ハンドブック紹介

 

   信長の野望武将風雲録 ハンドブック  


 ●基本データ
 巻頭グラビア
 序章 波乱の時代
 第一章 治世の極意・内政
 第一章 治世の極意・人事と外交
 第二章 軍神の采配・軍備
 第二章 軍神の采配・戦術
 第三章 血風の戦場
 第四章 戦国大名総覧
 太原雪斎の作戦研究
 新しい群雄たち
 武将データ総覧と茶器データ一覧
 読み物
 反論
 その他
 総合評価 ★★★★

基本データ

 初版の発行は1991年3月25日。本稿では1992年2月25日発行の第4版を参照している。ページ数は奥付を含めて192ページ。定価は1860円。デザインは水谷均+(株)光栄デザイン部。執筆は坂木恒善、大蟻食、遠山隆宏。

 目次(2ページ)によれば、本書は序章を含めた5章から構成されている。これ以外に章外の4項、コラム2項、武将対談の「反論」、その他の3項があり、さらに目次には掲載されていないが、冒頭には巻頭グラビアがある。

巻頭グラビア

 3〜8ページ。前述のように目次には掲載されていない。絵画を主軸にキーワードと短文でゲームの世界観を表現する。扉は狩野永徳の「檜図屏風」であるが、これにはキーワードと文章はない。以降は「キーワード(絵画名)」という構造で「渡来(世界地図屏風)」、「南蛮(洋人奏楽図)」、「変革(南蛮屏風)」と続く。

序章 波乱の時代

 10〜16ページ。副題は「信長の野望・武将風雲録とは?」。前作の『戦国群雄伝』との違いを中心にゲーム内容を紹介する。ここで挙げられている主な変更点は9つであるが、2つめの「スタート年代が変わった」でテーマはシナリオ解説に移り、ここでいったん変更点に対する話題は途切れた後、最後のページで残り7つを紹介している。

 シナリオ解説は、右側のページで情勢の歴史的背景とゲームとしての大名の強弱を解説しており、さらに3人の武将が自己紹介というかたちでピックアップされている。登場武将は、シナリオ1が太原雪斎、陶晴賢、姉小路良頼、シナリオ2が上杉謙信、徳川家康、浅井長政である。

 また、左側のページでは、日本地図に色分けするかたちで有力大名が紹介されている。同じ色が複数人の大名で使いまわされているが、それぞれに距離が置かれているため、勢力を混同することはないと思われる。

 なお、シナリオ1の解説では「桶狭間の合戦」、「清州同盟」、「稲葉山改名」、「三本の矢の訓戒」などのイベントの存在が明かされているが、シナリオ2では、イベントの解説はない。つまり、今回も「本能寺の変」は伏せられた状態となっているのである。

第一章 治世の極意・内政

 17〜54ページ。「内政」、「人事」、「外交」の3項目の下には、それぞれに小見出しがある。また、全ての項目には「POINT」の欄があり、その項目の要点が一目でわかるようになっている。これは「第二章 軍神の采配」も同様である。

 「内政」は「覇王の螺旋(概論)」、「久遠の栄華(富国)」、「滅びざる荒野(金・食料)」、「怒りの茶器、嘆きの鉄砲(文化・技術)」、「豪商・今井宗久(取引)」、「茶器の虜囚(茶器)」の6項目から構成される。

 重要な要素としては、治水が米収入、文化が金収入に影響すること(22ページ)、文化の10倍の値が「商業」の上限となることと「技術」は各種「開発」コマンドの効果を高めること(25ページ)、大名が複数の茶器を持っていても、最も等級が高いものしか効果を発揮しないため、茶器は気前よく部下に分け与えた方が効果的であること(30ページ)などが挙げられる。

