連の項目が掲載されていないのには不満が残る。
このことと、『項劉記』自体の情報量の少なさもあり、ページ数は208ページとボリュームは少ない。しかし、素材の新鮮さもあり、その内容を楽しめること自体に代わりはないと思われる
また、パソコン版とコンシューマ版の相違点を各所でまとめている点、コンシューマ版で削除されたイベントである「紀信焼殺」と「人民生き埋め」の詳細をまとめている点も評価することができる。
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タイトル 項劉記 スーパーガイドブック 出版社 光栄 分類 ゲーム攻略本 定価 1200円 備考 _ 
こちらはコンシューマ版向けの攻略本である。ページ数は127ページと「ハンドブック」の3分の1以下になっているが、対話形式のシステム解説の面白さは健在である。
また、わずかではあるが、全都市に歴史的解説がある点、イベント関連が網羅されている点などは、「ハンドブック」の情報を凌駕している。
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タイトル 史記 1 本紀 出版社 筑摩書房 著者 司馬遷 分類 文庫 定価 1400円 備考 _ 
本書は、原則的に正当王朝の天子の事跡を取り扱うことで、事実上、古代中国の歴史の流れそのものをまとめている。ただし、「第七」は項羽、「第九」が呂后の本紀になっているなど、人選に関しては例外的なものもある。
『項劉記』の視点で見れば、「第七」の項羽と「第八」の劉邦が最重要であるが、前史として「第六」の始皇(帝)、『項劉記』以後の話として、「第九」の呂后、「第十」の孝文(帝)も押さえておきたいところである。
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タイトル 史記 6 列伝二 出版社 筑摩書房 著者 司馬遷 分類 文庫 定価 1200円 備考 _ 
本書には戦国末から前漢初期までの人物をまとめた20の列伝が掲載されている。その多くは前漢の人物であり、『項劉記』に登場する人物が大半を占める。
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●提督の決断_
タイトル 海軍軍令部 出版社 講談社 著者 豊田穣 分類 書籍 定価 1500円 備考 _ 
海軍軍令部から見た第二次世界大戦の経過を記しているが、第二次世界大戦の前史や、かつての参謀たちの座談会も収録されている。
注目するべき点としては、頭脳としての軍令部と、実際に行動を起こす連合艦隊との間に意志の齟齬があり、それが戦略にも影響していたことが挙げられる。
また、真珠湾攻撃やミッドウェイ海戦などの「こうしていればよかった」的な俗説に対し、本当にそれが可能であるか、有効であるかという検証も行っている。『提督の決断ハンドブック』の「架空戦記」が実際にあり得ることかを判断する材料とするのも面白い。
しかし、日米交渉中、密かに南雲艦隊がハワイを目指していた(=無断で他国の領海内に艦隊を侵入させた)ことを明記(148ページ)しつつ、その後にハルノートを提示されたことで日本は戦争に追い込まれた(150ページ)というのは、無理のある解説なのではないかと思われる。
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タイトル 空母名鑑 1914‐1998 出版社 光栄 著者 パイロンズ・オフィス 分類 書籍 定価 2200円 備考 _ 
本書は黎明期の水上機母艦から現在の原子力空母に至るまでの各種空母を紹介している。さらに、商船改造空母、護衛空母とった補助的な空母や、航空戦艦、潜水空母などの異端的な空母、氷山空母ハボクックを含む未完成艦まで網羅されており、情報はバラエティに富んでいる。
ただし、その紹介は「級」単位であり、級内の1隻1隻の艦歴を求めるのであれば、本書では物足りない。また、本書の刊行は1998年であるが、当然のことながら、その後に退役した艦船や所有国が変わった艦船もあるため、注意が必要である。
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タイトル 航空機名鑑 1939~45 出版社 光栄 著者 望月隆一 分類 書籍 定価 2200円 備考 _ 
第二次世界大戦で運用された各国の航空機を紹介する。一国あたりの航空機は代表的なものにとどまっているが、本書一冊で各国の機体を比較することができる点は便利である。
メインとなるのは、日本、アメリカ、ドイツ、ソ連、イギリス、イタリア、フランスの7ヶ国であるが、それ以外の国々についても1項でまとめられている。この「その他の国の航空機」のマイナーぶり、性能の微妙さが読んでいて面白く感じられる。
本稿で参照したのは1996年度版であるが、2004年に改訂版が出版されているようである。
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タイトル 真珠湾攻撃総隊長の回想 出版社 講談社 著者 淵田美津雄 分類 書籍 定価 1900円 備考 _ 
真珠湾攻撃の総隊長を務めた淵田美津雄の自伝である。ただし、実際には、彼の遺稿を中田整一が編纂し、解説を加えたという体裁である。そのタイトル通り、真珠湾攻撃の描写は詳しく、タイトル通り、本書の見どころであると言える。
また、淵田は戦後、プロテスタントの牧師としてアメリカに渡り、トルーマン、アイゼンハワー、マッカーサー、ニミッツ、スプルーアンスらと対面している。軍人としてではなく、一個人としての彼らの人間性が垣間見えて興味深い。
ただし、現在では否定されているミッドウェイ海戦の「運命の5分間」説、つまり、全航空隊の攻撃準備が完了し、発艦直前のところで敵の攻撃を受けたという説が、目の前で起こったように書いていたりしているという問題点もある。
ついでに言えば、ミッドウェイ海戦における日本軍の問題点の1つとして、空母をまとめて行動させていたため、一度の敵の攻撃により、まとめて損害を受けたということが良く挙げられる。
本書によると、これを推進したのは、淵田本人であることが述べられている(51ページ)が、それが大損害を引き起こしたことに対する本人の見解は、一切述べられていない。
