ハンドブック紹介

 

   ヨーロッパ戦線 ハンドブック 解説  


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基本データと本書の構成

カラーグラビア                               

●カラーグラビア

 本書のカラーグラビアは、朝日ソノラマの「航空戦史シリーズ」と「新戦史シリーズ」のカバーイラストから引用されており、該当項目の「内容」欄は、書籍のタイトルを表している。ちなみに、イラストは、すべて本作のパッケージイラストも手掛けている生頼範義によるものである。
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第一部 軍団長教書

軍団組織概要                               

●師団長の任命

 ゲーム開始時点に設定した人事は、ゲーム中の「任命」コマンドで変更することができる。特に「体力」が「0」になった師団長は死亡するため、そうなる前に師団長を入れ替え、「体力」を消耗した将軍には「休養」を与えておきたい。

軍事データ解析学                           

●「経験」の補正(24ページ)

 本書では「経験」を積むと能力値が上がるということしか記載されていないが、「スーパーガイドブック」の5ページによると、その最大値は「99」であり、「経験」の5分の1が各能力に加算されるという。ただし、パソコン版にも、このルールが適用されているかどうかは不明である。

戦術命令要綱                             

●コマンドと時間

 各種コマンドのうち、「補給」は3〜4ターン、「地雷」は6ターン、「架橋」は9ターンが必要となる。

補給理論序説                              

●補給路

 画面の縁の部分は「補給路」になっており、増援や補給物資は、ここから送られてくる。しかし、敵に後方を取られると、補給路を寸断された状態になり、補給が滞る。また、全体的な情勢の優劣も補給路の太さに影響を与える。

 補給路をゲーム上で確認することはできないが、本書や「スーパーガイドブック」のシナリオ攻略の項には、補給路の占有率が掲載されている。

長期連戦之心得                            

●増援師団から兵を奪う(35ページ)

 本作のシナリオ3と5では第4師団、シナリオ4では第3、第4師団が増援部隊となり、ゲームスタート時には登場しない。そのため、前のステージの段階で、これらの師団の兵力をスタート時から登場している師団に移し、戦力の不利を補うという手法がある。

●守備隊の兵を編入する(35ページ)

 そのシナリオの勝利が確定した時点で、各都市に駐屯している守備隊を編入しておき、次のシナリオの戦力にするという手段もある。ただし、その有用性は、守備隊の兵力しだいということになる。

●大隊の自動補給を活用する

 「スーパーガイドブック」の36ページには、シナリオクリア直前に強力な兵器を「1」だけ配備した大隊を作り、その状態でシナリオをクリアすると、次のシナリオでは、その大隊の兵力が補充されるため、これを集中させて強力な大隊を編成するという「秘技」が紹介されている。これもパソコン版でできるかどうかは不明である。
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第二部 軍事攻略大綱

防衛戦術範例                               

●防戦と工兵

 一定期間の間、勝利条件都市を防衛するのが目的となるシナリオでは、橋の爆破と地雷原の設置が重要な要素となる。しかし、工兵には橋を架け、地雷を撤去する能力があり、そのままでは防戦体制を破壊されてしまう。

 そのため、前線に出てきた敵の工兵は最優先の攻撃目標としたい。工兵はすぐに逃走するため、壊滅は難しいが、前線から遠ざけるだけでも時間稼ぎになる。これについては、敵の補給兵についても同じことが言える。

攻略                                     

●デフォルトで地雷原が構築されているシナリオ

 シナリオ2と3では、ゲーム開始時点から、連合軍側の地雷原が完成している。そのため、枢軸軍は、早い段階から工兵による地雷撤去が必要となる。ちなみに、地雷が斜めに接している場所は、斜めに連隊を移動させることで、地雷原を回避することができる。
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第三部 戦場紳士録

戦場紳士録                                

●パッケージイラストの4人(94〜95ページ)

 パッケージイラスト上部の4人は、右からソ連のジューコフ、イギリスのモントゴメリー、ドイツのロンメル、アメリカのパットンである。この4人については別格の扱いらしく、94〜95ページでは顔グラフィックと解説だけでなく、パッケージからトリミングされたイラストが掲載されている。

