行軍を利用した戦略

『戦国夢幻』は、リアルタイムでゲームが進行するため、実際に軍団が進行ルートを進み、敵軍団や敵の城と接触することで戦闘となる。つまり、軍団を編成してから戦闘がはじまるまでにはタイムラグが存在しているのである。この時間を活用することにより、様々な戦略的駆け引きが可能となる。ある意味において、これこそが『戦国夢幻』の醍醐味といっても過言ではない。
 
 
岩石スープ作戦

CPUは侵攻してくる軍団の規模から迎撃に出るか城に籠るかを選択するため、こちらから大軍を送り出せば、敵は迎撃を行わずに戦力を温存する。そのため、大軍を繰り出せば攻城戦が長引き、少数の兵力であれば、野戦に苦戦することになる。

しかし、敵の迎撃軍団は侵攻軍団を攻撃目標としており、この目標となっている軍団が他の軍団と合流した場合、目標は合流した軍団に引き継がれる。そのため、まず少数の軍団を編成して敵軍団をおびき寄せ、後から繰り出した本隊を囮軍団と合流させつつ前進を続けることにより、強力な軍団で敵の迎撃軍団と交戦することができる。ここでは、この戦略を便宜的に「岩石スープ作戦」と呼称する。

この戦略の利点は、敵が囮軍団に対して「動員」を使わずに迎撃に向かうことにある。そのため、農繁期において自軍が「動員」を行っている場合、圧倒的に有利な状況で戦うことができる。このことから、「岩石スープ作戦」は、農繁期に列強勢力の本隊に対して行うのが最も適している。ただし、敵城に残った兵力は「動員」によって増加することもあるため、注意が必要である。

なお、「岩石スープ」とは、浮浪者が「岩石のスープを作る」といって興味を持った主婦から次々と調味料と食材をもらい、最後には石の入った普通のスープを作ったという西洋の故事である。あえて言うなら「主客転倒」的な意味合いに近い。

第二次世界大戦におけるアメリカのパットン将軍は、はじめに偵察部隊を送り出し、これに主力部隊を追加投入することで快進撃を可能としたが、この戦略を先の故事になぞらえ「岩石スープ」と呼んだ。本稿でも、本来の意味よりは、こちらの意味合いで名称を拝借している。
 
 
岩石スープ作戦の応用

敵城の戦力が「動員」などによって予想以上に増えていた場合、いったん侵攻中の軍団を待機させ、あらためて囮軍団を編成、侵攻ルートに乗せて待機させた後、侵攻中の軍団を後退させると、敵は囮軍団に反応して迎撃軍団を派遣する。後は、後退していた軍団を再び敵城に侵攻させれば、そのまま敵の迎撃軍団と交戦し、兵士数の減少した敵城を包囲することができる。

本来の「岩石スープ作戦」と比較すると、こちらは敵に「動員」を使わせている点において不利である。あくまでも、こちらは敵の増員に対する二次的な作戦であり、予想外の事態が発生した際に用いるべきである。
 
 
啄木鳥作戦

「啄木鳥作戦」は、ある敵の城に対して自勢力の城が2つ以上接しているとき、片方の城から囮軍団を出して敵軍団をおびき寄せ、別の城から出した主力が手薄になった敵城を攻略する作戦である。

その最大のメリットは、「岩石スープ作戦」と同じく、自軍団の兵力を調整する必要がないことである。さらに、うまくタイミングを合わせれば、敵軍団が戻ってくる前に敵城を落としてしまうことも不可能ではない。また、敵勢力が1つしか城を持たない場合、理論的には敵の主力を倒さずに敵城を陥落させることもできるはずである

しかし、敵軍団は居城への侵攻を察知すると、すぐに撤退を開始するため、タイミングを計るのが難しい。そのため、先んじて武将を移動させてみるなどして、あらかじめ2つの城と敵城までの移動日数を確認しておいた方が良い。もちろん、移動日数がかかる城の方が囮を出すのに適していることは言うまでもない。しかし、どちらかと言えば、「岩石スープ作戦」の方が活用しやすいと思われる。

「啄木鳥作戦」の名称は、「第四次川中島の戦い」において、山本勘介が提案した戦術から引用している。要は先に囮を出して敵(上杉軍)を分散させし、本隊で分散した敵の主力を叩くというものであるが、囮に兵力を割きすぎたため、囮の動きを察知されたうえ、逆に敵の急襲を受け、囮に兵力を割かれた本隊は危機に陥ることとなった。

つまり、「啄木鳥作戦」は失敗した戦術であり、あまり縁起が良い名称とは言えないが、囮を利用した敵軍団の誘引というモチーフの類似性から、この名称を借用している。なお、ゲームでは囮の戦力が最小限でも敵は反応するため、囮に戦力を割きすぎ、本隊を各個撃破されかけたことまで再現する必要はない。また、囮はあくまでも囮であり、敵軍団が本隊の動きを察知して引き上げたら、そのまま城に戻してしまっても構わない。