また、淵田は、1943年以降、航空参謀として、各種の作戦の立案に関与している。つまり、作戦の失敗について、その責任を問われるべき立場にいるのであるが、責任を他者に擦り付けている印象が強い。
例えば台湾沖航空戦敗北の責任は陸軍の責任(218ページ、なお、この問題については、編者が248ページで矛盾点を指摘している)、レイテ海戦の敗北は栗田健男の責任といった感じである。
もちろん、それらが事実であること自体には間違いはないのであるが、淵田のシンパである小沢治三郎 とマリアナ沖海戦の問題については完全にスルーしているあたり、どうしても評価が偏っているような気がしてならない。要は、たとえ当事者であったとしても、そのすべての記述を信用することはできないということである。
なお、本書は文庫版と電子書籍版
も出版されている。
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タイトル 戦艦名鑑 1891‐1949 出版社 光栄 著者 篠原幸好 分類 書籍 定価 2200円 備考 _ 
1892年に竣工し、近代型戦艦の基本型となったロイヤル・サブリン級以降のほぼすべての戦艦の情報を掲載している。特筆するべき点は、あまり注目されることのない前弩級戦艦、準弩級戦艦が網羅されている点である。
その意味において、本書の情報的価値は高いと言えるが、それでも、例えばオーストリア・ハンガリー海軍の準弩級戦艦である「ラデツキー級」が掲載されていなかったりするなどの情報漏れがある。
また、1つの艦級あたりの情報量は少なく、1隻あたりともなると、ほとんど触れられていない艦船も多いという問題点もある。もっとも、これは同シリーズに共通した難点であり、ページ数などの制約上、仕方の無いことであるとは言える。
さらに、巻末の索引が本書内の登場順(年代をカテゴリごとに分け、さらに国別に紹介する)となっており、欲しい情報を即座に引き出すことが難しい。これは50音順でよかったのではないかと思われる。
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タイトル 第二次大戦海戦事典 出版社 光栄 著者 福田誠 分類 書籍 定価 2200円 備考 _ 
タイトル通り、第二次世界大戦の海戦を網羅した書籍である。太平洋、大西洋、地中海の3部構成になっているが、やはり日米の戦場となった太平洋に重点が置かれている。
基本データは図表化され、時刻や出撃した艦載機の機数などは、作戦の経過とともに文章で紹介されている。もちろん、大半の戦闘には海戦図も掲載されている。その他にも時代背景や小コラムなど、読み物としての面も充実している。
ただし、基本データの「参加兵力」の項には、参戦した艦船の名称が羅列されているが、これがごちゃごちゃしていて非常に見にくい。特に戦争後半のアメリカ軍の陣容ともなると、その傾向に拍車がかかる。いっそのこと隻数だけで表しても良かったとも思えるが、そうすると情報価値が低下する。これは非常に難しいところである。
また、時刻は基本的に現地時間で記載されているが、太平洋側の海戦図の一部は、日本時間で記されているものがある。これは明らかに現地時間で統一するべきものであると思われる。
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タイトル 日本陸海軍計画機~1945 出版社 光栄 著者 パイロンズ・オフィス 分類 書籍 定価 2000円 備考 _ 
大日本帝国の陸海軍の航空機のうち、計画、試作に留まった機体をまとめている。第二次世界大戦以前の機体も取り扱われているが、時代的にマイナーなこともあり、個人的には各所で取り上げられることの多い第二次世界大戦末期の機体よりも興味深い。
また、本書は大戦末期の機体について、かなり辛辣な評価を下している。確かに、試作機のスペックでは、すでに実用化された米軍機に及ばず、計画段階で終わった機体については、実際に計画どおりの数値が出たかと言われれば疑問であり、見もふたもない現実を突き付けてくれる。
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タイトル 四人の連合艦隊司令長官 出版社 文藝春秋 著者 吉田俊雄 分類 文庫 定価 420円 備考 _ 
第二次世界大戦中に連合艦隊を指揮した4人の長官を通じて日本の作戦展開と戦況の変化を見ていく。同時に、その流れは、必然的に帝国海軍の組織論、人事論の問題点の検証へと向かう。
著者が仕官として実際に従軍しているためか、将官同士のやり取りのエピソードは細かく、構成はオーソドックスで奇をてらわない作りとなっている。
また、後世において批判されがちな行動、特に真珠湾攻撃、ミッドウェイ海戦、第一次ソロモン海戦、レイテの栗田艦隊反転などについて、「なぜそうなったのか」という視点でまとめている点も注目するべき要素である。
これらは、「もしこうしていれば」といった視点で語られることが多いが、後世において批判される行動にも何らかの事情がある。「もしこうしていれば」を語るのであれば、まずは、そうした事情を踏まえ、そのうえで、「もしこうしていれば」が本当にできたのかを考える必要があるということを考えさせられる。
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タイトル 連合艦隊艦船ガイド 1872~1945 出版社 新紀元社 著者 篠原幸好 分類 書籍 定価 2800円 備考 _ 
大日本帝国海軍の艦船を紹介する。わざわざ「大日本帝国海軍」と記したのは、江戸幕府や諸藩、海上自衛隊の艦船まではフォローされていないためである。
本書の見どころは、日清戦争や日露戦争前後のあまり話題に上らない艦船も紹介されているところである。また、時代背景についても主要な海戦を中心として解説されており、本書1冊で大日本帝国海軍の大まかな歴史の流れを把握することができる。
難点としては、さすがに情報量が膨大であるためか、1隻1隻の情報、特に駆逐艦に関しては極めて簡略にまとめられていることが挙げられる。また、特に初期の艦船については、「級」の時点で簡潔にまとめられているものもあるが、総合的には満足できる内容である。
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