基本的な収入

『戦国夢幻』の収入は、秋の「収穫」と月ごとの「町収益」によって構成される。「収穫」は、基本的な収入は大きいが、石高と税率に強い影響を受け、災害や「動員」による収入の減少もある。一方、「町収益」は毎月収められるうえ、収入も安定しているが、月あたりの収入は少ない。

収穫は「開墾」、町収益は「商業」によって上昇させていくのが基本ではあるが、下記のような外的な要因により、大幅に収入を上げることができる。しかし、それだけにデメリットも大きいものが多く、使用には注意が必要である。
 
 
税率

「大名コマンド」の「税率」は、秋の収穫に対する大名の取り分を設定するコマンドである。税率には「微税(0%)」、「軽税(10%)」、「平税(20%)」、「重税(30%)」の4種類があり、それぞれの石高に対するパーセンテージが大名の取り分となる。つまり、「微税」にすると、秋の収穫は入らないということである。

また、税率は、人気の増減、石高の上昇速度にも影響しており、いずれも税率が低いほど好影響を及ぼす。むしろ、これらの方が重要であるため、税率は低くしておいた方が良いと思われる。なお、税率を上げると、即座に人気が多少減少するが、税率を下げても、人気が直接上昇するということはない。また、税率は秋の収穫にのみ関係しており、町収益には一切影響しない。
 
 
石高

石高は「内政」コマンドの「開墾」で上げることもできるが、税率に応じて自動的に増えていく。この上昇率が税率と直結していることは、前述したとおりである。また、各城にはマスクデータとして「開発」が設定されており、この数値が高いほど、石高は上がりにくくなっている。全体的には東北、関東などの東側が低く、近畿、中国を中心に西側は高い傾向にある。

さらに、『攻略本』の25ページによると、ある城の石高は周囲の城の石高と連動しているという。つまり、ある城の石高が周囲の城に対して低い場合は、石高が上がりやすくなるが、その城の石高が周囲の城に対して最も高い場合、石高は上がりにくくなるのである。

ただし、『攻略本』の48ページによると、周囲の城に対して最も石高の高い城で石高が上がった場合、「開墾」に従事している武将は内政経験の取得にボーナスが加算される(通常は20%の判定を1回行うが、これが2回になる)というメリットがある。もっとも、ゲーム的には「開墾」よりも他の「内政」コマンドを実行した方が効率的であるため、これを狙って「開墾」を行う必要はないと思われる。
 
 
刀狩と検地

「城コマンド」の「布告」の「刀狩」と「検地」は、それぞれ軍事上のデメリット(「刀狩」は「動員」不可、農閑期になっても民兵の兵力は農繁期と同じになる。「検地」は民兵と強兵の戦闘力が傭兵と同じになる)と引き換えに収穫高を石高の10%分上昇させるコマンドである。

「刀狩」と「検地」のどちらを布告しても、その城の民兵は使い物にならなくなるため、やるならば2つまとめてやってしまった方が良い。この場合、収穫高は20%上昇することになり、「微税」の状態でも、その城では「平税」と同程度の収穫を得ることができる。ただし、あくまでも上がるのは「収穫高」であり、「石高」そのものではない点に注意する必要がある。

収穫高は石高に直結しているため、これらの布告は石高の高い城で行いたい。しかし、デメリットを考慮すると、戦闘要員の知行を他の城で完全に賄える程度には勢力を拡大しておく必要があるため、ある程度勢力を伸ばしてから用いるべきコマンドであると言える。

また、いずれのコマンドも、実行すると人気が多少減少するため、軍事上の拠点となっている城では行うべきではない。ついでに、これらの布告を行った城を非戦闘要員の受け皿としておけば、知行の配分が効率的になる。

なお、ゲーム中のヘルプアイコンによれば、「刀狩」は、一揆が起きなくなるというメリットがある。しかし、一向一揆を防ぐことはできず、現状では検証不足ではあるが、「工作」コマンドの「一揆」による一揆の発生も無効化できないのではないかと思われる。
 
