ハンドブック紹介

 

   信長の野望将星録ハンドブック  


 ●基本データ
 巻頭グラビア
 第一部 群雄争覇之章
 第二部 城下町形成之章
 第三部 進軍破竹の章
 第四部 情報総覧之章
 歴史コラムと読み物
 信長の野望将星録よろず相談室
 総合評価 ★★

基本データ

 初版の刊行は1997年6月6日。ページ数は奥付を含めて192ページ。定価は1905円。本文デザインは水谷均、本文執筆は稲葉義明、恩床アモス、神代八景、曽我部悦承、はせべゆたか。基本構成は全4部と巻頭グラビア、歴史コラム3編、歴史読み物1編、Q&A3編。本書では初版を参照している。

巻頭グラビア

 2~9ページ。4編。本作の4つのシナリオの歴史的背景を写真や人物画を交えて解説する。シナリオ1の「1551年4月 うつけ者家督を継ぐ」は「川中島合戦図屏風」、シナリオ2の「1560年5月 風雲桶狭間」は「織田信長像」と「桶狭間古戦場田楽坪」の石碑。シナリオ3 の「1570年10月 天下布武の危機」は「長篠合戦図屏風」、シナリオ4の「1582年 天下への道」は豊臣秀吉象と明智光秀像が掲載されている。

 本項における各シナリオの解説は、「天下統一」という視点のもとで一貫性を持っているように思われる。この場合、シナリオ1が「有力大名の誕生」、シナリオ2が「有力大名の爆発的な勢力拡大」、シナリオ3が「爆発的な勢力拡大を果たした信長を追う有力大名と、覇権争いの地方への波及」、シナリオ4が「事実上の信長の勝利と死」と読み取ることができる。こうして視点の一貫性は、1つの時代を理解する手段としては有用である。

 本項はグラビアとシナリオ紹介を兼ねており、グラビアであることを考慮すれば、様々な画像が掲載されているのは当然であると言える。しかし、シナリオ紹介として見た場合、勢力図が掲載されていないという問題点がある。特に本書では、「第一部 群雄争覇之章」にシナリオごとの地域の勢力図は載せてあるものの、それらを総合した日本全土の勢力図というものがないため、日本全土の状況が分かりにくくなってしまっている。

第一部 群雄争覇之章

 11~68ページ。6項目。扉絵は姫路城の写真。以降もすべて扉絵は城のカラー写真である。本項では日本全土を6つのエリアに分類し、それぞれのシナリオごとの情勢と勢力ごとの初期戦略を紹介している。また、特に有力な勢力に関しては1ページを割き、初期戦略の紹介はシナリオごと、優秀な家臣4人をピックアップした体裁をとっている。

 シナリオごとに勢力の総合的なデータを掲載しているのは『天翔記ハンドブック』と同様である。また、今回はシナリオごとの情勢がマップで紹介されるようになり、年代ごとの勢力の変動が分かりやすくなった。また、CPUの行動傾向が記載されているのも良い。しかし、地域ごとの勢力興亡史や、勢力の歴史的背景の解説などは完全にカットされ、純粋にゲームの情報だけになってしまっている。そのため、読み物としての価値は大きく減少しているという印象がある。

第二部 城下町形成之章

 69~104ページ。扉絵は小田原城。「国家経営の基礎知識(概論)」、「作成可能地形一覧(プレイヤーが内政によって作成できる地形。以下、本項では『改善地形』と称する)」、「作成不可地形一覧(プレイヤーが作成できない地形)」、「巨大経済都市を目指して(収入の増加)」、「城下町要塞化計画(防衛力の強化)」、「天災と一向一揆(災害イベント)」、「いざ外征……その前に(外交、調略、人材)」、「国造りの手順(総まとめ)」、「将来を見つめた戦略を(昇進、後継者)」の9項目から構成される。

 情報は基礎レベルのものに留まり、ほとんど見るべきところはない。しかし、水田は「治水河川から三スクエア以内にある平地、湿地、街道(72ページ)」に「開墾」で作ることができるという点には、注意しておく必要がある。つまり、「河川」を「治水河川」に変えることにより、当初は畑しか設置できない地形にも、新たに水田を作ることができる可能性が生まれるということである。レベル2以降の水田は畑よりも収穫量が高いため、水田を作れるようになったら畑を潰して水田を作った方が良い。

 また、本項では支城の築城を強く推奨しているが、パソコン版ではコンシューマ版のように支城の周りに改善地形を作ることができず、純粋な軍事拠点としての価値しかない。そのため、敵の侵攻を撃退できる体制が整っているならば、支城に頼るまでもなく、軍勢を領域外に送って迎撃に努めた方が効果的である。

第三部 進軍破竹の章

 105~140ページ。扉絵は大阪城。「軍勢編成之基礎(編成)」、「行軍之基礎(行軍)」、「野戦総論」、「陣形編成各論(項目内のタイトルは『陣形編成の基本』。部隊の配置例)」、「野戦の手順(これまでの総論)、「攻城戦総論(攻城戦の概論)」、「籠城戦マップ総覧(城マップの紹介。項目内にタイトルはない)」、「攻城戦の手順(攻城戦の総論)」の8項目から構成されている。

 ここでも基礎レベルの話題が中心であり、見るべき要素は少ない。注目するべき点としては、野戦のターンが季節で決まり、夏は5ターン、冬は3ターンに設定される(112ページ)ことくらいである。また、「策略で寡兵をカバー(111ページ)」という項目では「放火」、「混乱」、「挑発」、「酒盛」などのコマンドを紹介しているが、個人的な印象としては、これらのコマンドをプレイヤーが用いても、成功する確率は非常に低い(逆にCPUの成功率は妙に高い)。

