ハンドブック紹介

 

   大航海時代ハンドブック  


 ●基本データ
 はじめに
 巻頭グラビア
 第1部 大航海冒険譚
 第2部 陸の上の航海者
 第3部 港の全貌
 第4部 冒険者への道・1
 第4部 冒険者への道・2
 第5部 冒険ヴァラエティ
 特集
 総合評価 ★★★★
 *.ファブリスとロッコの初出について

基本データ

 初版の発行は1990年9月30日。定価は1860円。ページ数は奥付まで192ページ。項目は巻頭グラビアと全5部。執筆者は奥付より山北篤、坂木恒善、(株)光栄出版部。本項では初版を参照している。

はじめに

 2~3ページ。フクザワ・エイジによる序文。本書は「このゲームをよりいっそうお楽しみいただくために制作された」ものであるが、これは他の同系統の書籍のコンセプトにも見られるフレーズである。ただし、同系統の書籍の多くが「ゲームと歴史の懸け橋」となることを目指しているのに対し、本書では、「あなたの物語世界」をさらに広げることが主要な目的となっている。そのためか、同時期の書籍に比べると史実の紹介に割いているページが少なく感じられる。

巻頭グラビア

 6~16ページ。ゲームに沿ったテーマを絵や写真と短文で表現している。テーマは「出港(第1回航海に出るコロンブス)」、「上陸(サンサルバドルに上陸したコロンブス一行)」、「海賊(『フランシス=ドレイクの肖像』と『現代に復元されたゴールデン・ハインド号』」、「海戦(アルマダ海戦の模様)」、「謁見(コロンブスが、イザベル女王とフェルディナンド王に航海の報告をしている場面)」、「大航海時代(「リスボン港にある大航海記念碑」である。

 このうち、「現代に復元されたゴールデン・ハインド号」と「リスボン港にある大航海記念碑」は写真である。また、絵画のタイトルは、それぞれのページのキャプションから引用しているが、これが正しいタイトルなのかどうかは分からない。

 なお、目次(4ページ)の次のページ(5ページ)には「リスボン港にある大航海記念碑」の写真が掲載されている。しかし、目次では「巻頭グラビア」は6ページからはじまっているため、ここでは5ページも目次の一部として捉えることとした。

第1部 大航海冒険譚

 17~48ページ。「はじめに」の言葉を引用するならば、「ゲームレポートを思い切って脚色し、ゲームがつくり出す物語的な雰囲気を表現」したリプレイである。ゲーム開始時から最終イベントまでを5章に分けて主人公レオンの成長を描いており、もはや短編小説に近い趣がある。

 本項では、ゲーム本編では「老航海士」と「父」でしかなかったキャラクターが、ロッコとファブリスとして登場する(*)。この設定は、引き続いて続編の『大航海時代Ⅱ』に取り入れられている。なお、『ランペルールハンドブック』では、ファブリスの名が『パルムの僧院』の主人公の名に由来していることが語られている(155ページ)。

 ただし、この物語のレオンは、ゲームとは異なり、最終的にカルロータと結ばれるため、この物語自体が『大航海時代Ⅱ』に続くわけではない。しかし、『大航海時代Ⅱハンドブック』によれば、カルロータが「レオンの恋人だったという噂も……(86ページ)」あるため、これを悪意的に解釈すれば、カルロータとの関係は恋人に留まり、結局はクリス王女と結婚したと考えることで話をつなげられないこともない。もっとも、そこまでして関連性を求める必要もないと思われる。

第2部 陸の上の航海者

 49~80ページ。全3編+特集1編。特集の「大航海時代の帆船」については、別項を設けた。「航海商人の心得」は、交易をテーマとしており、「心得5カ条(基本ルール)」と「お勧めルート(効率的な交易ルート)」、「商品のすべて(全ての商品の歴史的背景の説明)」と商品価格表が掲載されている。

 「帆船購入ガイド」では、「冒険仲間をつくろう(船長となる仲間のデータ)」、「船舶選びのコツ(帆船の種類)」、「中古船でガマンする(中古船の購入)」、「新造船を注文する(新造船の建造)」、「幻の重ガレオン船(隠し要素である重ガレオン船の紹介)」、「航海の守護神・船首像(船首像の解説)」と、艦船に関する一通りの情報がまとめられている。69ページには新造時の耐久度、旋回性能と推進性能、対応価格表が掲載されているが、積載量、砲門数、乗員数は省略されている。

 ここでは、初期設定でレオンの勇気を「80」まで上げておくと、無条件でリスボンの港にいるマルコを仲間にできるという点(61ページ)に注目したい。2隻目の船を入手するまで仲間は不要であるが、簡単に仲間ができるというのはやはり魅力的である。さらに彼は『大航海時代Ⅱ』に登場するフェレロ家の執事であると思われため、『大航海時代Ⅱ』を知っていれば、また別の印象がある。

 「航海の守護神・船首像」では、最高の効果を持つ女神像まで掲載されているが、こちらは入手方法が記載されていない。ちなみに、経済価値を「1000」まで上げた港で船首像を購入しようとすると、時々、「掘り出し物がある」という触れ込みで女神像が商品として登場することがある。重ガレオンが工業価値「1000」で登場するのと対応していることになる。

