概要

本項はゲーム状の各国の初期状態を紹介する「国別攻略解説」と、当時の各文化圏の情勢を解説する「文化圏解説」を文化圏ごとに分けて行っている。「国別攻略解説」は、全ての国に1ページを割いて細かい解説を行っているが、データ類は一切掲載されていない。

そのため、「××の能力が高い」や「××の文化が高い」などと記されていても、それを確認するためには、いちいち第三部を見るか、ゲームで確認する必要があり、情報を確認する手間がかかる。また、本項に限らず、本書には全体マップが掲載されていないため、「××との距離が近い」、「領内に特産品がある」などという情報があっても、他の媒体で確認しなければならない。マップと都市、将軍のデータは、ここで国ごとに掲載した方が良かったのではないかと思える。

「文化圏解説」は、本作のテーマの1つである「文化」を中心にまとめられており、紹介される人物も、詩人や宗教家、学者などの文化人が多い。また、それぞれの文化圏の交流にも主眼が置かれており、興味をひかれる話題が多い。
 
 
構成
 
 ページ  国別攻略ガイド
 45~48  蒙古編
 49~52  東西をつないだ騎馬の民
 53~63  東アジア・中国編
 64~67  モンゴル騎馬民と中華帝国
 68~70  日本編
 71~72  東アジアと日本の交流
 73~77  南アジア編
 78~81  もっとも統一されにくかった地域
 82~92  イスラム編
 93~96  中世の先進文化圏
 97~105  東欧編
 106~109  古代文明の継承者
 110~123  西欧編
 124~127  後から来た西欧
 128  文化圏解説・番外編
 
 
蒙古編

オノンで練兵所を作り、戦術の都にすると以降の軍略に役立つ

シナリオ1のチンギス・ハーンの初期戦略。正確には「軍人の都」のこと。「戦術」は必要な文化である。「軍人の都」では、所属している部隊の士気が最高値となり、将軍が戦闘系の技能を憶えることもある。そして、オノンの「戦術」文化は世界最高の「84」であり、ゲーム開始時から「軍人の都」を目指しやすい。

しかし、オノンは極めて奥地にあり、ここを「軍人の都」にしたとしても、その恩恵を受けるためには、わざわざ将軍をオノンに戻し、そのうえで部隊を編成しなければならない。さらに、その部隊を他の都市に入れると所属が変わり、「軍人の都」の恩恵を受けられなくなる。

交易を利用して前線の都市の「戦術」文化を高め、「軍人の都」を移していくのが理想的ではあるが、それはそれで時間がかかる。やはり、「軍人の都」に頼らずとも圧勝できる戦力を整える方が重要であると考えられる。
 
 
東西をつないだ騎馬の民

ゲームでの都市は多分、クリエンをあらわしたものと思われる

51ページ。遊牧民のモンゴル人が都市を持っているという矛盾に対する考察である。実際にはクリエンの後に(首領一家のゲルの周囲に側近のゲルが環状に配置され、そのまた周囲に部下のゲルが環状に配置されたもの)と注釈が入っている。今にして思えば、「蒙古文化圏の都市は移動することができる」などというシステムがあっても面白かったかもしれない。



都市の防御力を上げるのはクリエンの周囲の哨戒部隊を増やしたということ、練兵所を作るのは軍の訓練を密にしたということ、ぐらいに考えてほしい

51ページ。遊牧民が「施設を建築する」ということに対する本書での解釈。
 
 
日本編

平泉にいる源義経や武蔵坊弁慶は、序盤の忠誠度の低いうちに寝返らせておくこと

68ページ。シナリオ1の鎌倉政権の初期戦略。これまでは頼朝の血縁将軍として絶対の忠誠を誓っていた義経は、本作ではじめて頼朝と敵対するかたちとなった。
 
 
南アジア編

国王は六十歳と高齢だが、九十歳近くまで長生きするため序盤では特に問題にならない

73ページ。シナリオ1のアンコール朝の国王ジャヤヴァルマンのこと。この描写からすると、本作の登場人物には年齢が設定されているようであるが、本書にはデータがない。無意味に等しい「内政熟練度」を紹介するくらいであれば、こちらのデータが欲しかったところである。



ヒンドゥー諸王朝

74ページ。これまでのヒンドゥー諸王朝では、「CPU勢力には将軍がいない」というシステム上、基本的に国王1人の勢力であり、あまり「諸王朝」という感じがしなかった。本作では、シナリオ1でもチョーサー朝のクロートゥンガ、ホイサラ朝のバッラーラ、チャウハーン朝のプリトビラージャ、ガーハダヴァーラ朝のジャイチャンドなどが集結しており、「諸王朝」と呼ぶのにふさわしい陣容となっている。
 
 
イスラム編

スルタン・シャー

85ページ。シナリオ1のホラズムの国王。顔グラフィックは前作のムハンマドのものである。ムハンマド本人は、汎用顔グラフィックに零落している。当時のホラズムは、スルタン・シャーと兄のテキシとの対立によって分裂状態にあったが、本作のテキシは、おとなしく弟の部下をやっており、忠誠度も高い。ちなみに、ムハンマドやジャラールはテキシの系譜に連なる。



最初にジャラールが配下に加わったというメッセージが表示されるが、これは配下のムハンマドに、子供が誕生したことをあらわしている。

85ページ。ホラズムでゲームをはじめた場合の不具合。実際には本文中にもある通り、1196年新春にジャラールは成人して配下に加わるとある。



クチャの規模を7以上にすると、蒙古地区の災害に影響を受けることがある

86ページ。西遼でプレイする際の注意。都市の規模拡大がデメリットを及ぼすという、珍しいケースである。



ムンタシル

89ページ。シナリオ2のハフス朝の国王。顔グラフィックは前作のバイバルスの流用である。バイバルスは隻眼であったため、『元朝秘史』では片眼をつぶったグラフィックになっていたが、本作では両目を開けている。