 これらに頼るよりは、敵軍勢の側面を衝く、「名馬」を持たせて捕えられないようにした武将や不要な武将を捨て駒にして兵力を削る、堅城に籠り、籠城戦に持ち込むなど、運に頼らない手段を心がけた方が良いと思われる。一番良いのは、相手が圧倒的に強力であれば、戦う前に同盟を結んでおくことである。

第四部 情報総覧之章

 141~182ページ。扉絵は岐阜城。「武将データ一覧」、「家宝データ一覧」、「家宝の種類と特殊効果」、「官位データ一覧」、「城データ一覧」の5項目から構成されているが、家宝関係の2項はひとまとめのようなものである。

 これらは、それぞれのタイトル通りのデータを掲載している。『天翔記ハンドブック』と比較すると、「官位データ一覧」が加わったぶん、内容はより充実していると言える。本書がゲームの攻略本である以上、こうしたデータ面の充実は必要であることは間違いない。

 一方、難点としては「武将データ一覧」はシナリオごとの所属が掲載されていない点、「家宝データ一覧」は、カテゴリごとの家宝の並び順が不規則である点などが挙げられる。前者は、武将のデータの列の幅を1ページに収めるためのやむを得ない処置であることが察せられるが、後者は、規則性がなく見にくいだけである。『天翔記ハンドブック』などと同じく、等級順で良かったのではないかと思われる。

歴史コラムと読み物

 本書の歴史コラムは3編である。「軍団の食糧事情(64~65ページ)」は、史実における戦時中の食料確保の手段を紹介する。本作における軍勢の兵糧や輸送部隊と関連性が強い。結論から言えば、秀吉が現地徴発に頼りがちであった補給事情を一新したと言える。彼の補給概念は、食料の確保にとどまらず、街道の普請などによる補給ルートの開発などにも及んでいた。これは中国遠征時から活用されており、特に補給ルートの開発については、「中国大返し」を成功させた一因にもなっているのではないかと考えられる。

 「戦国の農村(100~101ページ」は、本作の改善地形である「村」とイベントの「一揆」との関連性が強い。領主と農村の関係は、領主による一方的な収奪ではなく、「領主は農村から収穫物を受け取る代わりに、農村が脅かされた場合は庇護する」という(一応の)相互関係に基づいている。このバランスが崩れれば、農村は一揆や逃亡によって反抗の意を示すことになる。

 「一向一揆とは何か(134~135ページ)」は、文字通り一向一揆について。一向一揆内の坊官と民衆の意思の祖語、一向一揆内の非一向宗勢力の動向に一向一揆衰退の原因を求める。勢力としての一向宗(本願寺)やイベントとしての一向一揆は、本作よりも前から登場しており、「武将ファイル」のコラムなどでも一向一揆を解説したものがあるが、「ハンドブック」において一向一揆を解説したのは、本項がはじめてである。

 歴史読み物の「戦国の城から近世の城へ」は、各種の戦国時代の城(本作の攻城戦マップとして登場する山城と平城や、改善地形の支城など)を紹介したうえで、これらの軍事拠点としての城が、経済のシンボルとしての平城へと一元化していった過程を紹介する。その転換点を作った代表者が信長であり、家臣の住居を本城に集中させることで人口の集中と城下町の形成を促した。そこから生まれる経済力は、彼の躍進の原動力の1つになったという。

信長の野望将星録よろず相談室

 全3編のQ&A集。「其の一」は66~68ページ。「其の二」は102~104ページ。「其の三」は136~140ページに掲載されている。66ページには、光栄の攻略本としては、珍しく難易度に関する解説がある。本作では、CPUの調略(初級では使用しない)、災害、斬首の確率などに影響を与えているようである。

 その他の重要な情報としては、まず103ページの修練可能城一覧が挙げられる。ここでは、修練できる内容についても触れられているため、必要に応じて武将を配置したい。しかし、修練ができるかどうかは月ごとにランダムで決まるため、運が悪いと武将が飼い殺し状態になってしまうという問題点もある。

 また、136ページの兵科の基本攻撃順序も重要である。これは、兵科ごとに騎馬と騎馬鉄砲→足軽→鉄砲→船→鉄甲船の順序となっている。つまり、本作の騎馬砲隊は、攻撃順序の速い鉄砲隊としての価値があることになる。ちなみに、兵科迪性も攻撃順序を決める要素の1つであるが、騎馬鉄砲は「騎馬」と「鉄砲」の適性のうち、高い方が適用される。

 次に137ページの「包囲効果」にも注目したい。これは、敵を包囲して野戦を行うと、味方の士気が上がり、敵の士気が下がるというものである。さらに、この状態だと敵を捕獲できる可能性も上昇する。また、この項では「弓」の攻撃を払い落とし、ダメージを低下させられる確率は戦闘が「80」以上で上昇することも記載されている。武将に「武力」の上昇する家宝を授ける犀の目安になると思われる。

総合評価 ★★

 データ的に必要な情報は揃っており、ゲームをプレイする際の手助けとなることは間違いない。しかし、ゲームの情報はマニュアルレベル、歴史の情報はコラムと読み物だけにとどまり、ゲーム面の情報とは完全に乖離している。ゲームの攻略本としては正しいと思われるが、書籍としての面白味はない。


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