●架空の人物

 枢軸軍のホス(シナリオ1、3)、タッキーニ(シナリオ2)、テイフー(シナリオ5、6)、連合軍のブロカード(シナリオ1)とサンダース(シナリオ5)は、本書によると「架空の人物」であるという。しかし、このうち、サンダースはアメリカのテレビドラマ『コンバット!』のサンダース軍曹がモデルであることは間違いないと思われる。

 また、ブロカードについては、フランス戦役において第3機甲師団を指揮したアントワーヌ・ブロカールのことなのではないかと思われる。彼は猛進するグデーリアンの機甲軍団を補足できる状況にあったが、司令官から戦車を薄く配置するように命じられて好機を逃した。その後、反撃遅延の責任を押し付けられるかたちで師団長を解任されている。

 これらのことからすると、残りの3人も全くの架空の人物なのではなく、何らかのモデルが存在する可能性があると考えられる。
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第四部 欧州激戦史

大戦勃発までの世界                           

●ポーランドは電撃戦か?(116ページ)

 本書では、ドイツ軍のポーランド戦役に対する勝利を「電撃戦」の成功に求めている。しかし、フランス戦役の戦略が、大規模かつ集中した装甲軍団による「包囲のための包囲」であるとすれば、ポーランド戦役は歩兵部隊による「殲滅のための包囲」を目指したものであり、同一に見なすことはできないという見方がある。

 確かに、ポーランド戦役において、グデーリアンの第19装甲師団が「電撃戦」的な猛進を見せたのは事実である。しかし、ドイツ全軍の行動から見ると、この時点では、グデーリアンの方が「異端」であった。この「異端」の手法を全軍規模で取り入れたものがフランス戦役であり、これによってドイツ軍は、決定的な勝利を収めることができたという。

 この場合、ポーランド戦役におけるドイツ軍の決定的な勝利は、隠密裏の動員による戦闘態勢の完備と、宣戦布告と同時の攻撃により、ポーランドが動員体制を整える前に決着をつけたことに帰される。もちろん、フランス戦役のフランス軍は、ポーランド戦役以降の9ヶ月の間に動員を完了しており、この手段は使えない。この準備万端のフランス軍に対抗する手法が「電撃戦」であったということである。

関連年表                                  

●『ヨーロッパ戦線』と『提督の決断』

 「ヨーロッパ・アフリカ戦年表」の下段には、「アジア・太平洋戦線におけるできごと」として、日本の主要な事例が掲載されている。光栄的には『提督の決断』に関連する事例である。一方のゲームをプレイ中、もう片方のゲームでは同時期に何が起こっているのかと気にかけてみるのも面白い。
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コラム

支援爆撃機の活躍                            

●タイトルに隠れたイギリス軍機

 イギリスの支援爆撃機は、パッケージイラストのティーガーTの車体前面に配置されているが、本書では、ちょうどタイトルが重なり、完全に見えなくなっている。ちなみに、本書1ページにタイトルを除いたイラストがあるため、ここで機体を確認することができる。

 なお、本コラムでは、この機体をホーカー・タイフーンとしているが、尾翼のひれからすると、その発展形のテンペストなのではないかと思われる。

武装SSとは?                               

●パイパーとマルメディ虐殺事件

 本コラムにおいて「パイパー大佐が、降伏した無防備の連合軍兵士を次々と殺害し、数十名におよぶ虐殺を行った」とあるのは、「マルメディ虐殺事件」のことであるが、この描写に関しては、やや違和感がある。

 この事件を引き起こしたのがパイパーの部下であることは間違いなく、戦後にパイパー自身も裁判にかけられたことも事実であるが、戦後の裁判では、パイパーが命令を下したと言う事実は立証されなかった。そのため、「パイパー大佐が」、「虐殺を行った」と明言できるものではないと思われるのである。

●SS髑髏部隊

 本コラムでは「悪名高い強制収容所の警備を行ったのも、武装SSに属するどくろ部隊であった」とあるが、これは明確な誤りである。「強制収容所の警備を行った」、「どくろ部隊」はSSであっても武装SSではないためである。

 一方、「髑髏部隊」の構成員から武装SSが編成され、それが「髑髏師団」と呼ばれたことは事実である。しかし、「髑髏師団」は純然たる戦闘部隊であり、強制収容所の警備は行っていない。つまり、コラムの描写は、この2つの部隊を混同したために生じたミスであると思われる。
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