マムルーク朝

90ページ。シナリオ2のマムルーク朝の初期支配都市はカイロとダマスクスであるが、このページの「初期支配都市」の項目の中にはダマスクスしか記述がない。
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東欧編

歴史イベントが発生して、テオドルスの能力が大きく増えるからである

97ページ。シナリオ1のビザンツ帝国の初期戦略として、ベネチア共和国の攻略を目標とする理由。本書131ページにも、イベントに関する記述がある。ただし、パワーアップキット版の場合、ベネチア共和国攻略後のイベントが発生しないというバグがある。



マング=チムール

105ページ。シナリオ2のキプチャク=ハン国の国王。顔グラフィックは前作のアバカの流用、つまり、『元朝秘史』のパッケージイラストの右下で西洋美女を嬲っている、あのハゲデブである。
 
 
古代文明の継承者

その間に金をばらまいてシチリアに大叛乱を起し、シチリアに集結していたフランス軍を撤退させるのだ

109ページ。両シチリア王国のシャルル1世によるビザンツ帝国侵攻計画を頓挫させるため、ミカエル8世が用いた謀略の1つ。俗に「シチリアの晩鐘(*1)」などと呼ばれる。この事件は、やがてフランスとアラゴンの戦争へと発展していく。
 
 
西欧編

寝返らせる相手としてはロビン=フッドがお勧め

111ページ。シナリオ1のフランスの初期戦略。ここでは、国王フィリップ2世の「智謀」の高さを生かした「寝返」を勧めている。なお、文中にもあるように、ロビン=フッドはイギリスに登用される確率が高いが、必ず登用されるわけではないため、他国に流れる可能性も考慮する必要がある。また、忠誠度の低いイギリスの将軍としてロンシャンの名も挙げられているが、彼は能力が低く、無理をして狙うほどの人材ではない。



労働ユニットとして都市の外にいるときにロンドンを包囲し、戻れないようにする手がある

119ページ。シナリオ2の神聖ローマ帝国でプレイし、序盤で戦う可能性のあるイギリスのエドワード1世を無力化する手法。労働ユニットとなっている強敵を狙う手法は別項でも紹介されているが、その多くは包囲して捕らえ、斬首するというものである。しかし、見出しの手法ならば、その強敵を無力化したうえ、後々配下にくわえられる可能性もあり、こちらの方が良いように思われる。



目的は、コンラート以外のふたりの将軍を寝返らせることだ

122ページ。シナリオ2のベネチア共和国の初期戦略。マルコ=ポーロの智謀「94」を生かし、ジェノヴァの将軍を引き抜くということである。ちなみに、この「ふたり」とは、「忠誠度」が「47」のヴァーツラフと「49」のオタカルのこと。ヴァーツラフは能力が低く、技能もないが、オタカルは全能力が60以上、兵科適正も「水軍」以外は「B」という有能な将軍である。
 
 
後から来た西欧

そんな中でもっとも成功した十字軍遠征は、わずか500の兵でなしとげられた

125ページ。フリードリヒ2世による第6回十字軍のこと。『ジンギスカンハンドブック』でスルーされていた第6回十字軍の功業が、ようやく評価されるに至った。



買い手があれば町も売るぞ。

127ページ。軍資金の捻出に余念がないリチャード1世の言。「町」はロンドンのこと。長い間「戦争ができるなら国はいらない」という意味合いだと勘違いしていた。実際には、リチャード1世の本拠地はフランスのアキテーヌにあり、こちらが維持できれば最悪イングランドは不要という意味合いであると解釈している。

リチャード1世の本拠地がフランスにあるということを把握していると、彼の対フランス政策に対する認識も全く異なったものとなる。上記の発言もそうであるが、リチャード1世がフランスで戦死したことも、フランスに攻め込んで返り討ちにされたのではなく、フィリップ2世に占領されたフランス内の領地の奪還に失敗したということになる。

『蒼き狼と白き雌鹿』シリーズでは、イギリスもフランスも現在の領地に近いエリアだけを領有しているが、これはゲーム的なアレンジであるということを理解するのに時間がかかった。当時のイギリスは、フランス西部とグレートブリテン島南部だけを領有しており、フランスはフランス東部だけを領土としていたのである。
 
 
文化圏解説・番外編

概要

モンゴル、日本、イスラムにおける息子の名づけ方を紹介している。とはいえ、詳細な単語を紹介しているのはモンゴルだけであり、他はおまけ的な要素が強い。



早雲や氏康とつける手もないわけではない

「日本の場合」のオチ。もちろん北条家が国王となっているシナリオ2の場合である。ちなみに、戦国の北条氏は伊勢平氏系の「後北条氏」、本作に登場する北条氏は坂東平氏系の「鎌倉北条氏」であり、9世紀ごろに分化した同族であるらしい。



ホメイニとかカダフィなどとつけても、まあ構わないことは構わない

「イスラム圏の場合」のオチ。いずれも20世紀後半に中近東でクーデターを起こし、政権を掌握した人物である。なお、「ホメイニ」は「ホメイン(地名)の人」、「カダフィ(カッザーフィー)」は「カッザーファ(部族)の人」という意味である。本項で解説されている「~イー」をつけて「~の人」となる名づけ方に当てはまる。
 
 
*1

Wikipediaでは「シチリアの晩祷」となっている。当事者は本作にも登場するシャルル1世とペドロ3世である。