第一章 治世の極意・人事と外交

 「人事」は「蛟竜の飛翔(人材管理)」、「多聞天に聞け!(家臣強化)」、「破邪顕正(家臣統制)」の3項目から構成される。ここでは、「野望」が「情報」の「他国」、「外交」の「脅迫」と「調略」の「工作」と「混乱」、「教養」が「軍事」の「共同」、「調略」の「誘降」に影響を及ぼしていること(35ページ)「政治」と「軍事」の合計が149〜140の武将をまとめた「軍師候補生」の表(37ページ)に注目したい。

 また、39ページには、無能な武将に俸禄を支払うのはもったいないため、「解任」することを勧めている。この項には俸禄に対する解説はないが、57ページによれば、政治力と軍事力の合計値の10%が俸禄として支払われるという。

 「外交」は「裏切りの宴(友好度・使者)」、「乱舞する虎狼(貢物・同盟・婚姻)」、「乱破跳梁(共同軍・援軍)」の3校目であるが、「脅迫」の解説はない。ここでは「友好度変化表(47ページ)」と「もとの友好度が50より大きい場合、友好度の変化は表中の数値の2分の1になる」ことが重要な要素と言える。

 また、共同軍や援軍に支払う報酬は、武将1人につき国の金と米の10%である(49ページ)ため、プレイヤーが要請を受けた場合、最大の5人を送り込めば、依頼主が勝利した場合は、その国の金と米の半分を手に入れることができる。なお、CPUが派遣する共同軍の武将は、派遣元の国の武力上位3人のいずれかとなる(73ページ)ようである。

第二章 軍神の采配・軍備

 55〜80ページ。2項目。項目内は複数の小見出しに分けられており、それぞれの要点が「POINT」の欄にまとめられているのは第一章と同じである。このうち、「軍備」は「軍神、哭える(兵雇用・訓練・施し)」、「轟天種子島!(鉄砲)」、「波濤の要塞(鉄甲船)」、「雷鳴、天地を裂く!(最終調整・調略)」の4項目から構成されている。

 特に注目するべき点としては、57ページの「兵忠」と兵士に支払う俸禄の関係が挙げられる。「兵忠」が100の場合、兵1あたりの支給量は0.75、「兵忠」が0の場合は1.25となり、兵士100あたり50の差が出ることになる。また、「『戦闘』が80以下の武将の場合、戦闘力よりも訓練度のほうが攻撃力に影響する(57ページ)」ため、戦闘が81以上の武将は、それ未満の武将よりも戦場に投入する価値が高いことになる。「戦闘」が95以上の武将は騎馬隊を率いると戦闘力に補正がつく(58ページ)lことと合わせると、「戦闘」は「81」と「95」の2つが武将を選別する基準となりそうである。

 鉄砲および鉄甲船の大砲は、兵20を1組として最大5回の攻撃が可能である。そのため、21や41のような端数にしておくと、威力は微細ではあるが攻撃回数が増える。これは、武将の射殺を狙う場合は特に有効である。また、攻撃を行った鉄砲隊と隣接している鉄砲隊がおり、その鉄砲隊も先の鉄砲隊と同一の敵を攻撃できる場合は、追加攻撃を行える。つまり、できるだけ鉄砲隊はまとまって行動した方が良いということである。

 なお、59ページには「シナリオ別鉄砲保有数ベスト5」が掲載されている。シナリオ1、2の三好家やシナリオ2の毛利家は、国別の鉄砲保有数自体はあまり多くないが、領内の鉄砲を集中させると100丁を越える。そのため、鉄砲は侵攻元となる国に集中させておきたい。

第二章 軍神の采配・戦術

 「戦術」は「軍神降臨(出陣)」、「敵陣はるかなり(布陣・移動)」、「血刀の閃光(攻撃方法)」、「血染めの旗印(地形・陣形)」、「海峡燃ゆ(海戦)」、「牙城を撃て!(籠城戦)」の6項目でから構成される。

