「不穏」が使えない状況

弱小大名は、「不穏」を活用して勢力を拡大するのが最も効率的である。しかし、東北や九州の弱小大名のうち、はじめから工作要員がいない勢力では、地勢的に浪人の「忍者」のいる城からも遠いため、どうあっても工作要員を確保できない場合がある。

このような時には、運を天に任せて無理やり浪人の「忍者」を登用しようとするよりも、割り切って「不穏」を活用しない戦略を構築するべきである。ただし、「不穏」を用いた方が効率が良いことは間違いないため、「不穏」が活用できる状況では、無理にこれらの戦略を用いる必要はない。
 
 
二虎競食作戦

自勢力が弱小勢力「A」と「A」よりも強大な勢力の「B」と隣接しており、いずれとも同盟を結んでいないとする。この時、自勢力が「A」に侵攻すると、「A」は迎撃軍団を送り出すが、手薄になった「A」の城を狙い、「B]が侵攻を開始することがある。

この時、うまく「B」の軍団が「A」の城を包囲してくれれば、「A」の軍団は引き返して「B」の軍団と戦い、戦力差によって敗北する。「A」の軍団は、そのまま「B」の城の包囲を続けるが、自勢力が「B」の城に向けて軍団を送り出すと、「B」の軍団は「A」の城の包囲を解いて自分の城に戻ってくる。後は改めて疲弊した「A」の城に攻め込み、そのまま占領してしまうという算段である。

この手法の最大の問題点は、都合よく「B」が「A」の城に侵攻するとは限らないことである。しかし、目論見が不発に終わった場合、軍団を自勢力の城に戻して解散させれば、迎撃に向かった「A」の軍団も引き返していくため、しばらくしてから再び軍団を派遣すればよい。

また、戦力差によっては、どうあっても「B」が動かないこともあるため、その場合は諦めるしかない。さらに、思惑通りになったとしても、「B」の軍団が包囲を解いた時点で「A」の城の士気は回復をはじめるため、侵攻は早急に行わなくてはならない。そのため、「B」の軍団には陥落寸前まで「A」の城の士気を下げてもらいたいところである。

なお、この軍団は、いずれも目標に到着させる必要はない。行軍ルートに乗ったところで「待機」させておくだけでも、CPUは自分の城に行軍してくるものと見なすため、囮の役割を果たすことができる。目論見がうまくいけば、引き返してしまっても構わない。

ちなみに、「二虎競食」は『三国志演義』の第14回に登場した謀略である。徐州を支配下に治めようとする曹操が、徐州を治める劉備と彼の客将になっている呂布を対立させることで漁夫の利を得ようとするものであったが、手の内を見透かされて失敗に終わっている。
 
 
打落水狗作戦

『戦国夢幻』におけるCPU同士の野戦は、中途半端な状態のまま決着がつくことが多い。この時、敗北した軍団は、士気が激減した状態で自城に帰還するが、その影響を受けて城の士気も大きく下がる。このタイミングを見て軍団を送り出すことにより、大打撃を被った敵に追い打ちをかけることができる。うまくいけば、自勢力よりも強大な勢力を滅ぼすことも不可能ではない。

この作戦を実感できる典型例は、シナリオ2の松平家である。このシナリオの松平家は、武将の質こそ高いものの、強大な織田家と今川家に挟まれており、CPUが担当するといずれかに滅ぼされる可能性が非常に高い。しかし、その一方で織田家は斎藤家と戦うことが多く、戦いに敗れることも多々ある。そのタイミングを見て「打落水狗作戦」を行うのである。

これにより、プレイヤーが松平家を担当している場合は、強大な織田家を滅ぼし、一気に事態の打開を図ることが可能である。あらかじめ今川家と同盟を結んでおけば、後顧の憂いを絶つこともでき、全戦力を投入しても問題はない。

なお、「打落水狗(だらくすいく)」は「水に落ちた犬を叩く」ことを意味する。つまりは、徹底的な追い打ちをかけることである。もともとは「不打落水狗」、つまり「水に落ちた犬を叩くな」であり、逆の意味であったが、魯迅が中国人のモラルの欠如を嘆いて表現したものとも、孫文が気性の荒さを「不打落水狗」の語で戒められた際、この言葉でやり返したとも言われる。
 
 
因糧於敵作戦

攻城戦中に敵城に対する包囲を解き、引き返すそぶりを見せると、敵勢力は、その城に輸送隊を派遣することがある。ここで軍団を引き返し、再び城を包囲すると、輸送隊を捕獲して物資を奪うことができる。これは、一度派遣した輸送隊に再度の命令を下すことはできず、輸送隊を引き返させることができないという『戦国夢幻』のルールを利用したものである。

ここでは、この手法を『孫子』の「作戦編」の一語から引用して「因糧於敵(いんりょうおてき)作戦」と便宜的に呼称する。これは「糧を敵に因(依)る」ことを意味しており、まさしくゲーム中の行動そのものである。この作戦により、自勢力の軍団の兵糧を賄いつつ、敵の補給を絶ちながら攻城戦を続けることができる。

特に弱小勢力の場合は、国力が低いため、兵力が少ない軍団を維持しているだけでも兵糧が枯渇しやすい。そのため、輸送隊から奪った兵糧でも意外と長く攻城戦を続けることができるはずである。

しかし、軍団の規模が拡大すると、不定期かつ小量の敵の輸送に頼るわけにはいかなくなり、最終的には自前による兵糧の供給体制が不可欠となる。そのため、「因糧於敵作戦」は、序盤においてのみ有効な戦略であると言える。

なお、この手段は、どの城でも通用するというものではない。経験則的には、敵武将や物資が収束している「戦略拠点」にのみ優先的に輸送が行われる印象があるため、使いどころが限られる。また、当然ではあるが、城を1つしか持たない勢力には無意味である。

また、関東や近畿のような行軍ルートの入り組んだ地方では、CPUの輸送部隊が自勢力の城を通過することがある。この時、自城の上に軍団を編成しておくと、輸送部隊の物資を強奪することができる。この軍団は最小限の兵数でも問題はなく、輸送部隊を送り出した勢力との友好度は変化しないため、機会があれば積極的に活用するべきである。