ハンドブック紹介

 

_
   維新の嵐 ハンドブック 図説日本八州   
_

_
基本データ

●概要

 メインとなるのは、8つの地方の解説である。この解説は、「幕末名所図解」として、地方を構成するマップ(ブロック)を1枚ずつ紹介し、ゲーム上の地形が、現実のどこに相当するのかまでを説明している。ゲームの攻略には直接関係のない情報であるが、こうした情報を見ると、作品に対するスタッフの意気込みが感じられる。

 また、各ブロックから入ることのできる「町」については「維新キープレイス」として独立した項目が設けられている。これも町内の各スポットや居住者、歴史的背景など、ゲームの内容だけに留まらない情報の豊富さが魅力的である。



●本項の構成

ページ タイトル 内容
81 ・(扉) _
82〜91 東北地方 ・7ブロック4藩の紹介
92〜99 ・信越地方 ・4ブロック3藩の紹介
100〜109 関東地方 ・3ブロック2藩の紹介
・維新キープレイス「江戸」
110〜113 ・中部地方 ・2ブロック1藩の紹介
114〜127 近畿地方 ・6ブロック5藩の紹介
・維新キープレイス「京都」、「大阪」
128〜137 ・中国地方 ・2ブロック2藩の紹介
・維新キープレイス「萩」、「下関」
138〜145 四国地方 ・4ブロック2藩の紹介
・維新キープレイス「高知」
146〜152 九州地方 ・3ブロック4藩の紹介
・維新キープレイス「長崎」、「鹿児島」
158〜159 日本全国ブロック図 ・全土地図
160 ・(索引 ・城、町、港の索引
161 ・(全藩番付表 ・データ
各所 ・(日本名勝十景 ・名所紹介
各所 ・(名言・迷言集 _



●備考

 表のリンク先では、各項の注目点をまとめている。また、リンク先のタイトル部分のリンクは、上の表に戻るためのリンクである。
_
_
東北地方

●尊王派にとって絶好のカモは、尊王思想62をマークする遠藤充信。先進性ほかの能力は低いから、藩論さえ変えてしまえばあとはポイッ!同志にしなければいいのだ(62ページ)

 遠藤充信は仙台藩の家老。仙台藩の藩論は藩主、家老、重臣の思想が平均的に反映される「衆議型」であり、遠藤充信は仙台藩の数少ない尊皇派であるため、尊王派にとっては彼が仙台藩攻略のとっかかりになるということである。
_
_
関東地方

●これを引き金に、続く老中阿部正弘の暗殺未遂事件、異人斬り……(105ページ)

 「桜田門外の変」以後のテロの隆盛についての描写であるが、この時代にはすでに阿部正弘は死去している。おそらく、「坂下門外の変」で襲撃された老中安藤信正の誤りであると思われる。ちなみに、阿部正弘はシナリオ1開始年(1858年)の前年に死去しているため、ゲームには登場しないが、16ビット版にはデータが存在しているらしい。



●彼には、多くの権力者に見られる暗愚さがなく、英明でさえあった。しかし、その能力を発揮することもないまま、混迷を極めた政局に流された末、の決定であった(105ページ)

 徳川慶喜が幕府を終わらせたことに対する評価。個人的には、大政奉還を受け入れ、本格的な内戦を避けたことこそが、彼の英明さの表れであると思う。むしろ、それ以外の判断は、「参与会議」で出席者を敵に回し、「鳥羽伏見の戦い」では、戦闘中に逃走するなど、問題のあるものばかりという印象がある。
_
_
近畿地方

●上のマップの真ん中、堀に囲まれている京都御所を中心とする宮廷・公卿と、下のマップ、二条城で関西ににらみを利かせる江戸幕府武家団と、景観的にも政治的にも真っ向から対立している(125ページ)

 京都のマップのテーマ性について。

_
四国地方

●両者の思惑にズレがあったとしても、『維新の嵐』における説得の最たるものが、この土佐藩の大政奉還建白劇の過程に見出せる(143ページ)

 162ページや164ページでも取り上げられているが、この坂本龍馬と後藤象二郎の対話や、薩長同盟をめぐるやりとりが、本作に「説得」というシステムを組み込む一因となったようである。



●まずは自分より先進性の値が10ぐらい高い要人を探して面会を申し込み、意見に同調して先進性をアップするという作業を繰り返そう(144ページ)

 「先進性」の高い要人と「面会」すると自分の「先進性」が上がるが、その格差が大きい場合、「面会」を断られてしまう。そのため、見出しのように、少しだけ「先進性」が高い人物との「面会」を繰り返し、地道に「先進性」を上げていった方が良いということである。

 本書では、坂本龍馬(62)ではじめた場合の例として、都築壮蔵(80)、林玖十郎(86)、大村益次郎(94)、中浜万次郎(121)、福沢諭吉(131)、横井小楠(168)というルートを紹介している(カッコの中の数値が先進性)。なお、文中で都築が芸州藩士、林が長州藩士とあるのは誤りであり、いずれも宇和島藩士である。

 また、同じく文中で解説されているように、「面会」をすると「先進性」だけでなく、思想も相手に近づいてしまうため、異なる思想の人物と「面会」する際には、アフターケアのことも考えておきたい。