 重要な要素としては、CPUに攻撃を仕掛けた場合、CPUはプレイヤーの戦力から野戦と籠城戦のどちらにするか決めるということである。つまり、投入戦力を抑えれば面倒な籠城戦を行わなくても良いのである。67ページでは、CPUの判断基準を戦力比1.5倍程度としているが、武将の能力や「兵忠」と「訓練度」、鉄砲や鉄甲船などの要素次第では、さらに兵力を下げ、敵が野戦を挑む確率を上げることができる。

 しかし、籠城戦を挑んだ方が得策であるという状況も少なからず存在する。例えば、鉄甲船を持っていない状態で戦いを挑むならば、海戦よりも籠城戦の方が良いという場合もある。また、「コンピュータ大名は米の売買を頻繁に実行する(76ページ)」ため、こまめに情報を確認していれば、籠城戦に持ち込ませて兵糧攻めを行うという手段も使える。

 もう1つ重要なポイントとして、1つの敵部隊と接している自軍部隊が多いほど、「隣接効果」として攻撃力にボーナスがつくというシステムが挙げられる(72ページ)。これは1部隊につき2割程度の増強となり、敵の周囲6へクスを取り囲めば、2倍の攻撃力となる。「隣接効果」は共同軍や援軍にも適用されるため、この意味においても、これらを依頼する価値はある。

 なお、本書では、地形効果について「マニュアルに書かれているので参照してほしい(72ページ)」で片づけられているが、これは英断である。読者も金を出して攻略本を買っているのであるから、マニュアルと重複する内容を掲載するくらいならば、他に欲しい情報はいくらでもある。本来ならば、この思い切りのよさこそが受け継がれるべきであったと思うが、近年では、むしろマニュアルの内容を補填するかのような傾向が強くなっている印象がある。

第三章 血風の戦場

 81〜112ページ。2項目。「古戦場を駆ける」は、全国48ヶ所の古戦場の情報を掲載している。情報は、簡潔な説明とマップの写真、4種類の地勢的分類、隣接国と古戦場が登場する侵攻元の国(本作では、特定の国から侵攻した場合のみ古戦場が登場し、それ以外は汎用の戦場が選ばれる)から構成されているが、古戦場の出現条件については82ページに一覧表があり、国番号さえ把握しているならば、こちらの方が見やすいと思われる。

 1ページに4国分の情報を掲載するという都合上、説明は極めて簡素なものとなっているが、古戦場の史実的解説、ゲーム内のマップの特徴、マップ内の地形が現実のどこに由来しているかなどの情報が、できる限り詰め込まれている。これらのバランスの悪い解説もあるが、解説そのものは非常に興味深く読むことができる。

 「城郭炎上す」は全国48ヵ所の城のマップとデータ、簡単な解説から構成されている。データは城防御度、門の数、本丸に至るまでの層の数、ハンドブック独自の判断による堅固度が横1列に記載されている。ちなみに、城防御度は「シナリオ1の開始時(95ページ)」の数値であるが、シナリオ1とシナリオ2の城防御度はほぼ同じである(136ページでは岐阜城の城防御が「5」低下している)ため、シナリオ2の数値として考えても問題はない。

 また、本項では特徴のある城を「戦国“迷”城大賞」に選出している(95ページ)。「難攻不落大賞」は小田原城。コメントは北条氏康。「質素大賞」は鹿児島城。コメントは島津義久。「出世大賞」は七尾城、コメントは畠山義綱であるが、これは『戦国群雄伝』のマップがあまりにも簡素であったことにちなんでいる。

 「幻の名城大賞」は安土城。コメントは織田信長、「最優秀“迷”城大賞」は若江城で本丸の奥に小部屋のようなエリアがあることが選出基準となっている。つまり、「政治」が高いが「戦闘」の低い武将を城主にしている場合、この小部屋に城主を置き、本丸を「戦闘」の高い武将に守らせるという手段が使えるのである。コメントは三好長慶である。

