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概要
●本項の趣旨
本項では、本作の主人公である諸葛亮の事績を、史実と『三国志演義』の双方の面から検証している。
●本項の構成
●備考
表のリンク先では、各項の注目点をまとめている。また、リンク先のタイトル部分のリンクは、上の表に戻るためのリンクである。
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もう一つの「孔明伝」
●衰えた漢室を復興させたい夢見ながらも具体的な戦略を持てずにいた劉備にとって、孔明の戦略構想は、まさに天の啓示だった(119ページ)
明確な目標を持てず、場当たり的に戦っていた劉備軍に対し、「天下三分の計」は、荊州の制圧と続く益州の占領という、明確な目標を与えた。それは、諸葛亮の功績の中でも最大ものであると思えるが、その後のフィクションの派手な活躍に隠れ、いまいち目立たないのが悲しい。しかし、実際の功績が陰に隠れ、フィクションの功績が目立つというのは、本末転倒なのではないかと思える。
●留守番役こそ主君から最も信頼された腹心中の腹心、いわゆるナンバー2の重要な務めだったのだ(124ページ)
史実の諸葛亮は、劉備の存命中は自ら戦うことなく、留守を預かることが多かった。その件に対する弁護である。ちなみに、魏では荀ケが同様の役目を担っており、曹操が「官渡の戦い」で弱気になった際、許昌から彼を励ます手紙を送ったことは有名である。
しかし、曹操と荀ケは、曹操の魏公即位をめぐって対立し、その後の「濡須口の戦い」では、それまで留守を預かることの多かった荀ケが、出陣後の曹操に呼び出されるという事態が起こった。その後も間もなく荀ケは病死し、曹操は魏公に即位している。
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「天下三分」対「天下二分」
●一方、魏の名軍師たちは、諸葛亮や魯粛のような壮大な戦略は唱えた形跡がない(137ページ)
一応、本書内にもあるように、荀ケは献帝を推戴するように進言しており、これが曹操の立場を決定的なものとしたことは間違いない。また、格上の袁紹との戦いにおいても、荀ケは相応の戦略を提案している。やはり、目標が大きければ、それだけ目標達成のためのプランも大きくなるということである。
●曹操本人が偉大な戦略家であり、配下の者が口を出す必要はなかったということなのだろうか(137ページ)
実際には、曹操本人の考案した戦略が周囲の者に諌められ、彼らの意見を採用する例も珍しくない。しかし、相手の意見を聞いて、その正しさを理解できるわけであるから、曹操の戦略眼も、やはり優秀なものであると言える。
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魔術師・発明家としての諸葛亮
●某漫画でも有名になった井宿・鬼宿・柳宿・星宿・張宿・翼宿・軫宿(147ページ)
とりあえず検索してみたが、真っ先に引っかかったのが『ふしぎ遊戯』という作品の「朱雀七星士」である。しかし、私は、この作品を読んだことはないため、これ以上のコメントは差し控える。
●諸葛亮が五丈原で陣没するのは史実であり、延命が成功して生き延びたとはさすがに小説である『演義』も書けなかったのだろう(147ページ)
諸葛亮が延命の儀式に失敗した際、「だったらもう一度儀式をやり直せばいいではないか」と考えてしまうことに対するフォロー。ちなみに、「五丈原で危篤に陥った諸葛亮のもとに、天帝が神医・華佗を遣わし、たちまち全快させてしまう」という内容の『南陽楽』という伝奇もあるらしい。
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