 「航海者の名誉」は、「名声を上げる方法(名声)」、「王宮に出入りしたい(王宮)」「貴族の爵位とは(爵位)」の3項目から構成される。いずれも、ゲームの進展そのもにに直結する要素である。「貴族の爵位とは」には短いが爵位に関する説明もある。最後のページの「港のギャンブラーたち」は、酒場でできるブラックジャックとポーカーの紹介である。

第3部 港の全貌

 81~130ページ。11編。ただし、このうちの7つは港を地域別に分類したものである。「港の人々」は、港の中にある施設の紹介、「新世界全図」は、ゲーム中の世界地図の紹介であるが、アメリカ北部と北極がつながっており、往来できない点に注意したい。

 『大航海時代』に登場する港は合計で50あり、それぞれが地中海、北ヨーロッパ、新大陸、アフリカ、中近東、インド、東アジアの7つのエリアに分かれている。ちなみに、地中海だけで15の港があり、全体の3割を占める。

 エリアの解説は、交易品と注目するべき港の情報が中心であり、ゲームの情報が優先されている。それぞれの港に対しては、所属、経済価値、工業価値、特産品、酒場女のデータを列挙したうえで、ゲームと史実の両面の情報が簡潔ながらもまとめられている。ここでは、シチリア島にあるマジョルカ(93ページに注目したい。もちろん、これは地理的なミスである。ちなみに、続編の『大航海時代Ⅱ』のシラクサには、これをふまえた発言をするキャラクターがいる。

 また、この項には全5編の「酒場の女たち」が挿入されている(99、104、108、112、116ページ)。これは、文字通り20人の酒場女の紹介であり、彼女たちの好意を得る方法と、それによって得られる利益(主に情報関連)についても記述がある。

 「補給港」は全世界20ヶ所の補給港の紹介である。この中では、サンアントニオ、ノヴァグラナダ、ダナンが海賊の本拠地になっている点に注目したい。「港データ一覧」は、港の情報部分だけをまとめたものである。こちらには、特産品を出現させるために必要な工業価値とギルドで売っているアイテムまで掲載されている。文章的情報を重視した項目と、この項のようにデータ性を重視した項目が両方掲載されていると、書籍としての面白さと攻略本としての利便さが両立されて非常に良いという印象を受ける。

●第4部 冒険者への道・1

 131~178ページ。全4編+特集1編。特集の「大航海時代小史」については、別項を設けた。本項では、船乗りの先達たちの手記や講演記録を抜粋したという体裁を取っている。

 「海賊稼業はやめられない」は、ゲーム中の戦闘に関連した事例を扱う本項は、さらに4編に分かれており、「海賊の大義名分」では戦闘のメリットとデメリットなどの基本事項を取り扱う。これは、リスボン船員組合理事ヴァスコ=ダ=ガマ2世の『初級冒険者のために』から引用したという体裁である。

 以降の3編は、リスボン海賊学校のイスパニア商船隊討滅記念講演からの抜粋という体裁を取っている。「戦闘前の訓示」は基本ルール、講演者は「カリブ海のシャチ」こと片目のジャック、「戦闘開始!」は戦場での戦術と、敵を補足する手段、アイテムによる強化といった戦略を取り扱う。講演者は「血塗られた男爵」フェリペである。

 「海賊の損得勘定」は、リスボン海賊学校第42期生の海猫ルイスによる戦後処理と戦利品の解説である。ここでは、経済価値の低いギルドでは、高価な財宝を引き取ってもらえないことがある点に注意したい(143ページ)。なお、上記の「戦闘開始!」に関連する戦闘用アイテムや航海用のアイテムの価格も、ここに掲載されている。

第4部 冒険者への道・2

 以降の2編は、リスボン冒険者学校の短期集中講座という体裁を取っている。「一流の冒険者へ」の講師は「命知らずの」ディアスである。ゲーム中に同名の人物が登場していることから、第4部の登場人物の中では、唯一モデルがはっきりしている人物であると言える。本項は「プロの航海術(風向きと潮流)」、「アイテムを買い揃えよう(航海用アイテムの説明)」、「経験を蓄えよう(経験値の獲得とレベルアップ)」、「洋上は危険がいっぱい(洋上のイベント)」の4編から構成される。

 「冒険を極める」は、名声獲得のための具体的な手段を論じる。講師はピサロ伯爵であるが、インカ帝国を滅ぼした同名の人物とは関係ない。「親書配送・商品購入」、「海賊を退治する」、「お宝を探す」は、それぞれの依頼の内容の紹介、「引き受けるか、断るか?」は、交易所の依頼が割に合わなければ、素直に断ることを勧めている。単に断るだけならば問題はないが、引き受けた後で断ると名声が低下する点、勅命は断った時点で名声が低下する点に注意したい。

 「マゼラン艦隊を再現する」は、マゼランの世界一周航路をゲーム内で実際に行ってみようという企画である。所々で史実のマゼラン艦隊の事績を引き合いに出しているため、ゲームと史実の対比が容易に行えるようになっている。結論から言えば、史実では3年かかった航海が、およそ4ヶ月(文中では5ヶ月)で終了している。