第四章 戦国大名総覧

 113〜161ページ。全48ヶ国の情勢の解説。レイアウトは1ページを上下に分け、上段にはシナリオ1、下段にはシナリオ2の情報を掲載する。情報は城主の顔グラフィック、国データ、所属武将の名前、城主の略歴、その国で行うべき初期戦略などである。

 『戦国群雄伝ハンドブック』と比較すると、両シナリオの情報が均等に掲載されており、大きな進歩を見せている。武将の情報については名前だけになってしまっているが、本書の巻末には全武将のパラメータが掲載されているため、これを参照することで情報の不足を補うことができる。

 ここで注目したいのは国データの「訓練」と「兵忠」である。ゲーム開始時に「徴兵」を行うことが多く、すぐに低下してしまうデータではあるが、鈴木や島津のような精兵で知られる勢力のデータは高く、弱兵で知られる尾張の兵士はいずれも低くなっている。また、本願寺では、訓練度は低いが兵忠は極めて高く、地味ではあるが各勢力の特色が出ているのである。

 また、今回は優秀な浪人をピックアップするかたちで彼らの情報も掲載されている。具体的な登場年代がぼかされているが、これが情報を隠しているのか、定員制度(『武将風雲録』では一度に登場できる武将の数が決まっているため、登場武将数が限界の場合、新規の武将は登場できず、今いる武将の誰かが死ぬのを待つしかない)を配慮しているのかは不明である。

太原雪斎の作戦研究

 162〜171ページ。5項目。平たく言えば「おすすめ大名の紹介」であり、太原雪斎による解説という体裁を採っている。本文は総論、戦略、診断の3項目から構成され、さらには通販の広告のような怪しげな体験談も付されている。

 「日本最南端より全国を席巻す!」はシナリオ1の島津家によるプレイの勧めである。島津家は地勢、国データの「技術」、武将の質、鉄砲数に優れており、外交関係を気にしなくても敵を絞り、戦力を集中させて進撃することができる。そのため、「過酷なサバイバルや、複雑微妙なサバイバルに耐えられない胃弱の人、ストレスに弱い人には最適の大名(163ページ)」であり、つまりは初心者向けであると言える。

 「都会派大名は文化にこだわるべし」の推奨はシナリオ1の三好家。国力に恵まれた摂津と教養の高い三好長慶を中心に、茶器狩りや茶会など、本作のテーマの1つである「文化」を楽しみ尽くすというものである。逆に「正統派戦国大名をプレイする!」では「戦争を行い、領土を拡張する(167ページ)」をテーマに上杉謙信を推奨し、技術も文化も後回しにして戦争に明け暮れるプレイスタイルを勧める。

 「貧乏なんかに負けるでないぞ!」はシナリオ1の姉小路良頼によるプレイの勧めである。貧しい国力、貧弱な戦力、平凡な武将という三重苦をあえて受け入れ、逆境を覆すことに楽しみを見出せる上級者プレイヤーが対象と言える。

 「信長包囲網を跳ね返せ!」は、シナリオ2の織田信長のプレイスタイル。周囲を敵に取り囲まれているという危機的状況は、織田家の強さと自由度の高さを堪能する場面でもある。特に多人数プレイでは、、姑息な妥協を求めるよりも、「束になってかかってこい!(171ページ)」という気概で孤立無援を楽しむべきであるという。

新しい群雄たち

 172〜176ページ。『武将風雲録』で新登場した武将31人をピックアップし、彼らの略歴と顔グラフィックを紹介する。また、ゲーム中に来訪する画家、茶人、宣教師らの略歴も掲載されているが、こちらには顔グラフィックはない。

 新規部将の多くは、前作ではカットされていた東北と九州の武将である。また、ゲーム開始年代が前作から5年早まった(1560年→1555年)ことで登場できるようになった斎藤道三や陶晴賢なども目立つ。それ以外では、織田有楽斎や古田織部などの教養人、宮本武蔵などの剣豪も本作が初出演である。