 
楽市

「城コマンド」の「布告」の「楽市」は、町規模「3」の町の市を解放することで、それ以上の町の開発を行えるようにするためのコマンドである。ただし、町の収益が低下する(1500→1000)というデメリットがある。

さらに、町規模を「3」から「4」に上げるのにも時間がかかるため、「楽市」だけを実行して、町の規模を上げないという状況になると損をする。そのため、「楽市」は、明確に町の規模を上げるという目的意識を持ったうえで行うべきコマンドであると言える。

なお、切支丹大名になると、町規模「1」の町は楽市状態の町規模「2」の町になるが、これも収入は低下する(1000→400)ため、町規模の低い城しか保有していない大名は、キリシタン大名になるとむしろ損をする。にもかかわらず、デフォルトのキリシタン大名(黒田家、小西家など)は、町規模の低い城ばかりを所有しており、「切支丹」のマイナス要素ばかりが目立つことになる。
 
 
金山

金山は月5000の収入があるものと月2500の収支があるものに分けられる。ここでは、アイコンの色から前者を「金山」、後者を「銀山」と表記する(『攻略本』では「金山+」、「金山」と記載している)が、分ける必要がない場合は、合わせて「金山」と記述する。

単純に金山の収入は町規模「5」、銀山は町規模「4」の収入と同じである。つまり、最初から町規模の高い町を所有しているようなものであり、さらに本来の町収益が加わる。そのため、金山のある城を保有する大名は、最初から経済的に恵まれていることになり、序盤から「微税」や「動員」を活用することができる。特に上杉家や武田家は金山、強兵、優秀な武将がそろっており、ゲーム序盤から積極的な攻勢に出ても問題は少ない。

なお、「商業」に武将をあてがっていると、町収益に最大で25%が加算されるが、金山の分は考慮されない。また、金山を所有する城は増えることも減ることもないが、シナリオ1で言うところの躑躅ヶ崎館の金山は、シナリオ4(府中城)とシナリオ5(甲府城)のみ銀山になる。
 
 
支出

支出のうち、最も大きなものは軍団の行軍費用であると思われる。軍団内の兵士は、1日10人あたり「1」の兵糧を消費する。このように書くと大したことはないように思えるが、1万人の兵がいれば、1日あたりの消費兵糧は「1000」になる。

さらに、軍団編成の際は30日分の兵糧がデフォルトとして設定されるため、この場合の基本的な持参兵糧は「30000」ということになる。これを3軍団も編成すれば、軍団に支給される兵糧は「90000」に達する。このような事情から、序盤では「不穏」などを使い、最低限の戦力でも勝てる態勢を整えることで、兵糧の消費を抑える必要が生じるのである。

次に傭兵の維持費がある。これは、1月あたり傭兵1人につき兵糧「0.2」が必要となる。これも1人分では取るに足らないが、1000人ならば「200」、5000人ならば「1000」となり、町規模「2」の町や楽市状態の町規模「3」の町は、これだけで月あたりの町収支が差し引きで「0」となる。そのため、傭兵を集中させておく必要がない場合は、ある程度傭兵を近隣の城に分散させ、兵糧の浪費を防ぐべきである。

その他に兵糧が消費される事例としては、兵種の変更が挙げられるが、これは自勢力の城で行うことにより、兵糧の消費を最低限に抑えることができる。また、「内政」の「築城」も城の規模に応じて兵糧が消費されるが、「内政」の高い武将を多数投入することで消費量を抑えられる。

攻城戦では、「乱破(5日分)」と「内応(5日分)」、「火攻(失敗すると50%の確率で10日分の兵糧を消費)」などによって軍団内の兵糧が消費されるが、これらは消費兵糧に対して効果の割が合わないいため、使用する必要性自体が低い。要は、これらのコマンドを使用しなければ、それによる兵糧の消費を抑えられるということである。