 史実の再現という視点で見れば、あまりにも短期間に世界一周が達成できてしまうのは問題であるが、ゲームの快適性に重点を置いた場合、特に宝探しなどのことを考えると、一概にそれが悪いとは言えない。このあたりは、ゲーム性とリアル性のバランスをどの位置に取るかという問題が垣間見え、非常に興味深い。そうした意味においても、この企画は有意義であると思われる。

第5部 冒険ヴァラエティ

 179~189ページ。3項目。「冒険人生の選択」は、やりこみプレイの一例を紹介している。ここでは祖国ポルトガルの船まで沈める戦闘マニアの「極悪海賊タイプ」、全世界の港をポルトガル同盟港にする「投資マニアタイプ」、全世界の踏破を目指す「冒険野郎タイプ」、王宮の貯蓄上限である金貨1千万枚を目指す「貯蓄タイプ」、前20人の酒場女と仲良くなる「ナンパしまくりタイプ」、航海に出ずにギャンブルに明け暮れる「ギャンブラータイプ」の6種類が取り上げられている。

 「『大航海時代』”徹底”サポート」は、序盤と中盤を乗り切るためのコツと、詰みかけた状態からの打開策が提示されている。その1つ1つを取り上げていくと、ゲームのシステムそのものから解説していかなくてはならなくなるため、ここでは詳細を省略する。

 「大航海時代年表」は、1415年(エンリケ航海王子、セウタを攻略)」から1600年(イギリス、東インド会社を設立)」までの「大航海時代に関連する出来事」と「世界と日本の動き」を掲載している。特集の「大航海時代小史」で扱われている事件を、年表形式でまとめたものという印象がある。

 以下は余談であるが、『大航海時代』は1500年代、『大航海時代Ⅱ』と『大航海時代外伝』は1520年代、『大航海時代Ⅲ』は1480年代からゲームがはじまる。『大航海時代Ⅳ』は西暦が表示されないが、ラファエル編ではスペインがポルトガルを併合するイベントが発生する。これは、この年表における1580年にイスパニア王フェリペ2世がポルトガル王を兼任した事例と考えることができるため、『大航海時代Ⅳ』の舞台は1580年代と言うことになり、シリーズの全ては、この年表の中に収まることになる。

特集

 本書では、歴史に関連した記事が「特集」として第2部第4部に挿入されている。第2部の「大航海時代の帆船(71~73ページ)」は、ゲームに登場する帆船のうち、カラベル船、カラック船、ガレオン船のイラストと歴史的背景を紹介したものである。なお、ゲームには7種類の帆船が登場するが、ラテンとレドンダは、カラベル船を帆の張り方で分けたもの、ナオはイスパニアのカラック船、重ガレオンはガレオン船の強化型であるため、その説明を兼ねていることになる。

 ちなみに、完全に説明から省かれたたベルガンティンは、ガレーと帆を持つ小型船であり、2本のマストのうち、少なくとも1本が横帆を備えているものをいう。船体よりも帆の張り方で分類され、ブリッグとは非常に近い関係にある。

 第4部の「大航海時代小史(144~155ページ)」は、6つの項からゲームに関連した史実の事件に焦点を当てたものである。「a.航海王子エンリケ」は、エンリケ航海王子の功績、「b.世紀末の大発見」は、ディアス、ヴァスコ=ダ=ガマ、カブラル、コロンブスらの功績、「c.イベリアの海洋王国」は、スペインとポルトガルの領土拡大、「d.世界周航」はマゼランの世界一周航路を扱う。ここまでの主役は、間違いなくスペインとポルトガルである。

 一方、「e.私掠船の横行」はイギリスのホーキンズとドレイクの功績、「f.無敵艦隊敗れる」は、「アルマダ海戦」によって海洋の覇権がスペインからイギリスに移った経緯をテーマとしており、すでに主役はイギリスに移っている。このあたりはゲームとしての『大航海時代』の範疇から外れているが、ゲームにおける海賊行為のモチーフとしては外せない部分であると考えられる。

総合評価 ★★★★

 『大航海時代』というゲームの攻略本としては、非常によくまとまっており、必要な情報もほぼ開示されている。情報漏れは、前述の「女神の船首像」の入手方法くらいである。難を言えば、アイテムの効果の具体的な数値や、各種の判定に対する能力値の具体的な影響なども知りたかったが、光栄の攻略本では、こうした数値を公開することの方が珍しいため、仕方のないところでもある。

 ゲーム方面の情報の充実に比較すると、歴史方面の情報はやや薄い。通常の攻略本の基準ならば充分な情報量と言えるが、光栄の攻略本として見た場合は、どうしても物足りなさを感じてしまう。そのため、ゲームを離れて1冊の本として見た場合は、やや面白みに欠ける部分がある。

*.ファブリスとロッコ

 ファブリスとロッコは本書が初出と思っておりましたが、ゲーム付属のサブマニュアル「海洋見聞録」に名前が見られるというご指摘を「はう」様からいただきました。この場を借りて情報提供のお礼を申し上げます(戻る)。


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