 なお、蒲生賢秀(174ページ)は、前作では父(定秀)と子(氏郷)は登場していたが、本人は未登場であった。ちなみに本作では定秀が登場しておらず、蒲生三代が勢ぞろいするのは『覇王伝』以降となる。

 また、176ページの欄外には「この続きは『武将ファイル』で!」とあり、この時点で『武将ファイル』シリーズの刊行が確定路線となっていることが分かる。分割商法が好ましくないのは当然であるが、情報量の問題から、すでにゲームの情報と史実の情報を両立させることは難しくなってきており、ある程度はやむを得ないことではあると言える。

武将データ総覧と茶器データ一覧

 「武将データ総覧」は177〜190ページ。データはシナリオ1とシナリオ2で別々に掲載されている。項目は武将名、読み、所属大名と所属国、身分、ゲーム中で確認できるパラメータでマスクデータの記載はない。字がやや小さいのが難であるが、1人分のデータは1ページに収められており、武将1人のデータが一目でわかるようになっている。

 本書では原則的に武将のプロフィールは掲載されていない。もちろん、ないよりはある方が望ましいが、『武将ファイル』の刊行が既定路線となっているならば、中途半端にプロフィールを掲載するよりは、『武将ファイル』に情報を集中化させた方が、住み分けができる。ゲームの攻略本として見た場合、優先するべき情報は武将のプロフィールよりもデータであると思われるため、こうした取捨選択は個人的には正しいと思える。

 「茶器データ一覧」は191ページ。両シナリオの茶器の茶器名、読み、所持武将、等級、種類を掲載している。シナリオ1とシナリオ2でデータを分けているのは、シナリオによって等級が変わる茶器があることによるものであると考えられる。ゲームのデータとして見た場合、等級と所持武将が一目でわかることは非常に便利であるが、茶器のプロフィールは、本書にも『武将ファイル』にも掲載されていない。どちらかに情報が欲しかったところである。

読み物

 「戦国、茶、茶、茶!(52〜54ページ)」の副題は「ルーツから利休まで」。テーマは「茶会と茶器」である。遣唐使による喫茶の習慣の導入にはじまり、栄西による喫茶の再興、バサラ大名による「闘茶(金を賭けた利き茶)」、村田珠光による「茶道」への転換、その流れをくむ堺の商人の茶会を経て、信長による茶器と茶会の政治利用へと至る。

 この信長の茶頭が千利休であり、話は利休と秀吉の確執に移る。本書では、2人の確執の理由を秀吉のコンプレックスに求める。信長は独自の美意識を持ち、利休ら「大芸術家」に対しても、己の価値観が揺らぐことはなかったが、秀吉は、「大芸術家」の演出、価値観に振り回された。要は、利休に「見くびられていた」のであり、利休が死なない限り、「見くびられ続ける」ことになる。そのため、秀吉は利休に死を命じたのだという。

 「銃声が轟く戦場」の副題は「鉄砲が戦術を変えた!」。テーマは「技術と鉄砲」であり、「戦国、茶、茶、茶!」とともに、本作のメインテーマを解説するかたちとなる。ヨーロッパで生まれた鉄砲は、それまでのロングボウやクロスボウに対して、それほど優れた兵器ではなかったが、日本において鉄砲が爆発的に普及したのは、和弓の射程距離が鉄砲よりもさらに短かく、和弓よりも有力な兵器として認められたためであるという。

 鉄砲は、信長によって集中運用のノウハウが確立し、城の平城化を促したが、家康による全国統一後、技術的進展は停止した。しかし、ヨーロッパでは戦乱の中で銃器の改良が進み、日本は幕末において250年の間進化を続けてきた銃器と再会することになる。

 なお、「銃声が轟く戦場」では、「長篠の戦い」において武田軍が「側面へ回り込んで攻撃を行えば、信長も支えきれなかったと思われる(109ページ)」とあるが、実際には地勢的に迂回は難しかったようである。当然ではあるが、信長も、そのあたりの配慮はしているのである。