●下士である龍馬の意見が上士の吉田東洋らに取り入れられ、大政奉還運動がこの土佐高知を中心に巻き起こった事実に変わりはない(145ページ)

 土佐の身分制について。吉田東洋は大政奉還より前に暗殺されているため、後藤象二郎の誤りであると思われる。
_
_
九州地方

●神の下では皆平等であるというキリスト教の教えは、封建的身分制度を徹底しようとした徳川幕府の政策にそぐわず、これを禁教とした(147ページ)

 九州エリアには、江戸時代における唯一の海外港であった長崎がある。そして、その事情をさかのぼれば、鎖国や見出しのとおり、キリスト教徒の弾圧にたどり着くことになる。

 しかし、キリスト教の平等主義については、『新約聖書』の「ペトロの手紙一」にも「あなたがたは、すべて人の立てた制度に、主のゆえに従いなさい」とあるように、現世における身分制度を否定するものではない。

 この場合の「平等」とは「救済の平等」であり、ヤハウェによる救済は身分や人種を問わないということである。つまり、「キリスト教に入信すれば、誰もでも救われる可能性がある」ということであり、「信者は皆平等」ということではない。第一、「身分の平等」を認めてしまえば、法王の権威も否定されることになる。

 また、徳川幕府の禁教令も、単にキリスト教が幕府の体制に合わなかったという単純なものではない。国内的には急速な信者の増加に対する警戒があり、国外的には、カトリック圏とプロテスタント圏の市場争いがあった。最終的に徳川幕府はプロテスタントのオランダと手を組んでいるが、これもオランダがキリスト教の布教を行わないという条件が出されていた。



●この斉彬、シナリオ1が始まって2カ月ぐらいでポックリ死んでしまうから、強力な公儀思想もここで頭打ち。即座に薩摩藩を攻略すればよい。棚からボタ餅とはまさにこのことである(152ページ

 薩摩藩攻略のコツ。斉彬の死後は、尊王派で能力の低い島津忠義が後継者となる。そのため、薩摩藩の藩論を公儀以外に変えるのは、斉彬死後の方がはるかに楽であるということである。

 なお、本書の「維新の嵐に身を投じる」では、西郷を主人公にしたプレイレポートであるにもかかわらず、斉彬については、24ページで死去したことしか触れられていない。彼が死ぬまでの2か月の間は、ほぼ能力の上昇にあてられていたようである。



●それにしても、賭場はない、遊郭はたったの1軒と、いかに剛直で知られる薩摩武士の本拠とはいえ、ずいぶんと色気のない町だ(157ページ)

 鹿児島の町の特徴。見出しの前の文章でも触れられているが、賭場がないということは、早急に金を稼ぐ手段がないということであり、長期滞在するつもりであれば、ある程度金銭面に余裕を持たせておきたい。
_
_
日本全国ブロック図

港のルート(160ページ)

 これまで、ブロックごとに分けて紹介していたマップを繋ぎ合わせ、1枚の日本地図として完成させている。ここでは、特に袋小路になっている箇所に注目したい。本作では、マップを切り替えた時点でターンが終了するため、袋小路に入ってしまうと、入ったターンと出るターンの2ターンを無駄にしてしまうためである。
_
_
索引

港のルート(160ページ)

 160ページの港の索引には、「港→行先港一覧」として、港のルートが掲載されている。港のルートが固定されている本作において、その行く先を把握しておくことは、移動距離の短縮のためにも重要である。ただし、城と町の場所については該当するマップのページ数が記載されているが、それが港にはないため、やや使いづらい。
_
全藩番付表

●概要

 天領および各藩の初期状態のデータを掲載している。なお、シナリオによって要職の構成員は変わるが、本書にはシナリオ1のものしか掲載されていない。シナリオ2については、『光栄ゲーム用語辞典』の312ページにデータがある。



藩論の決定

 「藩論の決定」は、「藩主」、「家老」、「重臣」の「思想」が藩論に与える割合を決めるマスクデータである。161ページの上部で解説されているが、「藩主」の意向が強い「独裁型」、平均的な「衆議型」、「家老」の意向が強い「委任型」の三種類がある。このデータを理解していれば、その藩において優先して説得するべき人物が見えてくるはずである。



●その他のデータ

 「兵士数」のデータは、その藩と交戦するかどうかの判断や、逆に戦闘力をあてにする場合にも役立つ。兵力の多い藩とは、なるべく交戦を避け、藩主の説得によって戦力を取り込みたいものである。なお、佐賀藩の「訓練」のデータが「11」となっているのは誤植であり、「116」が正しいようである。

_
日本名勝十景

●概要

 本作のマップの各地には10ヶ所の「名所」が隠されており、特定のヘクスに入ると、その「名所」を見物することができる。本書には、「幕末名所図解」のマップ内に名勝の所在地が明記されている。名所見物は「精神力」が全快するため、ゲームの攻略的にも意義がある。

 ちなみに『太閤立志伝W』にも10ヶ所の名所が設定されており、本作と同じように見物することができる。ただし、これはイベントにちなんだものであり、本作のような回復効果はないようである。10ヶ所の内訳については、300年前には存在していない「五稜郭」に代わって「華厳の滝」が加わっている。
_
_
 ページの最上段に戻る                               書籍紹介へ
_