反論

 武将たちの対談形式で本作の定石と言える手段にあえて異議を唱えようという試みである。「内政不要論はトレンドになるか?(32〜33ページ)」は、速攻の有効性を説く武田勝頼と、彼の早急を戒める父信玄の論争である。結果としては信玄に軍配が上がるが、信玄も、弱小大名の初期戦略としての内政不要論自体は否定していない。

 「外交不要論を斬る!(50〜51ページ)」は島津義久による外交不要論に対し、羽柴秀吉が同盟の利益を解く。論争の勝者は秀吉であるが、島津家ならば、地理的な優勢によって外交不要論が成り立つことも間違いではない。

 「鉄砲は時代の最先端?(64〜65ページ)」は鉄砲の積極的導入を説く信長と消極的な謙信の論争である。しかし、謙信も鉄砲の利点そのものを否定するわけではなく、その場に鉄砲否定論者がいないことが明らかとなる。ちなみに、謙信の場合、「戦闘」の高さから騎馬隊の戦闘力にボーナスがつく。やはり彼に限れば、鉄砲は不要であると言えなくもない。

 「物量戦術論は万能であるか?(78〜79ページ)」は、物量による効率的戦闘を推し進める信長に対し、謙信と鈴木重秀は、少数精鋭による戦闘の「面白味」を求める。議論の結果は引き分けであるが、本作ではCPUが敵兵力の多寡を判断して野戦と籠城戦を選ぶという仕様上、下手に大軍を動員して城に籠られるよりは、敵と同数の兵力で野戦に持ち込んだ方が楽であり、その意味では少数精鋭の方が効率的であると考えられる。

その他

 目次によれば、これまでの分類に含まれない項目が3項ある。「彼らは突然やってくる!(40〜41ページ)」はイベントとして現れるキャラクターのメリットとデメリットを一覧表に表している。

 この中では、画家には活躍期間がある事に注目したい。画家は4人おり、1人目の狩野永徳は1555年から1580年までの25年間活動している。以下、10年ごとに新たな画家が現れ、いずれも25年で活動を終える。4人目の狩野山楽が1610年に引退すると、画家は現れなくなる。ちなみに、狩野山楽は「16ビット版のみ」とあり、ハードによっては現れないようである。

 「姫様シスターズ見参!(80ページ)」は、姫の顔グラフィック10枚を掲載している。本作の姫は「婚姻」や「脅迫」の時に顔を出すだけであり、以降のシリーズのように特定の個人が存在しているわけではない。「安土城築城(112ページ)」は「城郭炎上す」のおまけのようなものであり、イベントによって登場する安土城のマップとデータを掲載している。ただし、イベントについては存在をほのめかしているものの、具体的な条件は掲載されていない。なお、安土城は小谷城のマップと差し替えになるが、102ページでは堅固度は「A」であった小谷城は、ここでは「B」と記載されている。

総合評価 ★★★★

 文章が面白く、ゲームそのものを「プレイしたい」と思わせる一冊である。ハンドブックとしてはゲーム的に有益な情報も多く、本項の文章量の多さが、それを証明していると言える。また、「血風の戦場」の短いながらも詰め込まれた情報や、「反論」の一筋縄ではいかない面々(本当に外交が不要な島津義久が外交不要論を唱え、鉄砲隊よりも騎馬隊を率いた方が強力になる上杉謙信が鉄砲隊の問題点を指摘する)など、小ネタも効いており、良い意味で「光栄らしい」攻略本の完成形であると言える。

 一方、最大の問題点としては、「本能寺の変」イベントと、それに伴って登場するシナリオ3の情報が一切掲載されていないことが挙げられる。本書だけでは、このゲームにシナリオ3があることには一切気が付かないと思われる。なお、本書の前年に刊行された『ランペルールハンドブック』では、ぼかしながらも隠しシナリオであるシナリオ5の情報が掲載されていた。つまり、情報の透明性では、大きく後退したと言える。


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